弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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知財金融の進展

2016年03月24日 07時47分50秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
おはようございます!
今日は寒い! 湘南地方です。

さて、今日はこんな知財金融関係のリリースから。


以下引用
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山形県内における知財金融促進に向けての連携強化について

株式会社荘内銀行、山形県知財総合支援窓口及び当局は、
山形県内の中小企業等の知的財産活用促進及び知財金融の促進を図るために
平成28年度より連携を強化することとなりましたのでお知らせします。

連携に際して連携協定書の調印式を3月22日に執り行いました。

今後、当局は必要に応じて東北管内の金融機関と知財金融促進に向けての連携を強化して参ります。
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引用終わり


与信判断にあたって、競争力の源泉としての知財に着目することには妥当性がある、と考えます。
こういう試みが多くの地域で広がってくれることを願います。

それにしても、上記ページにリンクがある
「別紙3 知財ビジネス評価書について」というレジュメ内の以下の記載が、
事実であるとしてちょっと残念。
“中小企業は知財で金融機関から資金調達したいというニーズがある一方で、
 中小企業からは知財は金融機関から財産として評価されていない、
 権利取得や維持費用が不要なコストとみなされるという指摘もあり
 知財による資金調達は十分進んでいない。”

「不要なコスト」と見られてしまうのは、
・知財保護というアクション自体がムダ と見られているのか
・保護しても事業上直接売り上げに寄与しない知財にかけているコストが「不要」と見られているのか
ちょっと判然としないけれども、仮に前者なのであれば
「畑に肥料を撒くこと自体が無駄」と言っているようなもんで、ちょっと首肯できない。

また後者であるなら、更にケースは分かれて
 :基礎技術であって製品との直接関連性が見出しにくい(関連性がない、というわけではない)もの
 :取得している権利が競争優位に働きにくい瑕疵を抱えている
 (ま、他にも色々あるけど、両極端な2つを挙げた)
前者は、程度問題でもあるけど、直接収益を生み出さない=無駄、というのは違う。
後者は、要は瑕疵ある資産なので、この維持のためのコストは「不要」といわれても仕方ない。

なんでもかんでも価値があるというと胡散臭いけど、
企業価値って目先の利益だけじゃなく、地域社会やマーケットで必要とされる存在であり続けること
だと思うんですよね。
そのための仕掛けの一つとして知財は機能するものだし、機能させるよう我々は努力すべきだと思っています。
コメント
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