イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

もうすぐズ・ル・ヒッジャ月に入りますからね!準備しておいてくださいよ!

2010年10月31日 | 他の解説
ビスミッラー。
久しぶりの更新です(*^^*)とはいっても、内容は前の投稿内容のご紹介に留まります。
今年のズ・ル・ヒッジャ月はおそらく11月7日か8日から始まる予定です。ズ・ル・ヒッジャはイスラーム暦の12月です。ハッジなど、イベントたくさん含んだ月です。
その最初の10日間に徳が多いことは、毎年ここでもお伝えしています。
詳しくは、こちらをご参照ください(*^^*)
元のアラビア語はこちらです(日本語版はアラビア語版の一部分)。
来たる貴重な10日間をぜひ、有意義に過ごしたいものですね。
これを機に皆さんも善行銀行にたくさんポイント貯めませんか。
成功するためには、綿密な計画が必須ですよね!
さあ、紙とペンでも出して、したい善行を書きだして、予定表を作ってみてください。
↑のリンクの中から出来ることを探してみるのもよいと思います。
私もさっそく、達成したいイバーダートを見ていきます。インシャーアッラー。
皆さんに大きな成功があり、アッラーの御満足に与かれますように。アーミーン。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

預言者伝13

2010年10月26日 | 預言者伝関連

بسم الله الرحمن الرحيم
39.ターイフへの進出とそこで出遭った数々の災難:
  おじのアブー・ターリブが亡くなると、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はクライシュからさらなる迫害を受けるようになります。その迫害は、おじの生前には行われなかったような苛酷なもので、クライシュの愚者までもが、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の頭上に土を振りかけていくといった有様でした。
  クライシュによる、迫害とイスラームへの離反への固執が激化すると、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、サキーフ族の援助を得、彼らにイスラームを受け入れてもらおうと、ターイフという町に出かけます。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)が、ターイフの人たちに望みを持ったのは、ターイフに近いサアド家(彼(平安と祝福あれ)に授乳していた家族)の存在がありました。
  預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は召命を受けて10年目のシャウワール月にターイフに向けて出発しました。イブン・サアド、イブン・アル=アティールなどによると、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はターイフへの旅に、奴隷のザイド・イブン・ハーリサを連れて行ったと言われています。

40.ターイフにて:
  ターイフはマッカに次いで重要な町でした。建物は広大で、住民は贅沢な生活を送っていました。
  崇めるために巡礼客が集まるアッ=ラート神がそこに祀られており、その点においては、“フバル”というクライシュの最大の偶像が祀られていたマッカと類似しています。
  預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はターイフに着くと、まずサキーフ族の貴族の許に向かいました。彼らの傍に座り、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は彼らをアッラーへと誘いました。しかし彼らの態度はひどいものでした。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を嘲笑し、彼らの中の低俗な者や奴隷たちが、彼に不意に襲いかかるほどでした。人々は皆で預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を罵倒し、大声を出し、石を投げつけたのでした。そんな中、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は命からがらヤシの木の陰に逃げ、その災難の疲れからそこに座り込みました。ターイフで受けた暴動は、それまで多神教徒たちから受けたものよりも激しいものでした。それでもまだターイフの人たちは二列になって預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)が行く道に座り込むと、彼(平安と祝福あれ)が歩くために足を上げる度に石を投げつけ、その激しい勢いで出血してしまうほどでした。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の両足から血が流れます。思わず、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の心から、そして口からも、ご自身の力の無さ、無策、人々の侮辱をアッラーに嘆く言葉と祈りの言葉が溢れ出しました。そして預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、次の言葉で、アッラーに御加護を求め、またアッラーの御助力と御協力を求めたのでした。


  「アッラーよ…私は自分の無力、無策、人々の蔑視をあなたに嘆きます。最も慈悲深い御方よ!あなたこそは、迫害される者たちの主、そして私の主です。誰に私を委ね給うのですか?私に眉をひそめる者にでしょうか?それとも私のことを手に握らせた敵にでしょうか?あなたが私に御怒りでないのであれば私は何も気にはしません。あなたの御赦しこそは私にとって寛大なものであります。あなたの御怒りを被るか、あなたの不満を受けることから、全ての闇を照らし現世と来世の諸事を正すあなたの御顔の光に、助けを請います。どうか、満足し給うまで私を御叱りください。どのような権能も力もあなたにより他はありません。」

  すると、アッラーは山の天使を預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)に送り給いました。二つの山でかの人々を挟み潰すことを彼に尋ねるためにです。しかし預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、天使に次のように言いました:「いや、彼らの子の中から、同位者を置かず、アッラーおひとりのみを崇拝する者が輩出されることを望みます。」
  この話はムスリム正伝集に収録されている通りです。


  このような状態にあった預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を見たウトゥバ・イブン・ラビーアとシャイバ・イブン・ラビーアの心は、正義心で揺り動かされ、アッダースと呼ばれていたキリスト教徒の奴隷に、「ブドウ一房をこの皿にのせてあの男のところに持って行き、食べるように言いなさい。」と言付けました。アッダースは、言われたとおりに行き、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)とのやり取りにより、彼から聞いた言葉や彼の振る舞いを知ると、イスラームに改宗したのでした。
  預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はターイフを後にし、マッカに戻ります。しかし彼の民は相変わらず激しく敵意を剥き出しては彼を罵倒し、嘲笑して来るのでした。
  
(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P141~147
②「預言者ムハンマドの足跡を辿って(前編)」、アブー・ハキーム・前野直樹編訳、ムスリム新聞社発行、P120~121)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

預言者伝12

2010年10月19日 | 預言者伝関連

بسم الله الرحمن الرحيم
38.クルアーンが健全な心に留まるとき:
  アッ=トゥファイル・イブン・アムル・アッ=ドゥースィーという、高貴な血筋を持つ、頭の良い詩人がマッカを訪れときのことです。クライシュは、彼が預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)に会ってしまう前に、すぐさま、「ムハンマドに近づいたり、彼の言うことを耳に入れると、ろくでもないことが起きるぞ」と脅かし、「本当に我々は、そなたとそなたのお仲間方のことが心配なのです。あの男(ムハンマド(平安と祝福あれ))が現われてからというものの、私たちは困り果てているのですから。どうか彼に話しかけず、彼が言うことを一切お聞きにならぬように。」と言いました。


  アッ=トゥファイルは、考えます。:「うむ、アッラーに誓って、私があの男から何も聞かず、話しかけないと宣言するまで、クライシュの人たちは、私から離れようとしなかったな。宣言後、私は綿を耳にも詰めた。その状態でマスジドに行ってみると、アッラーの使徒(平安と祝福あれ)が立ってカアバのところで祈っておられたので、彼に近づいてみた。アッラーはどうしても私に彼の言葉を聴かせたかったのだろう。そして私はよい言葉を耳にした。心の中でこう言った 。:私は賢い詩人ではなかったのか。私に善悪の区別が出来ないわけがないのだから、あの男の話を聞かないよう気を付ける理由などないではないか。もし彼からもたらされたものが善であれば受け付け、悪であれば放置しよう。」


  こうして、アッ=トゥファイルは自宅にいた預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を訪れ、話を交わし、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は彼にイスラームを紹介しました。クルアーンを読み聞かせたところ、アッ=トゥファイルはすぐに改宗しました。改宗後ムスリムとして自分の民に戻ったアッ=トゥファイルは、イスラームに人々を呼び掛ける人となったのです。彼は家族が改宗するまで、彼らと住むことを拒んだので、家族全員がイスラームに入りました。そして彼はダウス族もイスラームに導きました。


  一方、アブー・バクルは自分の家で祈っていました。彼は礼拝を公けにはしていませんでしたが、やがて家の庭に礼拝室を建てて、そこで祈り、クルアーンを読むようになりました。そんな彼のところへ、多神教の女達と子ども達が不思議がって多くやって来るようになります。なぜならアブー・バクルは涙もろく、クルアーンを読むと必ず泣いていたからです。この様子を恐れたクライシュの多神教徒たちは、アブー・バクルを保護していたイブン・アッ=ダガナに遣いの者を送ります。現われたイブン・アッ=ダグナにクライシュの男たちは言います:そなたがアブー・バクルを保護しているということで、我々も彼に手を出さずにおいた。つまり、自分の家で自分の主を崇めるにとどまっている限りは、だ。しかし彼は度を越してしまったようだ。礼拝室を庭に作り、礼拝と読誦を公然と行うようになった。そんな彼が我々の子どもや妻たちに害を加えることをとても恐れている。そこでそなたからアブー・バクルに、次のことをぜひ伝えてほしい。家の中で崇拝行為に耽るのならそうしてもらうよう。もし、それを拒否し公表したいのであれば、彼から被保護権をはく奪していただきたい。私たちは決してあなたの信頼を裏切りたくはないのだが、アブー・バクルのやっていることに賛成などできない。
  イブン・アッ=ダガナが、クライシュの言葉を使えると、アブー・バクルは次のように言いました :ではあなたに被保護権をお返ししましょう。私はアッラーの保護で十分でございます。


(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P140~141)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

96章解説

2010年10月16日 | ジュズ・アンマ解説

بسم الله الرحمن الرحيم
96章解説

1. 読め、「創造なされる御方、あなたの主の御名において。
2. 一凝血から、人間を創られた。」
3. 読め、「あなたの主は、最高の尊貴であられ、
4. 筆によって(書くことを)教えられた御方。
5. 人間に未知なることを教えられた御方である。」
6. いや、人間は本当に法外で、
7. 自分で何も足りないところはないと考えている。
8. 本当にあなたの主に(凡てのものは)帰されるのである。
9. あなたは、阻止する者を見たか、
10. 一人のしもべ(ムハンマド)が、礼拝を捧げる時に。
11. あなたは、かれ(阻止する者)が、(正しい道)に導かれていると思うのか。
12. 敬神を勧めているか、
13. (真理を)嘘であるとして背を向けたと思うのか。
14. かれは、アッラーが見ておられることを知らないのか。
15. 断じてそうではない。もしかれが止ないならば、われは前髪でかれを捕えるであろう、
16. 嘘付きで、罪深い前髪を。
17. そしてかれの(救助のために)一味を召集させなさい。
18. われは看守(の天使)を召集するであろう。
19. 断じてそうあるべきではない。あなたはかれに従ってはならない。一途にサジダして(主に)近付け。

 この章には、読むことや学習への呼びかけそして、アッラーの人間に対する恩恵の解明が存在します。と同時に富と権力は、時に人々を不正に向かわせ、アッラーが定め給うた境界線を越えさせることに関する説明も含んでいます。

 この章こそが、クルアーンの中で最初に啓示されたものです。大天使ジブリールがこの章の5節を、ヒラーの洞窟でお籠りに励んでいたムハンマド(平安と祝福あれ)に齎しました。残りの節については、違う機会に教えました。その5節は以下のとおりです:

 「読め、「創造なされる御方、あなたの主の御名において。一凝血から、人間を創られた。」読め、「あなたの主は、最高の尊貴であられ、筆によって(書くことを)教えられた御方。人間に未知なることを教えられた御方である。」」

 「読め」がアッラーによる啓示の最初の言葉であり、それが文盲であり無知と偶像崇拝に支配された民の中から選ばれた、文盲のムハンマド(平安と祝福あれ)に下された言葉であったとは驚きです。ムハンマド(平安と祝福あれ)の民は、物質的・思想的文明の外観から離れていたわけです。そこで「読め」の音は、読むことと知識への誘いでありました。このことは私たちに、イスラームは誕生当初から知の性質を帯びていたことと、無知を払拭し、読むことと知ることを広めるためにやってきたことが判明します。

 アッラーが命じ給うた読誦は、「創造なされる御方、あなたの主の御名において」であるべきとあります。つまり、読誦は国や指導者の名においてではなく、主であり全てのものの創造主の名においてなされるものだということです。どのような読誦も知識も至高なるアッラーのためであるならば、すべての状況において善となります。

 続けてアッラーは仰せになります:「(かれは、)一凝血(アラクعلق)から、人間を創られた」アラクは、胎児が形成されるときの第二段階目の姿です。クルアーンは、人間の元の姿、そしてそこからどのように成長して立派な人間になるかに私に私たちの目を向けさせます。この段階を追った姿の変異は、驚異的なアッラーの御力を証明し、世界は偶然によって打ち立てられたとする主張を無効とします。

 アッラーは御言葉を続け給います:「読め、「あなたの主は、最高の尊貴であられ」アッラーを最高の尊貴(最も寛大)と描写する中に、知識(知ること)は最も高貴なアッラーの贈り物であることが分かります。

 その直後のアッラーのお言葉:「筆によって(書くことを)教えられた御方。人間に未知なることを教えられた御方である。」」筆の素晴らしさを掲げ、また筆の重要性を解明しています。筆は今も昔も第一の学習用具であり、知識を拡散させる道具です。しかしこの事実は1400年前―クルアーンが啓示された時代―には、現代のように学校が建てられ、さまざまな知識が広められる中にはっきりしていたように、明白ではなかったわけです。筆の価値と筆がもつ知識や文明の拡散における影響力の解明として、アッラーはクルアーンを初めて啓示し給うた際にこの筆について言及し給うたのです。ここで言っておかなければならないのは、ムハンマド(平安と祝福あれ)は文盲であり、筆で字を書ける人でもなかったということでしょう。それこそが、クルアーンがアッラーからの啓示である証拠です。

 続けてアッラーは、人間が生来から備えている特徴を描写し給います:

 「いや(كلاカッラー)、人間は本当に法外で、自分で何も足りないところはないと考えている」

 カッラー(كلا)はここでは、「本当に」の意味を持ちます。つまり、「本当に人間は、自身を金持ちと見ると、不信と背信において境界線を越える」です。

 富は高い確率で、個人と社会の腐敗を呼び込みます。これはクルアーンが示す事実であり、全ての時代における現実が真実であるとしているものです。富は多くの自我を腐らせますが、それは富が欲望のドアを開くからです。そして欲望は人間に罪を犯させ、腐らせるのです。

 またクルアーンは人間の本質を解明すると同時に、帰り処はアッラーおひとりであることも解明します:「本当にあなたの主に(凡てのものは)帰されるのである」つまり人間には逃げ場はないということです。ここには人間に対する警告と脅しがあります。人間にその間違いから抜け出すためです。

 (10/10/16)私たちの興味を引く個所は、知識と、罪を呼び招く富の結び付きです。そこには現代になって実現したクルアーンの予言が存在します。恩恵と情報の元である知識が、ときに不信と罪に反転するというもので、今日、科学の時代である現代の多くの人間や国に見られる現象です。もちろん、アッラーが人間の本来の姿を知るために覚醒させ給うた人たちはそこから除かれます。

 続いてクルアーンは、アッラーにお仕えする行為から人々を離れさせる者たちに対する警告に移ります。挙げられた例を見てみましょう。「あなたは、阻止する者を見たか、一人のしもべ(ムハンマド)が、礼拝を捧げる時に。」とアッラーが仰せになったアブー・ジャハルですが、彼はここで制止する者として登場します。そして礼拝を捧げるしもべはムハンマド(平安と祝福あれ)です。この二つの節とそれ以降の節はすべてアブー・ジャハルに関して啓示されました。その原因は彼の次の言葉です:「もしわしが、ムハンマドがカアバで礼拝しているのを目にしたら、やつの首をふんづけてやる。」この言葉が預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)に届くと彼は言われました:「彼(アブー・ジャハル)がもしそのようなことをしたならば、天使に人々の面前へ連れて行かれるだろう」

 そしてクルアーンはこの礼拝を阻止する者に対して警告し続けます:「あなたは、かれ(阻止する者)が、(正しい道)に導かれていると思うのか。敬神を勧めているか。」つまり、彼の状態を教えてくれないか?この罪深い礼拝を阻止する者が導かれているのなら、そして敬神を勧めているのなら、それこそ彼にとって最善であり、アッラーに背くよりもより好ましいのではないか、ということです。「(真理を)嘘であるとして背を向けたと思うのか。かれは、アッラーが見ておられることを知らないのか。」彼がイスラームを嘘呼ばわりし、善行を否定しているなら、その彼の状態がどんなものであるかを知らせてくれないか?さて彼は、アッラーが彼の全ての行為を見給い、それらに対して報い給うことを知らないのだろうか、という意味です。

 次にやって来るのは、この罪人に対するアッラーの脅迫です:「断じてそうではない。もしかれが止ないならば、われは前髪(ناصية ナースィヤ)でかれを捕える(لنسفعا ラナスファアン)であろう」ここでの捕えるという意味の動詞は、引っ張り捕えるという意味も含みます。前髪は、前頭部に生えた髪の毛を指し、ときに人間全体か頭を指します。ここの意味は:アブー・ジャハルがムハンマドに対する攻撃をやめないなら、アッラーは天使たちに命令して彼の前髪を捕えて地獄に引っ張りこむだろう、です。ここにはアブー・ジャハルに対する激しい軽蔑の気持ちが込められています。「嘘付きで、罪深い前髪を。」この前髪の持ち主こそが、ムハンマド(平安と祝福あれ)の預言者性を嘘とし、不信と罪に溺れた人なのです。

 アブー・ジャハルの極悪ぶりが垣間見られるシーンは他にもあります。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)がマカーム・イブラーヒーム(イブラーヒームの立ち処)で礼拝していたところにアブー・ジャハルが通りかかり言いました:「ムハンマド。するなと言っただろう。」と念を押しました。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は彼をきつくあしらったため、アブー・ジャハルは預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を叱責します。「ムハンマド、一体どんなことでわしを脅すのだ?この谷に味方をたくさん連れて来ようじゃないか」とアブー・ジャハルが言うと、次の言葉が啓示されました:「そしてかれの(救助のために)一味(ナーディヤنادية )を召集させなさい。われは看守(الزبانية ザバーニヤ)(の天使)を召集するであろう。」アブー・ジャハルに家族や仲間の一味を援助のために連れてこさせればいい。アッラーはその代わりに、審判の日に彼を業火に投げ入れるために罰の任務を負った天使たちを呼び給うだろう。

 続けてアッラーは御自身の使徒、ムハンマド(平安と祝福あれ)に仰せになります:「断じてそうあるべきではない(كلا カッラー)。あなたはかれに従ってはならない。一途にサジダして(主に)近付け。」カッラー:崇拝行為や礼拝をムハンマドから制止するアブー・ジャハルが言っていることは真実ではない。「あなたはかれに従ってはならない」アブー・ジャハルによるあなたに対する礼拝の放棄の命令には。「一途にサジダして(主に)近付け」あなたの主にサジダし、主への愛情と崇拝行為でかれに近付け。本当にアブー・ジャハルはあなたを害することなど到底できない。

 アッラーに捧げられるスジュードは、しもべとして主を崇める形の中で最も上位に来るものです。そしてスジュードの中で人間の地位はアッラーの許で上昇し、アッラーの側近となれます。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は次のように伝えています:《主に最も接近しているのは、サジダするしもべです。みなさん、祈願を多くしてください。》(ムスリムとアブー・ダーウード出典)

 そしてクルアーンの中には、アッラーのためにサジダするよう呼び掛けている節が数多くあります。心の奥底に信仰が沁み込み、主の偉大さを痛感したムスリムの義務として、アッラーにサジダするよう命じられたなら、即時に自分がかれのしもべであることを自認するためにもサジダをするべきなのです。これこそが、アッラーへの愛と感謝で成り立っている主としもべの関係です。だからこそイスラームでは、クルアーンの中にサジダが求められている個所を読んだり、それを聞いた人は「アッラーフアクバル」と言って一回サジダし、再度「アッラーフアクバル」を唱えてサジダから起き上がる決まりを設けています。なおこれは、「読誦のサジダ」と言われます。
(参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/アフィーフ・アブドゥ=ル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーン(P138~142)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

預言者伝11

2010年10月12日 | 預言者伝関連

بسم الله الرحمن الرحيم

34.クライシュによるハーシム家のボイコット:

イスラームはどんどん各部族の間に広まって行きました。そんな中、クライシュは集まってハーシム家とムッタリブ家をボイコットすることを決めました。具体的には、ハーシム家とムッタリブ家の人たちと婚姻関係を結ばず、彼らには何も売らず、彼らからも何も買わない、以上のことを紙上にまとめ、誓い合い、カアバ神殿の中に掲示しました。

 

35.アブー・ターリブ族の中で:

クライシュがこのような立場を取ると、ハーシム家とムッタリブ家は、アブー・ターリブの元に集まり、一つの集団となりました。これはムハンマド(平安と祝福あれ)が預言者として召命されて7年目のムハッラム月(イスラーム暦1月)に起きました。

アブー・ラハブ・イブン・アブドゥルムッタリブは、ハーシム家から脱退し、クライシュ側につきました。そしてハーシム家は、時間と共に、やがてボイコットによる苦しみに見舞われるようになりました。苦しみのあまり、アカシアの葉を食べ、子ども達が空腹のために泣く声は遠くから聞こえました。その上クライシュは、彼らと商人たちの間を阻もうと、商品に高値を付けて、商人が彼らから何も買えないように努めたのでした。

このような状態は3年続きました。必要物資は秘密裏に、また、クライシュの中で彼らに援助したい人たちからしか届きませんでした。それでも預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、苦境にあっても、昼も夜もご自分の民をアッラーへと導きました。ハーシム家は、アッラーからの報奨を願い、苦境に耐え抜いたのです。

 

36.誓約の不履行とボイコットの終了:

そんな中、正義と良心を持つクライシュの一集団が立ち上がりました。そのトップは、ヒシャーム・イブン・アムル・イブン・ラビーア。この不正に満ちたボイコットを心底から嫌う、部族の中における高貴な人々でした。彼らはボイコットを行う人々のところへ行くと、弱者に慈悲をかけること、また、男らしくあることを説きました。その結果、人々の心は良い方向へと変化し、かの誓約を破り、不正に満ちたボイコットを放棄するに至ったのです。同じ意志を持った5人の男達が集まり、誓約を破ることを約束し合うと、善なる心を持った、ズハイル・イブン・アビー・ウマイヤ(母親は預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の祖父アブドゥルムッタリブの娘アーティカ、つまり預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)のおば)が宣言します。:

「マッカの民よ!私たちは食べ、服を着、ハーシム家の人々は滅び続けている。彼らと売買さえもできないとは?!アッラーにかけて、私は、この不正な誓約が破られるまで、決して座ることはありません!」

そこにアブー・ジャハルが邪魔に入りますが、効果はありませんでした。そしてアル=ムトゥイム・イブン・アディーがカアバの壁に掛けられていた誓約書を破るために立ち上がると、何と白アリが「アッラーの御名において」の部分を除いた誓約書をすべて食い尽してしまっていたのです。じつは預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、以前にこのことをアブー・ターリブに知らせていました。そして誓約書は無効となったのです。

 

37.アブー・ターリブとハディージャの死:

アブー・ターリブとハディージャは同じ年(預言者としての召命から10年目)に亡くなりました。私たちの知る限り、この二人は最も長きに渡り、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)と共におり、忠実で、助力者でした。なおアブー・ターリブはイスラームに帰依せずに亡くなりました。二人の死後、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)にさらなる困難が引き続き起こって行きます。

 

(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P138~140)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

預言者伝10

2010年10月09日 | 預言者伝関連

بسم الله الرحمن الرحيم

33.ウマル・イブン・アル=ハッターブの入信:

アッラーは、ウマルの入信によってイスラームとムスリムたちを強化し給いました。ウマルは威厳と力の持ち主であったため、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は彼の改宗がプラスとなるだろうと予測し、アッラーにその成就を祈っていたのでした。

ウマルの妹であるファーティマ・ビント・アル=ハッターブとその夫であるサイード・イブン・ザイドが、彼の改宗に関わりました。二人は、イスラームとムスリムたちに対するウマルの荒々しい態度を恐れていたため、自分たちの信仰を隠していました。そんな中、ハッバーブ・イブン・アル=アルトがファーティマの家へクルアーンを教えるために度々訪れていました。

その日ウマルは、剣を振り回しながら、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)とその仲間たちのところへ向って出かけました。彼らがサファーのとある邸宅に集まっていると耳にしたためです。その途中ウマルは、同族アディーに属する、改宗していたナイーム・イブン・アブドゥッラーに出くわします。ナイームはウマルに、「どこに行くのだ?ウマル。」と尋ねると、ウマルは、「クライシュ族をバラバラにし、おれたちの教えを馬鹿にし、その上、神々を罵倒したムハンマドのところへ行き、彼を殺すのだ。」と答えました。

ナイームは続けます:「残念だな、ウマル!自分の家族を心配した方がいいのではないか?」ウマルは、「え!?おれの家族がどうかしたのか?」こう尋ねると、ナイームは、「婿であり君のいとこでもあるサイードと、君の妹のファーティマはイスラームに帰依している。彼らはムハンマドの教えに従っているのさ。まず彼らをどうにかしたらどうだ?」ナイームは言いました。

ウマルは怒りに震え、行き先を妹の家に変更しました。しかし彼女の家には、アッラーの言葉を記した一片を手にしたハッバーブが滞在しており、ちょうどターハー章をファーティマに読み聞かせているところでした。ウマルがやって来たのを聞き知った彼ら。ハッバーブはすかさず他の部屋に移動しました。しかしウマルはしっかりとハッバーブが何をかを読む声を聞いていたのでした。ウマルは家に入ったとたん、「あのよく分からん声は何だ?」と尋ねると、妹夫婦は、「私たちには何も聞こえません。」と答えました。ウマルは、「いや、そんなことないだろう。おまえ達がムハンマドの教えに入ったとおれは聞いて来たんだぞ」と怒鳴ります。

ウマルに叩かれるサイードをかばうために立ったファーティマにも、ウマルは暴力をふるい、流血させてしまいます。

打ちのめされたファーティマは、ウマルに言いました。:「そのとおり。私たちは帰依し、アッラーとその使徒を信仰しています。さあ、好きにしてください!」

ウマルは血を流している妹を見て、自分がしてしまったことを後悔しました。暴力の手を止めて彼は言います:「お前たちがさっき読んでいた言葉が記されている一片を見せてくれないか。ムハンマドがもたらしたというものを見てみたいんだ。」ウマルは読み書きが出来る人だったのです。兄に頼まれてもファーティマは、「渡したら、何かされるのではと心配です。」と拒否します。ウマルは、「いやいや、怖がらなくてもいい。」と言い、彼が信仰していた多神の名において誓いました。兄ウマルがこのように振舞ったのを見てファーティマは、兄の入信を望みました。「兄さん。あなたは多神信仰のために穢(けが)れています。この一片には清浄な者しか触れられないのです。」

ウマルは立ち上がり、沐浴を済ませました。その様子を確認したファーティマは、ウマルに、かの一片を手渡しました。その中にあるターハー章を読み始めたウマルは感激して言います。:「なんと美しい言葉だろうか!!そして何と尊いこと!!」

このやり取りに耳を澄ませていたハッバーブは、ウマルの面前に現れると、「ウマル!アッラーにかけて、私はアッラーがあなたを預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の祈りの返答として特別な存在とし給うたと願いたい。実は昨日、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)が、”アッラーよ、アブー・ジャハルかウマル・イブン・アル=ハッターブのどちらかでイスラームを強化し給え”と言っておられるのを聞いたばかりなのだ。ウマルよ、あなたが該当したのだぞ!」

そう聞いたウマルは言いました。:「ハッブーブ、ムハンマドのところへおれを連れて行ってくれ。彼の元でムスリムになろう。」ハッブーブは答えて、「彼は今、サファーのある邸宅に、教友たちとおられる。」

 

ウマルは剣を携えて、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)と教友たちのもとへと向かいました。到着するなり戸を叩くウマル。彼の声を聞いた人たちの中の一人が恐る恐る戸の隙間から確認すると、剣を振りかざすウマルが目に入りました。すぐさま預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)のところに戻り、その恐ろしい様子を次の様に伝えました。:「アッラーの使徒様!ウマルが戸におります!なんと剣をかざしておりました。」共にいたハムザ・イブン・アブドゥルムッタリブが言います。:「中に通せばよかろう。もし善を求めた訪問なら、こちらも手を尽くそう。しかし悪を求めているなら、彼の剣で殺してやろう。」預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は言われました。:「中に入れてやりなさい。」この言葉でウマルに中に通されました。

預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、自らウマルの元に向かいました。部屋で彼と顔を合わせると、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、ウマルの締め帯の結び目をつかみ、ぐいと引っ張りました。「何をしにやって来たのかな?ウマルよ。アッラーにかけて、アッラーがあなたに雷でも落とし給わぬ限り、あなたは静かになりそうもない。」ウマルは答えました。:「アッラーの使徒様!私はアッラーとその使徒を信仰するためにやって来ました。そして使徒がアッラーの許からもたらされたものを信じるためにです。」

これを聞いた預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、歓喜のあまり、大きな声で「アッラーフ・アクバル!」と言われたため、家族や教友たちにウマルの入信の知らせが響き渡りました。

そしてウマルは、自身の改宗を公けに公表し、間もなくマッカの住民達に知れ渡りました。当然、彼も迫害の対象になりますが、果敢にも抵抗し続け、最終的に不信仰者たちは彼のことを諦めてしまいました。

 

(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P135~138)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サウジのアバーヤ

2010年10月01日 | その他
アッサラームアライクム

皆さん、お元気ですか?
さて皆さん、アバーヤはお好きですか?
私は愛用してます!

この度、サウジにお住まいのお友達がアバーヤを売りたいとのことで、ご紹介です。
詳しくは、私の別ブログ http://zahrypics.blogspot.com/2010/10/blog-post.html
をご参照ください。

よろしく!

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする