ワールドミュージック振興協会?

 今日、古新聞を整理してましたら、『北國新聞』2010年12月16日号に、金沢市立木曳野小学校というところの校長さんが、児童に昼食時にクラシック音楽を聞かせている、という記事が載っているのを見つけました。
 勝田徹先生といわれるこの校長先生は、「時を超えて聞き継がれている本物の音楽のすばらしさを知ってほしい」ということで、ご自身が所蔵されているCDを活用してこの試みを始められたそうです。

 勝田先生の善意は、疑う余地もありません。以前にこの学校で給食の時間に流していたのはアニメ主題歌や流行歌、クイズなどのプログラムだということですから「こういう音楽もある」ということを子どもたちに知らしめるという意味で、たしかに「良い」面はあると思います。

 でも。

 わたくしのこのブログをずっと読んでくださっている方には、わたしが何を言いたいかもうお分かりだと思います。

 若い「クラシック」ファンを増すということには、弊害もあるということです。小さい頃に、音楽嗜好を持った子の大部分が西洋古典音楽に馴染む機会をもって西洋古典音楽ファンになってリスナー市場でかっさらわれてしまうので、いま世界に実際に息づいている音楽を愛好する方にまわる日本人が極端に少なくなることにつながっている、ということです。
 これ、困ったことなんです。
 西洋古典音楽というのは「高いところ」にあるものとみなされているので、それ以外の音楽ジャンルを「本当の音楽ではない」みたいに「見下す」傾向を植え付けてしまう危険を、明らかに現状の日本では、もっていると思うのです。

 現代、21世紀には、明治期みたいに上を向いて、「欧米先進諸国」だけ見つめていればいいわけではないのです。勃興するアジア、南米、そしてアフリカの人々の心に気を配っていかなければならない時代のはずです。
 今の世界の人々の心を魅了する音楽を知ること、そしてそういう音楽に自らも魅了されることを実感することは、200年前のヨーロッパ音楽を微に入り細に入り研究、熟達することと、少なくとも同じくらいは大事なことなんじゃないでしょうか。

 だから、「クラシック」を導入するなら、「ワールドミュージック」の存在意義にも少し目を向けて、小学生たちに世界への目を開く機会を作っていただきたいなあ、とか思ったりするのです。

 というようなことを申し上げたら、勝田校長さんはびっくりされるでしょうか? どう思われるでしょう? この方はむかし音楽担当の教員でいらしたということですが・・・

 「ワールドミュージック振興協会」みたいなのを立ち上げて、その協会の代表を名のって、そういうことを言いに行ってみようかしら。
 「クラシック」を振興するために一肌脱ごうという善意の方は日本にたくさんおられそうですが、ワールドを振興するために一肌脱ごうなどというモノ好きはあまり多くなさそうなので・・・
 わたくしの言うことに一理あることは分かっていただけるかなと思うのですが・・・ 甘いですかね・・・

 わたしも人生でそれなりにいろんな経験をしてきましたから、そういう変なことやっても、たぶん変な結果しかでないだろう、というのは思うんですが。
 でもカンバセーションさんの倒産などということが起こる時代ですから、日本の人の心がどんどん鎖国状態になってしまうのを阻止するために、なんかしないといけないかなあ、そういうのが時代に対する責任というものではないかなあ、と思う今日この頃です。

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