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預言者伝35

2012年06月12日 | 預言者伝関連

118.攻囲(こうい)の暗闇の中に見えたイスラーム勝利の光:
  信徒たちが一生懸命に塹壕作りに励んでいると、非常に大きな岩が現われることがありました。シャベルでは掘り起こせないほどの大きさだったため、信徒たちはアッラーの使徒(平安と祝福あれ)に苦情を訴えました。彼(平安と祝福あれ)は岩を見ると、シャベルを持って:ビスミッラー(アッラーの御名において)、と言って岩を叩くと、その三分の一が壊れました。次に「アッラーフアクバル(アッラーは偉大である)、シャームの鍵が私に与えられた」と言うと残りの三分の二が壊れました。「アッラーフアクバル、ファーリス(ペルシャ)の鍵が私に与えられた。アッラーにかけて、白い街々の城が見えます。」と言って、三度目の打撃を終え、「ビスミッラー」と言うと、残りの石が壊れました。「アッラーフアクバル!イエメンの鍵が私に与えられた。アッラーにかけて、サヌアーの諸扉(もろとびら)がこの場所から見えます。」とアッラーの使徒(平安と祝福あれ)は言われました。

  そんな中においても、信徒たちはまだ不透明な未来を抱えていました。激しい空腹、厳しい寒さ、攻撃を仕掛ける敵の存在に囲まれていたのです。

119.戦中に起きた預言者の諸奇跡:
  そこでいくつかの奇跡がアッラーの使徒の手によって起きました。立ちはだかる大岩が信徒たちの邪魔をしたとき、彼は器に入った水を持って来させ、その中に唾を吐き、祈りの言葉を唱え、その水を大岩に振りかけると、大岩は崩れ落ち砂になりました。
  また少量の食事に祝福のしるしが現われました。その食事だけで大勢の人が満腹になり、一つの食事が軍全体に足りるのでした。
  ジャービル・イブン・アブドゥッラーは言っています:塹壕の戦の日、私たちが掘っていると、大岩が現われました。人々は預言者(平安と祝福あれ)の許へ行き、「この大岩が塹壕の中から出てきました」と訴えると、「私が降りましょう」と言って、腹に石を縛り付けた預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は立ち上がりました。私たちはその頃、3日の間、どんなものも口に出来ずにいたのです。そして預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はシャベルを手に取り、大岩を叩くと、それは砂に変わり崩れ落ちました。
  私はそこで言いました:「アッラーの使徒さま!私に帰宅することをお許しください」それから、私は妻に言いました:「見るに堪えられない状態の使徒さまを見たのだ。何か(食べるもの)はないか?」妻は言いました:「大麦と子ヤギがあります」私は子ヤギを屠り、大麦を練りました。肉を鍋に入れて預言者(平安と祝福あれ)の許に運びました。パンはすでに出来上がり、鍋の準備も終わり、あと少しで食事が出来上がるところで、私は、「私が準備した食事があります。どうぞ使徒さま、あなたさまと1,2名の男と一緒に召しあがってください」と招待しました。彼は言いました:「どのくらいあるのですか?」私がその量を彼に伝えると、「それは多い。奥様に言いなさい、鍋もパンも私が行くまで釜(かま)から離してはいけないと。」そして、「皆、立ちなさい。」と言うと、ムハージルーンとアンサールが立ち上がりました。
  私は妻のいるところに入って言いました:「たいへんだ!預言者(平安と祝福あれ)はムハージルーンとアンサール達を連れておいでになられる。」妻:「かのお方は食事の量についてあなたにたずねたのですか?」私:「もちろん」
  預言者(平安と祝福あれ)は皆に言いました:「さあ、入りなさい。一度に押しかけてはいけません。」彼はパンをちぎり始めると、肉で覆いました。それを仲間たちに近付け食べさせては手を離しました。こうして彼は、皆が満腹になるまでパンをちぎり続け、鍋からすくい続けるのでした。
  いくらばかりか食べ物が残りました。アッラーの使徒(平安と祝福あれ)はジャービルの妻に言いました:「さあこれを食べて、他の人にも分けてください。人々は相当飢えていますから。」
  
(参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P250~252など)


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