充実アマジーグ(その3)


このエントリーから続きます)

 音作りの統括に「その道のプロ」を使わないアマジーグの姿勢というのは、常にアルジェリアの民衆とともにありたいという彼の意志のひとつのあらわれのように思われます。 
 それは彼の父カテブ・ヤシーヌの生涯の仕事、つまり「アルジェリア国民の創生」の仕事を継ぐものなのだと思います。

 アマジーグはすでに2年前、父ヤシーヌの戯曲『モハメド、鞄をとれ』Mohamed, prends ta valise(これは古代から現代にいたるアルジェリアの歴史をたどって総括したような内容の作品です)に曲をつける仕事をして実際に上演しています。ただその録画、録音は公刊されていないようです。お母さんのゼバイダさんには、これなんとか発表してくださいよ、と申し上げてあるのですが。日本人もぜひ聞きたいのですから(補足。もっともグンブリがベベンベン、と入るくらいのものらしいですけど。でもわたし、それひょっとしたら平家琵琶のノリにちかいのでは、という気がしてます。叙事詩ですからね)。

 カテブ・ヤシーヌの命日は1989年10月28日ですから、このアルバムはその二十回忌の月に発表されています。またBonjourとL'Africainの二曲のテキストは、ヤシーヌのものです。
 そしてアマジーグは発売日をわざわざ10月17日としました。1961年に夜間外出禁止令に抗議のデモを行ったアルジェリア人労働者がフランス当局の弾圧で多数虐殺された日です。

 本来ならこのアルバムは全歌詞を熟読してその意義をお伝えしたいところですが、残念ながら今その時間がありません。そのうち、かならず。

 現在アマジーグはアルジェリア・ツアー中です。あす6日は、アマジーグの生まれた町、首都アルジェでの公演の日です。

[追記] ・・・と書いたのですが、直前でアルジェリアツアーは延期になってしまいました。次のエントリーをご覧ください。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )