条件法


 既に「ジャスミン革命」Revolution du jasminという美しい名前がつけられたチュニジアの動乱ですが、もっぱらLe MondeとかEl Watanとかのフランス語メディアで見てます。報道文は条件法(つまり「~らしい」とか「~の模様」とか、不確実、推測を表す動詞の法です)のオンパレードですが。

 民衆に発砲するよう命令された軍がこれを拒否、大統領打倒の前面に立ったらしい。
 ベンアリ大統領がどうやって国外脱出に成功したか定かでないが、おそらくリビア(つまりカダフィ大佐)が手を貸したらしい。
 とにかくフランスはベンアリ大統領の受け入れを拒否、いったんフランスに飛行機でついた親族もドーハに送りだされてしまったとのこと。
 憲法上は60日後に大統領選挙をしないといけないが、これでは短すぎるというのが大方の意見で、国際監視団を入れて半年後くらいに実施、というのが常識的かとみられている。・・・

 現在新体制樹立のための努力がなされていますが、話し合いから共産党le Parti communiste des ouvriers de Tunisieと原理主義政党l'Ennahdhaははずされています。
 現在の動きを楽観的、好意的に見過ぎるのもなんですが、逆にイスラム原理主義の伸長の脅威と同一視してしまうというのも、少なくとも現時点では時期尚早かと思います。
 ベンアリ大統領は言論の自由を抑圧していましたが、とくに原理主義は厳しく抑え込んでました。今回の蜂起に直接原理主義勢力が積極的役割を演じたということはないと思います。彼らが状況を利用しようとするのは、これからでしょう。
 しかしこの種の暴動のあと原理主義政党に自由な活動を許すとどういうことになるか、1988年以降のアルジェリアのこと、アルジェリア人が原理主義の暴力にどれだけ苦しんだかをみなよく憶えてますから、なんとしてもそれは避けたいと大多数の人は考えるはずです。

 チュニジアがこのあたりをうまくクリアしてくれるなら、そして今の国の成長にふさわしい政体を樹立することに成功するなら、ジャスミン革命は世界史上の画期的事件としてその名をとどめるでしょう。

 センター試験にも頻繁に出題されるようになるでしょうね。いや、出題されるようにならないといけません。




 
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ワールドミュージックを聞いてセンター試験の点をアップしよう!

 きのう終わった今年のセンター試験「地理B」第四問は全体的にアフリカについての設問で、第6問は音楽についての問題でした。わお。

 正解は「南アフリカ、エチオピア、ガーナ」だから5番でしょうか。

 でも<カ>には「人種差別撤廃運動が高まった1960年代から」、<チ>には「植民地支配を受けずに栄えた王国」があるから南アフリカ、エチオピアは、音楽のことは知らなくても分かってしまいますね。ならば残り、「近隣にはフランスの植民地支配を受けた国々も多いが」というのが西アフリカにあるガーナであることは一目瞭然です。

 でもまあ、ワールドミュージックがセンター試験で扱われてもよい知識、日本人が知っているべき「教養」のはしくれと認められた、ということではあると思います。
 
 また地理などというのは年によって出題される地域を変えてまんべんなくするものでしょうが、日本国民にもっとアフリカに興味をもたせるために、という国策もちょっとは入ってるかなあ、という地理の出題でした。
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 チュニジアでは軍と前大統領護衛隊が銃撃戦を展開したという報道がありました。
 ベンアリ政権が倒れたのは、大統領が軍の支持を失ったことが決定的だったのでしょう。

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