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続)ムスリムの子ども教育-16-イスラームにおける思春期の子ども達とのかかわり方(7) 異性への興味

2020年01月28日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生16」(30:00~40:38)

https://www.youtube.com/watch?v=8IKeIlrPnnk   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(7) 異性への興味

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

質問:子どもの異性への興味や性欲について、親はどのように対処したらいいですか?

 

回答:まず、親が子ども達に伝えなければならないことは、「両親に従うことと両親の満足は、現世と来世の幸せの源である。」ということです。この事は、すべてのムスリムの子どもが共通認識とすべき事柄です。特に、日本では、家庭以外にイスラーム教育を行う場所がほとんどなく、家庭で教えなければ、こういった基本的なことも知らずに育ってしまう、という危険性が大いにあるため、十分注意すべきです。

日本では、こういったことは、親が教えなければ、誰も子どもに教えてくれません。両親に対する振舞いは、実のところ、アッラーに対する振舞いであって、両親に対して行っているのではないことを理解しておくこともとても大切です。なぜなら、アッラーがお命じになられた両親への孝行によって、子どもは、アッラーへの崇拝行為を行っているからです。

 

【われは人間に、両親に対して親切にするよう命じた。】クルアーン29蜘蛛章8

 

そのためムスリムは、親を騙したり、親に対して反抗したり不誠実な態度を取る、ということはできません。もしうまく両親に隠れて何かをすることができたとしても、アッラーは、決して騙すことができないからです。

 

次に、親の側が、子ども達にしていくべき点がいくつかあります。

 

1)子どもが親孝行をできるよう助けること:

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

《子どもが自分に親孝行できるよう、子どもを助ける親に、アッラーが慈悲をお与えくださいますように。》イブンハッバーン伝承

 

自分に親孝行するように勧めること、親孝行の子どもに育てることが、アッラーのご満足を得ることになります。イスラームにおける親子の関係は、この重要な基本を忘れないことが大切です。

 

2)子どもの心に、いつもアッラーが見ているという感覚を育てること:

ある著名な先生のところで学んでいた生徒達が、先生が1人の生徒だけを特別に見ていると、先生に対して、不平を言いました。

「どうして彼だけ特別視するんですか?」

「彼には、特別の才能があるからです。」

「そんなことはありません。私たちも皆、同じです。」

ある日、先生は、生徒たちに宿題を出しました。鳥を一羽、自分だけの手で、誰も見ていないところで屠り(ほふり)、きれいに洗って掃除してから、翌日、学校に持ってくるように、という宿題でした。

翌日、生徒たちは、手に手にきれいに下処理をし終わった鳥を持って、得意げに学校にやって来ました。

ところが、先生に特別視されていた子だけは、手ぶらです。生徒たちは、彼を馬鹿にし笑って言いました。

「先生、これが、あなたが特別な才能があると言った子ですか?先生の言いつけも守れないじゃないか。」

先生は、その子に尋ねました。

「どうして宿題をやってこなかったのだ?」

その子は申し訳なさそうに答えました。

「先生、僕には先生の出した宿題ができなかったんです。だって、先生は、誰も見ていないところで鳥を屠る(ほふる)ようにと言いました。でも、鳥を屠ろう(ほふろう)と部屋に入っても、どんなところに行っても、アッラーがいつも僕と一緒にいるんです。」

先生は、生徒たちに言いました。

「この才能です、私が彼を特別視しているのは。」

 

子どもが小さい時から、このアッラーがいつも自分を見ている感覚を、子どもの心の中に育てることが、思春期の子ども達のためにとても役立ちます。子どもが自分の内側からの欲望や衝動にかられて、その強い願望にもて遊ばれる思春期の時期には、親がどんなに規制をしても、どんなにルールを作り、禁止したりしても、子どもを抑制することはできないでしょう。子どもは、自分の内側の欲求と戦って、少し弱めることや後回しにすることができたとしても、最後には欲が勝ってしまうでしょう。そして、現代では、親が子どもの行動をすべて監視し管理することは不可能です。

 

子どもの心の中に、アッラーへの愛情を育てることです。もちろん、アッラーへの畏怖の念やアッラーへの期待、アッラーの元にあるすばらしいものへの期待も大事です。しかし、アッラーへの愛情、アッラーのことが好きだから、アッラーを悲しませることをしたくない、という気持ちを子どもが感じていれば、欲望と戦わなければならない時期に、子どもにとって大きな助けとなります。

 

 

質問:現代は、インターネットやテレビで、欲望を刺激するものが沢山溢れています。そういったものに囲まれている中で、子ども達はとても大変だと思いますが。

 

回答:もちろん、そういった誘惑の多い環境を作る大人には、大きな責任と罪があります。お金儲けのために、欲を刺激するハラームの番組を作るテレビの制作会社やスポンサーや、それに歯止めをかけない政治家など、ハラームの番組制作にかかわる大人全てに責任があり、罪があります。しかし、私たちは、この番組で、社会の責任を追及する前に、自分個人の責任を追及することを目的にしています。アッラーは、自分がしたことしか追求しないからです。個人個人が改善されれば、それがすなわち、社会の改善になります。

 

 

質問:現代のような環境の中で、子ども達が、昔の敬虔な方たちのように、自分を守ることはできるのでしょうか?

 

回答:人々は、それが無理なこと、不可能なことのように錯覚しています。そして、実はその間違った錯覚が、善いことを実行に移すことを妨げてしまっています。しかし、実際に、現代でも、少なくない数の子ども達が、自分を守り、貞淑であることを貫いている、という事実があります。世界中で見れば、このような現代においても、その数は膨大です。

では、貞節を守る男の子達、貞節を守る女の子達は、他の子ども達のように危険な環境にさらされていないのでしょうか。彼らも他の子ども達と同じ現代に生き、目の前にある同じ誘惑の多い環境にさらされていますが、アッラーのご加護により、貞節を守っています。違いは、イスラームの人徳を守ること、アッラーがいつも自分を見ていると感じること、そして、これは重要な点ですが、間違えた時に、自分の間違いを直視して自己反省する勇気があること、です。

 

重要な点:

1)自分に嘘をつかないことを教える:

人は誰でも間違えることがあります。特に、まだ大人になっていない思春期の子ども達が間違えるのは当たり前のことです。ただ、後戻りできないような大きな間違いを犯さないこと、そして、小さくても何か間違いを犯した時に、自分で間違いを認め、悔悟する勇気を持つこと、が大切です。自分自身に言い訳をして、自分の罪を認めないことは、その間違いを継続して行い、もっと大きな罪に導かれることを招きます。あの時は仕方がなかった、友達に誘われて断るなんてできないから、私は本当はしなくなかったけれど、あの子があんなことを言い出さなければ、、、等、「自分が悪い」というたったそれだけのことを認める勇気がないために、他人のせいにしたり、周りのせいにしたり、様々な言い訳を考えます。それらはすべて事実ではなく、自分に対する嘘です。親は、子どもに、自分に正直になること、自分に嘘をつかないことを教え奨励すべきです。それは教育においてとても大切なことです。

 

2)子どもとの話し合いの扉をいつでも開けておくこと:

いつでも子どもの話を聞く態勢を保ち続けることが大切です。子どもが間違いを犯してしまった時に、すぐに親に相談できる親子関係があることは、その後に起こる間違いを防ぎ、もっと大きな間違いを犯すことから子どもを守ります。基本的に、子どもが安心して何でも親に話せるような子どもとの強い信頼関係があることが大切です。子どもが間違いを犯して正直に親に話した時に、親から怒られず、親が一緒に解決策を考えてくれるとわかっていれば、子どもは親のところにやって来ます。そうすれば、自分一人では解決が難しい深刻な問題に陥っているような場合にも、大きな問題になる前に親が救うことができます。

 

悪い友達からタバコを薦められてタバコ位ならと吸ってみたら、次は、覚せい剤を薦められ断れずに吸ってしまった、その事実を親にばらされたくなければ、次はコカイン、次は、、、と、子どもは、軽い気持ちから、自分では歯止めをかけるのが難しい危険な犯罪に陥ってしまうこともあります。しかし、その間違いの最初の何回かの段階で、子どもは自分自身で間違いに気付いており、止めたいけれどどうすればいいのか、、と困惑し戸惑っている期間があるでしょう。

 

この期間は、とても貴重な重要な期間です。その時に、親子が強い信頼関係で結ばれていれば、子どもが親に正直に、「お母さん、話があるんだけど。実は、大きな間違いを犯してしまったの。この前、友達に覚せい剤を薦められて、断り切れずに吸ってしまった。」と打ち明けられます。自分の間違いを親に話せるかどうかは、話しても、親が自分を受け止めてくれるという確信が子どもの中にあるかどうかです。親がパニックになって子どもに手をあげたり、「なんてことをしたの!!もうあなたのことは絶対に信用しない!」と子どもを切り離すような言動をとることがない、と子どもがわかっていれば、必ず子どもは困った時に親のところに来ます。

 

子どもが大きな問題に陥る前に、親に相談できることは、まだ一人ですべてを解決することができない子どもにとってはとても安心で、大きな助けになります。しかし、もし子どもに、親に対する信頼がなければ、シャイターンにチャンスを与えてしまい、子どもが間違った行いを継続し、引き返せないギリギリの境界線までも超えてしまうことにもなりかねません。

 

また、兄弟や姉妹がいる場合、彼らとの関係も重要です。兄が弟の間違いを暴露して、親の愛情を独り占めしようとしたり、反対に、兄弟が協力して、お互いの間違いが親にばれないように裏で結託したり、ということは、両方とも間違いです。家族関係の根本、アッラーへの崇拝行為として親子関係や兄弟関係を築くことを、子ども達に教える必要があります。

 

思春期に役立つ子ども教育にとって大切なこと:

1)アッラーがいつも自分を見ているという感覚を子どもの中に育てること

2)アッラーへの愛と畏怖の念、期待を子どもの中に育てること

3)子どもと何でも話せる信頼関係を築くこと

4)子どもが自分の間違いを認める勇気を持てるよう奨励すること

 

 

 

世界中のムスリムの子ども達とご両親にアッラーのご加護とご援助がありますように。

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続)ムスリムの子ども教育-15-思春期の子ども達とのかかわり方(6) 子どもの言い訳

2020年01月01日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-15-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生16」(16:54~30:00)

https://www.youtube.com/watch?v=8IKeIlrPnnk   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(6) 子どもの言い訳

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

質問:現代の子ども達の環境は、インターネットやスマホ、ゲームなどに囲まれていて、私たち、親が育った環境とまったく違ったものになっているため、親と子の世代間のギャップが大きくなっているように感じます。これはどうすれば解消できますか?

 

回答:まず、子ども達が、親と自分たちの時代は全く違い、親の意見は古臭く、聞く価値がない、と決めつけているとしたら、それは子ども達の間違いです。しかし、親の方も、子どもの意見はいつも間違っていて、聞く価値がない、と思っていたり、または実際に、子どもの意見をじっくり聞く時間を取らずに、親が先にすべて判断し、話し合いの余地なく、親の意見を子どもに押し付けているとしたら、それは親の側の大きな誤りです。子どもの理性的に訴えかけ、納得するまで話し合うことはとても大切です。また、子どもの信仰心に訴えかけること、子どものナフス(自我)に訴えることも大切です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の対応を学ぶよい話があります。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代に、ハワート・ブヌ・ジャビール様(アッラーのご慈悲あれ)というサハーバがいました。当時、彼はまだ年若い青年でした。ある時、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と一緒に出掛けた際、ダーラン(サウジアラビアにある町の名前)を通りかかった時のことがハディースで残っています。

ハワート・ブヌ・ジャビール様(アッラーのご慈悲あれ)は言いました。

 

「私たちが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と一緒に出掛けた際、ダーランを通りかかりました。彼は言いました。:私は自分のテントを出て、話をしている女性たちと一緒にいましたが、彼女たちが気に入ったので、家に戻るとカバンを取り出し、そこから衣装を一着取り出すとそれを着て、また戻り、彼女たちと座っていました。すると、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、建物から出て来て言いました。

《アブー・アブドゥッラーよ、なぜ彼女たちと座っていますか?》

私は、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を見た時、畏れを感じ、混乱して言いました。

『アッラーの御使い様、私のラクダが逃げたので、捕まえたいのです。』

彼は通り過ぎ、私は彼の後を追いかけました。すると、彼は私にご自分の上着を預け、ミスワークの木に入りました。まるで、ミスワークの木の緑に、彼の背中の白さを見ているようです。そして、彼は用を足すと、ウドゥーをし、やって来ました。彼の髭から胸の上に水が流れていました、もしくは、彼の髭から胸の上に、滴(しずく)がしたたり落ちていました、と彼は言いました。

そして、おっしゃいました。

《アブー・アブドゥッラーよ、逃げたラクダはどうしましたか?》

しばらくして、私たちは出発しました。そして、道で私に会うたびに、こうおっしゃいました。

《あなたに平安がありますように。アブー・アブドゥッラーよ、あの逃げたラクダはどうしましたか?》

私はそのことがわかり、マディーナへ急いで戻りました。そして、マスジドを避け、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と一緒に座ることも避けました。しかし、その状態で長い期間が過ぎ、私は、マスジドで一人になれる時間を待ち、礼拝し始めました。すると突然、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、部屋から出て来て、2ラクアの簡単な礼拝をなさいました。私は、彼が行ってしまい、私を放っておいてくれるといいと思い、礼拝を長くしました。すると、彼はおっしゃいました。

《アブー・アブドゥッラーよ、好きなだけ長くするといい。あなたが終わるまで、私が立つことはありません。》

私は心の中で思いました。:アッラーに誓って、アッラーの御使い様に謝り、彼の心を安心させよう。

そして、彼が、《あなたに平安がありますように。アブー・アブドゥッラーよ、あの逃げたラクダはどうしましたか?》と言った時、私はこう言いました。『真実をもってあなたを遣わされた御方にかけて、私は入信して以来、ラクダが逃げたことはありません。』

すると彼は、《アッラーがあなたにご慈悲をおかけくださいますように。》と3回おっしゃいました。その後、二度とそのようにお尋ねになることはありませんでした。」タバラーニー伝承

 

 

ハワート様(アッラーのご満悦あれ)は、女性たちと座って話をしていました。現代でもムスリムの男の子達は、「彼女はタダの友達だよ。」と言い、女の子達とおしゃべりをしたり、冗談を言い合ったりしています。彼らは、「タダの友達」という言い方をします。先生が学生だった頃にも、そういう言い方をして、女の子達とおしゃべりしている男の子達がいました。その前の時代にも、そのまた前の時代にも同じようにいました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代にも同じように、そういう男の子達がいたのです。時代が変わっても、一部の男の子達は、自分たちの間違いを取り繕うように同じ言い方をするものです。

 

彼らは、年頃の男の子と女の子が、何の制約もなく、自由におしゃべりをして、冗談を言い合って、笑い合い、一緒に食事をして、男の子の手が女の子の肩に触れたり、男の子がふざけて女の子の髪を引っ張ったり、、、、そういった交流をしても、彼らは、まったく異性に関心のない、全く欲を持たない「機械」だから大丈夫、とでも言うのでしょうか。自分たちは、人間ではなくなったのだ、と言うのでしょうか。本来、男女が自由に交際することで、確実にそこには、間違いが起こる余地が産まれます。実際、現代の年頃の男の子達と女の子達は、そういった間違いに陥っている子が多くいます。しかし、最初はみな、「タダの友達」だったのではないでしょうか。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ハワート様(アッラーのご満悦あれ)が、女性たちとおしゃべりしているのを見た時、どうなさったでしょうか。すぐに、「ハワート、何をしているんだ!そんなところにいてはいけない、来なさい。ここに来て、アッラーに赦しを乞いなさい。どうしてあんなことをしていたのか!!」とはおっしゃいませんでした。

ただ、《アブー・アブドゥッラーよ、なぜ彼女たちと座っていますか?》

とお尋ねになりました。彼(アッラーのご満悦あれ)が、女性たちと座っておしゃべりをしているのを目撃したにもかかわらず、もう言い訳の余地がない状態であるにもかかわらず、ただ、そうお尋ねになられたのです。

 

 

質問:現代では、ムスリムの間でも、男女間の状態が、「タダの友達」ではなく、彼氏、や彼女、という子もいます。親が知らないところで、スマホやインターネットで異性とつながって、チャットをしたり、深夜までおしゃべりをしたりできます。どうすればいいでしょうか。

 

先生:現代は、昔のように、子どもの行動を「監視」することによって、子ども達を守ることができた時代は終わりました。子どもの行動を逐一監視し、携帯の履歴をチェックし、すべてのメッセージを読み、そうやって子どもを見張ることができた時代は、もう終わったのです。その方法は、現代の子どもの正しい教育方法ではありません。現代の教育方法は、子ども達の心の中に、自制できる力を育てることです。それしか、子ども達を守る方法はありません。自分で自分の行動をチェックして、判断できる力を育てることが大切です。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、女性たちと座って話をしている彼(アッラーのご満悦あれ)に声をかけ、彼(アッラーのご満悦あれ)が、「アッラーの御使い様、私のラクダが逃げたので、捕まえたいのです。」と言うのを聞いて、その言い訳をとがめることなく受け入れ、その後に、ご自分の上着を彼に預けています。私はまだあなたのことを信頼していますよ、と、彼をまだ良い見方で見ていることを伝えています。

 

一部の親は、子どもが間違いを犯したのを見た後に、子どもがカバンを持って来てくれても、「私のカバンに触るんじゃない!もうお前のことは信頼できない!!」と言い、子どもとの関係を切ってしまうことがありますが、それは間違いです。すべての信者たちの父親である預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、そうはなさいませんでした。ご自分の上着を、彼(アッラーのご満悦あれ)に預けて、私はあなたに対する期待をまだ捨てていませんよ、と伝えています。

 

その後に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、彼(アッラーのご満悦あれ)に会うたびに、二人だけがわかる言葉で話しかけます。

《あなたに平安がありますように。アブー・アブドゥッラーよ、あの逃げたラクダはどうしましたか?》

これは隠喩のような働きをしています。女性を追いかける気持ちを、ラクダを追いかける話で思い出させているようです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)からそう言われるたびに、彼(アッラーのご満悦あれ)の中の恥ずかしさが増し、自分で自分の間違いに気づき、自分の中の理性が呼び起こされ、彼(アッラーのご満悦あれ)は、自分の間違いにはっきり気づき、それを正すことができました。

 

親は、子どもの言い訳がどんなに稚拙で、どんなにあり得ないものであっても、その言い訳に敬意を払うべきです。子どもがその言い訳をしたのは、子どもが自分の間違いに気付いているからです。その言い訳を尊重して、そこから対話を始めることが大切です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、彼(アッラーのご満悦あれ)の言い訳を、「嘘をつくな。お前は、女性と話したかっただけだ。」と否定したりなさいませんでした。その代り、彼(アッラーのご満悦あれ)に会うたびに、《あの逃げたラクダはどうしましたか?》と彼(アッラーのご満悦あれ)が自分で言った言い訳を思い出させ、彼の中の自制心を呼び起こすように語り掛け続けました。

 

私たちが、子ども達に対する預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の教育法を身につけられますように。

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