らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

重陽の節句と菊の花

2021-09-09 | 季節

今日9月9日は「重陽の節句」です。菊の節句とも言います。
五節句の一つですが、関心を持たない方が多いのではないでしょうか?
何故なら、他の4節句には飾りつけや立てるものなどがありますが、この節句にはそのようなものは何にもありません。
即ち、
1月7日の人日の節句には、門松を立て、
3月3日の上巳の節句には、ひな人形の飾りつけが、
5月5日の端午の節句には、は鯉のぼりが、
7月7日の七夕の節句には、笹竹を立てるように、各節句には「立てるもの」があるので一般に馴染みがあります。
しかし、
9月9日の重陽の節句には何も立てるものがありません。

「江戸川柳」
江戸川柳にも重陽の節句には何も立てないと詠まれています。

  「重陽は何にも立てぬ節句なり」(江戸川柳)

この川柳に詠まれているように、重陽には何にも立ず、高い所へ上って菊酒を飲んで祝うものだったようです。
参考までに、ここでいう「高い所」とは、近隣の山や丘の上なのだそうです。



「重陽の節句の由来」
では、重陽の節句とはどのような由来なのでしょうか?
「重陽(ちょうよう)の節句」とは、五節句の一つで、陽数である「9」を重ねる意味から旧暦9月9日またはその日に行われる節会のことをいいます。
日本における節句は中国から伝来した行事なのですが、中国の陰陽思想では、奇数は縁起のよい「陽」の日とされてきました。
中でも最も大きな陽数である「9」が重なる9月9日を「重陽の節句」と制定し、無病息災や子孫繁栄を願って、祝いの宴を開いたことが起源とされています。
その一方で陽が重なると「陰」になり、災いが起こりやすく不吉だとも考えられていたことから、良くないことが起きないようにと、9月9日にはそれを避けるため避邪の行事も行われました。

「菊の節句」
「重陽の節句」は「菊の節句」とも言われています。
その謂れは、一つには、旧暦9月は、菊が咲く季節であること。
もう一つは、古代中国では、菊は「翁草(おきなくさ)」「千代見草(ちよみくさ)」「齢草(よわいくさ)」と言われ、菊はすぐれた薬効をもつ植物として古くから知られていることからです。
4世紀に記された書物には菊が群生している谷を下ってきた水を飲んだ村人たちが長寿になったという「菊水伝説」もあります。

その影響を受けて、日本では9月8日の夜に、菊に綿をかぶせて一晩おき、朝露を吸ったその綿で身体をぬぐって長寿を祈る「菊の着せ綿」という風習がありました。
また、平安時代に入ると、邪気を祓い長寿を願って菊の花を飾ったり、菊の花弁を浮かべた「菊酒」を飲み交わし、茱萸(しゅゆ:ぐみの実)を掛けて悪気を祓う菊花の宴が催されるようになりました。
このような事から重陽の節句は「菊の節句」とも言われ、五節句の中では最も大切な行事だったそうです。



「節句の伝来」 
節句とは、「季節の節目となる日」のことを言います。
もともと奈良時代頃に中国から伝えられた「陰陽五行説」が由来とされており、古くから年中行事を行う節目として大切に扱われてきました。
伝来した当初はたくさんの種類が存在していましたが、日本の文化や生活と混ざり合うなかで少しずつ減少していきます。
そして江戸時代になり、幕府が特に重要な冒頭の五節句を公式の祝日に制定したことが、現代に伝わる「五節句」のルーツとなっています。

五節句はすべてに「奇数が重なる日」が選ばれていますが、これは陰陽五行説において「奇数=陽(発展)・偶数=陰(不安定)」と捉えられている事、そして、奇数同士を足して偶数になる日は「陽から転じて陰になりやすい」とされていたことから、邪気を祓うための行事を行ったことが主な理由だということです。

今日の重陽の節句には、菊の花弁を浮かべたお酒を飲みながら、コロナ収束や無病息災などを祈願してみてはどうでしょうか?