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続)ムスリムの子ども教育-30-番外編

2020年11月11日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-30-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生21」(23:20~36:05  https://www.youtube.com/watch?v=E1iGFAG8nKw)@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/21.html

 

基本:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの相談:「私の息子は、アルハムドゥリッラー、宗教熱心で、義務の礼拝や断食以上に崇拝行為を行ったりしています。ただ少し心配なのは、息子が、過激な思想に傾いて行かないかということです。子どもが過激派などに傾かず、イスラームの中庸の教えに従うよう導く、という難しい課題を、どうしたら実現できますか?」

 

先生のご回答:

まず、息子さんが崇拝行為をきちんと行っていることに対し、アッラーに感謝しましょう。そして、アッラーに対して誠実な息子さんの行いを評価し、あなたが喜んでいるということを息子さんに知らせましょう。決して、「あなたが過激な思想に染まるのではないかと心配している」などと息子さんに言わないようにしましょう。あなたが息子さんの過激化を恐れていることに、息子さんが気付かないよう配慮してください。

 

「そんなに崇拝行為を増やさないようにしなさい。あなたが宗教的に厳しくなるのは心配だ。」と言うのは、まるで子どもに、もっと過激になりなさい、と言っているようなものです。思春期の子ども達は、反抗心があり、親が禁じることを敢えてしたくなります。また、子どものしている事を否定することで、親や周りの大人に自分は理解されていないと感じ、そこから、宗教の名の下にその社会を攻撃するような行為に出たりします。「~してはいけない」と禁止すれば、子どもは、禁止したことへと一目散に向かって行くからです。

 

そうではなく、息子さんが、宗教的に熱心なことを褒め、認めましょう。そして、本当の意味での、アッラーに近づく宗教的に熱心な状態へと息子さんを導きましょう。宗教的に熱心なこと、アッラーに近づくことは、本来、礼儀作法であり、周りの人達に対する「見方」を通した心の状態です。

 

≪慈悲深い者達は、最も慈悲深きお方が、慈悲をかけてくださいます。

地上にいる者たちに 慈悲をかけなさい。

天上のお方があなた方に慈悲をかけてくださいます。≫アブーダーウード伝承

 

という預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の言葉を教えましょう。

 

また、礼拝も断食もしている女性が、猫に食べ物を与えずに、しかも、閉じ込めて餌も探しに行けない状態にして死なせてしまったために、地獄に入れられた話をしましょう。つまり、イスラームの基本は、「見方」に現れる心の本質や、振舞いにおける人徳の基礎や、アッラーの命令事項を行い、禁止事項を避けることです。毎日の時間内の礼拝やラマダーン月の断食、ザカートが義務であれば支払うこと、可能な場合のハッジ巡礼、これらを行うことが敬虔さで、行っている時に心を込めて誠実に行うことや、クルアーン暗記があります。

 

また、もう一点は、もし子どもが義務以上に崇拝行為を行い、宗教熱心な様子が見えたら、すぐに、正しいイスラームを教えてくれる人へと子どもを案内してください。どうか、子どもの宗教熱心な様子を否定して、子どもと正面から衝突しないでください。子どもは、ますますそちらへと進むだけです。もしくは、親が子どもを否定することで、宗教から全く離れてしまうかもしれません。

 

実際、一部の親は、子どもが宗教熱心にならないように、ハラームなことへと子どもを誘導することさえあります。子どもは過激になる代わりに、酒浸りになり、やはり人生を台無しにしてしまいます。アッラーのご加護がありますように。もし子どもが宗教熱心になりすぎて、過激になって行くことを心配されるのでしたら、この時点で、子どもを正しい教えを守っている先生のところに連れて行くといいでしょう。モスクのプログラムに参加させたり、先生の話を聞ける動画などを一緒に見たりするのもいいでしょう。決して否定から入らないよう注意しましょう。アッラーのご援助がありますように。

 

 

視聴者からの相談:「私がネットをしていると、親が何を見ているのか知りたがります。メールを送ると、誰に送ったのか、と聞いてくるし、電話をしていると、誰なの?と知りたがります。何をしても干渉して来る親に対し、どうしたらいいでしょうか。」

 

先生のご回答:

まず、息子さんに伝えたいことは、2つあります。一つ目は、親御さんのこういった言動が、あなたをイラつかせ、失望させることは、よくわかります。こういった干渉は、あなたの尊厳を損ない、どんなに嫌な気持ちがするものかもわかります。ただ、親御さんが、こういった干渉をする理由は、あなたを守りたいからだ、という基本をどうか理解してください。「あなたを守りたいという誠実な気持ち」、ただそれだけです。アッラーに感謝しましょう。あなたには、こうして心配してくれる人がいる、ということに。これは大きな恩恵です。今はわからないかもしれませんが、数年後に、自分のことを気にかけ、守ってくれる人がいれば、と思うでしょう。

 

2つ目は、あなたが開くFacebookやメールなどに、親や友達や誰かに見られたら困るようなものはないか、と自分に正直になって考えてみてください。もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)があなたの部屋にやって来て、あなたのFacebookを見たとしたら、恥ずかしく思うようなものはありませんか?もしあるのだったら、今、この話を聞いたらすぐに、それを消してしまいましょう。

 

次に、この親御さんに伝えたいことは、息子さんの心に、アッラーがいつも見ていることを感じられる状態を築くことに尽力しましょう。アッラーのお嫌いなことをしたくない、という気持ちを育てることです。現在、あなた方がされているような息子さんの毎日の監視は、息子さんにとって、教育的効果は何もありません。息子さんは将来、親元を離れるでしょう、家を出て一人暮らしをしたり、結婚して独立したりするでしょう、その時にどうやって監視するのでしょうか。将来でなく現在も、家では監視できていても、友達の家に行ってスマホやパソコンを使うことは簡単にできます。親が監視して子どもがまっすぐに育つ時代はもう終わりました。現代は、子どもが自分で良し悪しの判断ができるよう、子どもの心に、アッラーの監視を築くことが重要です。

 

ただ、このことは、子どもを放っておく、ということではありません。もちろん説得したり、ルールを設けたりすることはしなければなりません。試験の前に子どもが長時間スマホやパソコンで遊んでいるのに何も言わずに放っておく、ということでもありません。親の義務として、子どもがスマホを使用して安全な状態であるかどうかを確認することは必要です。もし安全な状態にないと思えば、親の前でスマホを開けさせて確認させることも親の権利として可能です。しかしこの段階は、最終段階です。医者がいきなり手術をしないで、薬物療法や食事療法などで効果が出ない場合の最終手段として手術をするのと同様、こういった確認作業は、最終手段です。なぜなら、子どもに対する信頼がないことを子どもに伝える作業だからです。私はあなたを信頼していない、だから、ここでそれを開けなさい、と。これは最終手段としてしか使わないようにしましょう。医者が手術を多用しないように。

 

それ以前の問題として、子どもにスマホやパソコンのイスラーム的に正しい使い方やルールを設けることは必要です。そして、心にアッラーの監視がある子ならば、親が見ていなくても間違ったことをすることはないでしょう。

 

アッラーが子ども達をお守くださいますように。


続)ムスリムの子ども教育-29-番外編

2020年11月03日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-29-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生21」(12:16~23:20 https://www.youtube.com/watch?v=E1iGFAG8nKw)@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/21.html

 

基本:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの相談:「両親は、私が常にクラスで一番になることを期待して、どんな理由であれ、一番以外の成績を取ることは許されません。いつも誰々の息子はお前より頭がいい、と他の子と比べられて苦しいです。どうしたらいいですか?」

 

回答:この息子さんにまずお伝えしたいことは、ご両親があなたの成績に対して大きな期待を持っているのは、ご両親が、あなたにとって善いことを常に願っている、という証拠です。あなたの成績が良いことや、テストで一番を取ること、知識を学び蓄えることはいずれも、ご両親ではなく、あなた自身が得をすることです。また、ご両親が一番を望むのは、あなたにその才能があり、努力すれば実現できることを知っているからです。そして、ご両親の目から見て、あなたはその努力をもっとできるように見え、がんばれば一番になれるのに、と期待しているのでしょう。

 

また、このご両親に対して聞きたいことは、なぜ、息子さんの成績が一番であってほしいのか、根本的に、なぜ、息子さんに学んでほしいと思うのか、という理由です。

 

司会者「親なら、自分の子にしっかり勉強してほしい、と誰もが思うのではないでしょうか。」

先生「何のために?」

司会者「子どものためになるから。それに、いい大学に行けます。」

先生「なぜ良い大学に行くことが重要ですか?」

司会者「卒業後、良い仕事に就いて、自立するため、、、」

先生「目的が重要なのです。私たちの問題は、勉強の目的があいまいなことです。子ども達に、将来の糧を稼ぐために学校に行くのだ、と教えることは間違っています。よく勉強して、良い成績を取れば、良い大学に行けて、良い仕事に就けて、良い生活が送れて、自活することができる、この考え方は、間違っています。間違っている、というのは言い方が厳しいかもしれませんが、それは子どもにとって良い目標設定ではありません。

 

また、大きな間違いは、親が自分の自慢の種にするために、子どもの成績が良いことを望むことです。『私の息子は、トップで大学を出た。』『私の息子は、医者なんですよ!!』と自慢するために、子どもの成績が良いことを望む、これは間違った目的です。子どもの勉強の目的は、将来の糧を確保するためでも、親が自慢するためでもありません。

 

親は、子どもに対し、努力して成績を良くするように奨励します。一番になることを期待します。なぜならば、まず、アッラーがそれを望んでいるからです。

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は言われました。

 

《アッラーは、誰でも何かを為す際には、完璧に行うことを好まれます。》アッタバラーニー伝承

 

子どもが学校に行く時に、しっかり勉強することで、アッラーが自分を好きになってくれる、と動機付けることが、何よりもとても重要です。反対に、子どもが勉強する目的を、あなたが将来困らないように、良い仕事に就くために、お金持ちになるために、近所の人に自慢するために、と親から聞かされて、学校に行く子ども達は、アッラーを目的にする子たちとは全く違っています。

 

子ども達が学校に行く目的、ニーヤ(意思)を、自分をアッラーに近づけてくれる、役に立つ知識を身に着けるため、勉強することにおいてアッラーがお好きな完璧さを実現するため、国やウンマ(イスラーム共同体)を建立するために必要な知識を得るため、アッラーが代理人として置いてくださったこの地球をアッラーがご満足するように管理するため、こういった高尚なニーヤ(意思)を持って学校に行くよう、子ども達に教えることが、とても大切です。そういった高尚なニーヤ(意思)で学校に行く子と、ただ、良い成績を取ったら父親がプレゼントを買ってくれるから、というような目先の目的のために勉強したり、良い大学に行くために勉強する子、良い仕事に就くために勉強する子は、全く違います。プレゼントは現世だけのもので、大学も現世だけのもの、仕事も現世だけのもの、その目的は、アッラーとのつながりが断ち切られています。

 

一方、大学に行き、役に立つ知識を求め、それによって自分の国やウンマの役に立とうと知識を完璧に習得しようとする子、自分にとっても、家族にとっても、国にとっても、ウンマにとっても、世界中にとっても役立つように勉強する子は、目的意識がはっきりしていて遠い将来のことまでしっかり見据えた明確な動機を持つことができます。

 

その違いは、もし、学校や大学で友人たちを通して、勉強に支障が出るような誘惑が来た時、その子に悪影響がある誘惑にさらされた時に現れます。アッラーを目的にして勉強する子は、様々な誘惑を前にしても、元々の学校に行く目的を思い出して、自分が今何をすべきか、正しい判断をすることができますが、ただ良い成績を取ったら父親がプレゼントを買ってくれるから、良い大学に行きたいから、良い仕事に就きたいから勉強する、現世の目的だけを果たす動機で勉強する子は、そういった若者たち特有の様々な誘惑の前にとても弱く負けてしまいがちです。自分が勉強する目的が、ウンマの発展のためにというニーヤ(意思)があれば、農業を学んでも、工業を学んでも、商業を学んでも、医学を学んでも、すべてそれを自分だけでなく、人々の役に立つために、ウンマのために役立てられるよう最大限の努力することができます。

 

親として重要なことは、勉強のふたつの目的を子どもの心に植えてあげることです。

  • アッラーが好きになってくれるように、完璧に勉強すること
  • ウンマのために役に立つために勉強すること

この二つの目的が心にある子どもは、自分の才能や興味のあることに応じて、どんな分野に進んだとしても、そこでがんばることができ、目的を間違えることなく、誘惑に負けることなく、知識の習得を達成することができるでしょう。

 

どうか子ども達の学びの目的を、糧を得るため、お金のためだけに限定しないでください。糧はアッラーが与えてくださいます。正しい目的で勉強することができれば、まず子どもの勉強に、アッラーからのタウフィーク(成功)がやって来ます。そして2つ目に、自我や周囲からの悪い誘惑に負けることなく目的を達成するために努力することができます。3つ目に、この目的を子どもに思い出させることにより、努力することを子どもに教えることができます。「ウンマはあなたを必要としているから頑張りなさい。」、「あなたの才能をたくさんの人が必要としていますよ。」、「ムスリム達にはあなたのことが必要です。」こういった声かけをして、子ども達を励ますことができます。

 

こうした正しい動機付けによって、現代のムスリムの若者達の持っている、自分たちの置かれた不公平な環境に対する怒りや憎しみ、またパレスチナやシリアに対する憤りを、権力に反抗することやテロに走ることで解消しようとするのではなく、国の発展やウンマの発展に自ら貢献することでプラスの方向に解消する道を示すこともできます。それは、子ども達を、ただ自分の糧を稼ぐためだけに勉強することを目的とさせることよりも、ずっとすばらしく、イスラーム社会にとっても大きな利益があります。

 

私たちがムスリムの子ども達に、学びにおける正しい目的を伝えることができますように。