らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

ぞっとしない

2019-09-10 | 雑学

昨日は首都圏では台風15号の直撃を受け、甚大な被害が発生したようです。謹んでお見舞い申し上げます。
さて、9月というのに連日35度前後の猛暑が続いており、一向に秋の気配が感じられません。
一日も早く本格的な秋が待たれるところです。

ところで、残暑が厳しいからではないですが、寒気や恐怖などを感じたとき、「ぞっとした」と表現しますよね。
この表現を否定形にした形の「ぞっとしない」といった場合、「寒気や恐怖などを感じない」という意味でよいのでしょうか?
「ぞっとした」の否定形なので、当然そのように思いますよね。
ところがそうではないようです。
今日は「ぞっとしない」という表現について調べました。

この「ぞっとしない」の意味については国民の7割以上の人が誤用したり、分からないという調査結果があります。
平成28年度の「国語に関する世論調査」で、次のような例文を挙げてその意味を尋ねています。

「例文」・・・「今の映画は,余りぞっとしないものだった。」
この例文の「ぞっとしない」の意味を尋ねたところ、結果は次のとおりでした。

ア)面白くない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22.8% (本来の意味)
(イ)恐ろしくない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56.1%
(ウ)(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・4.2%
(エ)(ア),(イ)とは全く別の・・・・・・・・・・・11.1%
(オ) 分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.9%

調査結果は, 本来の意味ではない(イ)の「恐ろしくない」と回答した人の割合が56.1%となっており,本来の意味である(ア)の「面白くない」と回答した人の割合22.8%を33.3ポイント上回っています。
また,5.9%の人が「分からない」と回答しています。

これを年代別に見ると本来の意味とされる「面白くない」は60歳代以上で他の年代より高く3割となっていますが、全ての年代において「恐ろしくない」より下回っています。



「ぞっとする」という表現は、恐ろしい思いを表すために用いられることから、「ぞっとしない」を「恐ろしくない」と捉える人が多いものと思われます。
ところが、「ぞっと」にはもう一つの意味があったのです。

江戸時代の末期ごろまで使われていた意味で、強い感動を受けて、からだが震え上がるさまという意味があるのです。
つまり、「ぞっとしない」は、「ぞっと」の否定形の「しない」を付けることで、特別驚いたり感動していないことを表して「感心したりするほどではない」という意味になり、「強い感動を受けない」「面白くない」という意味になるということです。

広辞苑にも、「ぞっとしない」は、それほど感心したり面白いと思ったりするほどでもない。 と説明しており、「ぞっと」については寒気・畏怖・恐怖などで瞬間的に心身が縮むような冷気を感じるさま。となっています。

「ぞっとしない」という表現を使用することはないかも知れませんが、「恐ろしくないこと」という意味での使い方は誤用となりますので、十分気を付けたいですね。