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続)ムスリムの子ども教育-34-

2021年05月02日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-34-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生22-2」(最初~最後)@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/22.html 

 

基本:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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思春期の女の子の教育について~預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘さん達への接し方

 

質問:預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘、ファーティマ・ザハラー様(アッラーのご満悦あれ)は、どんな方でしたか?

 

回答:

ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、ハディージャ様(アッラーのご満悦あれ)が亡くなった時、15歳でした。ファーティマ様(彼の上にアッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の4人の娘達の中で、お姿も性格も預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に最も似ておられました。

アーイシャ様(アッラーのご満悦あれ)は言われました。

 

《私は、アッラーの使徒様の娘ファーティマよりも、言葉や話し方が彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に似ている人を見たことがありません。》アル=バイハキー伝承

 

《私は、アッラーの使徒様の娘ファーティマよりも、お姿や所作や優れた態度が彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に似ている人を見たことがありません。》アブーダーウードとナサーイーとイブン・ハッバーン伝承

 

ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)が他の娘さん達よりも預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に近しい存在だった理由はいくつかあります。まず、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)以外の3人の娘ザイナブ様とルカイヤ様とウンム・クルスーム様(彼女たちにアッラーのご満悦あれ)は、結婚後、家を出て夫と暮らしていましたが、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が叔父のアブー・ターリブから引き取ってお育てになられたアリー様(アッラーのご満悦あれ)とご結婚され、ご結婚後も預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の部屋の隣に住んでいました。

 

また、他の3人の娘達は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が生存中にお亡くなりになられましたが、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)だけは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の最期まで一緒におられました。その時のハディースがあります。

 

引用「アーイシャは次のように伝えている。

アッラーの使徒は彼の娘ファーティマを呼び、彼女に何事かを秘かにささやいた。すると彼女は泣いた。

それからまた彼は彼女に秘かに何事かをささやいた。すると彼女は笑った。

そこで私は彼女にこう尋ねた。

「アッラーの使徒があなたに秘かにささやいて、それであなたが泣いたことは何ですか?またあなたに秘かにささやいて、それであなたが笑ったことは何ですか?」

そこで彼女は次のように答えた。

「彼は私に秘かに彼の死のことを伝えたので私は泣きました。

それからまた私が彼の家族の中で彼の後を最初に追う者(注)であると伝えたので私は笑いました。」

 

(注)つまり天国へ行くの意味で、彼女が夫や子供達よりも早く死んで預言者と天国で最初に会うだろうということを暗示している」サヒーフ・ムスリムhttp://www.muslim.or.jp/hadith/smuslim-top-s.html 

 

自分の死が告げられたにもかかわらず、父親のすぐ後に逝けることを喜び笑う、というのは、いかに彼女が父親である預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と深くつながっていたかを表しています。ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の告げられた通り、彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の死後6ヶ月後にお亡くなりになられました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が亡くなられた後、彼女がお亡くなりになるまで、一度も笑ったのを見たことがない、という伝承もあります。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を埋葬した後、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、アナス様(アッラーのご満悦あれ)にこうお尋ねになられました。

 

《アナスよ、あなた方は、アッラーの使徒様の上に、平気で土をかけたのですか?》アルブハーリー伝承

 

アナス様(アッラーのご満悦あれ)は、「もし埋葬する前にそれを聞いていたら、私たちは彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を埋葬することができなかったでしょう。」と言われていました。

 

ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のお墓に行かれると、その土を手にお取りになって、その土に預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の香りが残るという詩を詠まれました。間違いなく、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に対して特別な強いつながりがありました。これはアッラーからの恩恵であることに加え、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の教育によります。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、自分の娘であるファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)と一緒に遊んだり、話をしたり、彼女をとても可愛がっていましたが、同時に、人生の目的や価値というものをしっかりと教えていました。

 

啓示の開始とダアワ(人々にアッラーへと呼びかけること)におけるファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)

 

ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)が5歳のとき(610年)父親に啓示が開始されました。そして、8歳のときにダアワが公然化され、生活が一変します。ダアワが始まってからの生活は、苦労、忍耐、ジハードの連続でした。当時ザイナブ様14歳、ルカイヤ様13歳、ウンム・クルスーム様9歳(彼女達にアッラーのご満悦あれ)で既に全員結婚していたため、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)以外は、家を離れていました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)40歳の時です。

 

引用「アッラーの使徒が館(カーバ神殿)の脇で礼拝していたときアブー・ジャフルと彼の仲間達がそこに座っていた。(近くに)雌ラクダが一頭その前の日に犠牲として殺されて遺体がそこにあった。そこで彼(アブー・ジャフル)がこういった。

誰か某部族の雌ラクダの胎盤を取ってきてムハンマドがサジダ(頓首)したときに彼の両肩にそれを置いてくる者はいないか?

それで人々の中でも最も呪われた醜い者がそのために送られた。彼はそれを取り、預言者が頓首(とんしゅ)したときにそれを彼の両肩にかけた。こうして彼らは彼(預言者)を笑い者にし、お互いに笑いころげてもたれかかった。私はこの光景を立ったまま見ていた。もし私にそれを禁じる力があったならアッラーの使徒の背中からそれを取り去ったことでしょう!

一方、預言者は頓首したまま頭を上げなかった。そしてある者が(彼の家に)走り、娘のファーティマにそのことを告げた。それで未だ少女だったファーティマがかけつけて彼からそれを取り除いた。それから彼女は彼らの方に向き直り彼らを非難した。

さて預言者は礼拝を終えると声高に彼らを呪った。彼は祈るときいつも三度祈り、またアッラーのみ恵みを求めるときもまた三度求めた。それで彼は三度次のようにいった。

おおアッラー、クライシュ族のことはあなたにお任せします。

彼らは彼の呪う声を聞いたとき、彼らの笑いが消え、彼の呪が怖くなった。それから彼(預言者)はこういった。

アッラーよ、アブー・ジャフルとウトバ・ビン・ラビィーアとシャイバ・ビン・ラビィーアとフリード・ビン・ウクバとウマイヤ・ビン・ハラフとウクバ・ビン・ムアイト(彼は第七番目の男の名前も述べたが私はそれを覚えていない)をあなたにお任せします。

ムハンマドを真理とともにお送り下さったお方に誓って確かに私はバドルの戦いの日に彼が指名した者達が(皆)殺された姿を見た。」サヒーフ・ムスリムhttp://www.muslim.or.jp/hadith/smuslim-top-s.html 

 

ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)が10歳くらいの時、カアバ神殿のところに集まっていた民達が自分の父親の暗殺計画を立てているのを聞き、泣きながら預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに帰って来ると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は彼女に尋ねました。

「どうしたのですか?」

「あなたの民が、あなたを殺そうとしています。」

「あなたの父の心配をする必要はありません。アッラーがお守りくださいます。」

そう言うと、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ウドゥーをされ、その滴が髭からしたたり落ちる姿でカアバ神殿のところに行き、彼らを見ると、彼らに挨拶をしました。彼らは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を見ると、その御姿に頭を垂れて、何もすることができませんでした。ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)はそれをご覧になると、安心されました。

 

こうして、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元で、ダアワに専念する父親と困難を共にし、人生の価値や目的を父親の姿から学んでいかれました。

 

現代のムスリムの女の子達は、十代になっても、まだ人生の目的がはっきりと定まらない、ということがあります。人生で何を成し遂げて行くのか、がわからない、という状態にあります。彼女達の一番の関心事は、ファッションやお化粧、香水のことだったりします。もちろん、こういったものを楽しむこともイスラームですべて禁じられている訳ではありません。許されている範囲で楽しむことはできます。しかし、人生の目的、最大の関心事が何か?という点において、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)は、父親の預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)から、自分の人生に責任を持つこと、という一番大切なことを教わっていました。母親のハディージャ様(アッラーのご満悦あれ)が亡くなった後、いつも英雄である父を励まし労わった亡き母の跡を継ぐのは自分であると、自負していました。そのためファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)には、『父親のお母さん』の呼称がつけられたほどでした。

 

アーイシャ様(アッラーのご満悦あれ)は言われました。

《預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに彼女(ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ))が、来ると、彼女のために立ち上がり、彼女にキスをして、彼の席に座らせました。また、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が彼女のところに来た時には、彼女が彼のために席から立ち上がり、彼にキスをし、自分の席に彼を座らせました。》アブーダーウードとナサーイーとイブン・ハッバーン伝承

 

小さい時に両親に先立たれ、孤児としてお育ちになった預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、年上のハディージャ様(アッラーのご満悦あれ)と結婚され、母親のような優しさと愛情を手にしましたが、ハディージャ様(アッラーのご満悦あれ)亡き後は、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)がその役目を果たしておられました。

 

《預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が旅をする時には、人々の中で最後に会うのはファーティマ様でした。また、旅から戻られると、一番最初に会いに行くのは、ファーティマ様でした。》アル=ハーキム伝承

 

旅から戻られると、自分の妻よりも先に会いに行くのがファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)でした。

 

質問:私たちが現代に模倣できる預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が娘さん達に対してされていた教育は何でしょうか?

 

回答:一番重要なことは、娘に対する愛情です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、娘達に対して、深い愛情とやさしさ、慈愛を注いでいました。これは、とても大切なことです。父親は、時々、娘達に対してできることは、金銭的や物質的な援助だと勘違いしていることがあります。高い服や香水、鞄を買ったり、大きくなったら車を与えたり、本当はそういったものでは女の子は満たされません。本当の意味での女の子達へのサポートは、親から娘に対して注がれる大きな愛情です。

 

二つ目は、女の子の意志を尊重することです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、娘さん達の意見を尊重していました。以前、お話したように(『続)ムスリムの子ども教育-17-』参照)、娘のザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の許可なく、夫を保護する、という決定を自分一人で決め、それを大勢の人前に出て発表する、という行動を起こしました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、娘の決定と行動を尊重し、そのことが、イスラーム的に問題がないことを人々に告げ、娘の行動を支持しました。その結果が、アブー・ル=アース様(アッラーのご満悦あれ)の入信につながりました。このザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)の決断力と行動力は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が彼女の意見を尊重して来た教育の賜物です。現代では、親が子どもを子ども扱いして甘やかして、子どもの意見を尊重していないことがあります。(次回に続く) 

 

私たちが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のように子ども達の意見を尊重することができますように。



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