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続)ムスリムの子ども教育-33

2021年03月13日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-33

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生22-1」(最初~最後)@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/22.html 

 

基本:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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思春期の女の子の教育について~預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘さん達への接し方

 

質問:イスラームでは、思春期の娘に対して、どう接するのが理想的ですか?

また、娘達を取り巻く環境は、親世代の時代とどう異なりますか?

 

回答:私は、現代のすべての思春期のムスリマの女の子達の教育に問題がある、と言うつもりはありません。アルハムドゥリッラー、現代でも、アッラーのご援助により、娘さんのいる多くのムスリム家庭で、イスラーム教育によって、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の心に喜びをもたらすような、責任感のある、純潔ですばらしいムスリマの女の子達がたくさん育っていることは、本当に喜ばしいことです。しかし、一方、また多くの家庭で、もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がその家を訪れたら、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の心に痛みをもたらすような女の子達がいることも事実です。

 

現代特有の、女の子達への特殊な圧力によって、ムスリマの女の子たちは、アッラーが女性に恵まれたイスラームの恩恵から追放されています。現代の女性の問題は、とても深刻です。一昔前は、単純に、女性差別、男尊女卑が世界的な問題とされていましたが、現代は、その問題に輪をかけて、新たな差別が起きています。それは、「女性解放」という名の女性差別です。女性解放という名の下に、女性を、経済効果を上げるための道具に使用したり、女性を卑しめる、害のある文化に女性が乱用されたりする、という新たな女性差別が起きています。

 

現代の女性たちは、社会が自分達に求めているものに深く苦しめられています。例えば、女性が、政界に入れば、ただ「女性」ということで必要のない脚光を浴び、内閣に何人女性の大臣がいるのか?ということが話題になり、経済界に身を置けば、女性というだけで、女社長、女性企業家、と余計な注目を浴び、成功しても失敗しても、「女性」のせいにされたりします。社会全体が、女性、女性、と叫び声を挙げている中で、女の子達は、思春期から青年期まで、昔とは異なる奇異な注目を浴びて生きて行かざるを得ません。

 

また、現代は、多くの人の価値観が多様化する中で、「欲」が神聖化され、「自分のしたいことをする」ことがまるで尊いことのように扱われる時代に、私たちは生きています。欲望や願望、自分のやりたいことが、「自由」というとても美しい名の下に正当化され、「人間解放」というスローガンによって、人が欲の奴隷になり下がることが神聖化されている時代です。そして、自分のやりたいこと、欲望の正当化の圧力を一番受けるのが、女性である一方、女性が実際にそれを行うと、当の女性に批判が集まる、という矛盾も起きています。そういった現実を前になお、女性は、自由や解放の対象として扱われ続けています。

 

もう一つ付け加えると、この問題には、ムスリム達の、自分の宗教であるイスラームの理解が脆弱であることが背景にあります。現代のムスリム達が、イスラームを表面的、または、過激的にしか理解しておらず、真のイスラーム理解から遠く離れてしまっていることがこの問題をより深刻にしています。このことが原因で、例えば、女性は信頼に値しない、女性が何か意味のあることに参加することはできない、女性は価値がない、という嘘の主張を、クルアーンやハディースの間違った引用により強引に捏造し、それを拡散し、クルアーンやハディースの権威を貶めています。クルアーンやハディースは、これらの主張とは何の関係もなく、全くの無実です。

 

「あなたの好きなことをするのが一番」、「どんなことでもいいから、やりたいことをしなさい」という主張の裏で、男性には、「女性を好きなように扱いなさい。女性はあなたの所有物だ。」という間違った価値観を植え付け、一方、女性には、「あなたの存在に尊厳を払うことすべてに熱中しなさい。」と呼びかけ、この二つの全く異なる対立した極端な呼びかけの影で、女の子達は、混乱にさらされ生きています。

 

また、女の子を持つ両親の心配や不安の問題、そして、ムスリム男性が「間違った男らしさ」に執着している結果、女性に厳しくしたり、暴力を振るったりすることで、「男らしさ」を手に入れられると勘違いしているという別の問題もあります。女性の自由を厳しく制限している男性に、理由を尋ねると、彼女のためではなく、「自分」のためであることが往々にしてあります。「自分が」他人から、「彼の妹は、」「彼の妻は、」と言われないために、女性を守るために、ではなく、「自分を」守るためにしている、という実に驚くべき現状です。

 

また、別の大きな問題は、インターネットで、日々、欲望や本能の炎が際限なく投げ捨てられ、人が本能の炎のクズのような愚劣な存在に成り果ててしまっていることです。こういった様々な要因が重なり合って、現代のムスリマの女の子達やその両親に対して、「ムスリマの女の子の教育」という大きな挑戦を挑んでいます。

 

質問:もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がいらっしゃったら、これらの問題を抱えるムスリマの女の子達に、どう接するでしょうか?

 

回答:まずは、優しく、慈愛深く、という言葉が浮かびます。アッラーは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のことをこう言われました。

 

【あなたがかれらを優しくしたのは、アッラーの御恵みであった。あなたがもしも薄情で心が荒々しかったならば、かれらはあなたの周囲から離れ去ったであろう。だからかれら(の過失)を許し、かれらのために(アッラーの)御赦しを請いなさい。そして諸事にわたり、かれらと相談しなさい。いったん決ったならば、アッラーを信頼しなさい。本当にアッラーは信頼する者を愛でられる。】クルアーン イムラーン家章3-159

 

【だからかれら(の過失)を許し、】つまり、彼らは間違いを犯す、ということです。

 

【かれらのために(アッラーの)御赦しを請いなさい。】つまり、彼らは罪を犯す、ということです。

 

【そして諸事にわたり、かれらと相談しなさい。】つまり、彼らの考えを尊重しなさい、ということです。

 

アッラーは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が遣わされたことをこう言われました。

 

【今、使徒があなたがたにあなたがたの間から、やって来た。かれは、あなたがたの悩みごとに心を痛め、あなたがたのため、とても心配している。信者に対し優しく、また情深い。】クルアーン 悔悟章9-128

 

【かれは、あなたがたの悩みごとに心を痛め、】私たちの問題に、心を痛めてくださる、ということです。

 

【われは只万有への慈悲として、あなたを遣わしただけである。】クルアーン 預言者章21-107

 

もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、現代のムスリマの女の子がいる家庭を訪問したら、まず、彼女たちに慈愛の眼差しを向けることでしょう、怒りや非難の眼差しではなく。ただ、彼女たちの責任者、つまり両親や教師、イスラーム学者達に対しては、女の子達を守ることができなかった責任を追及して、怒りや非難の眼差しが向けられるかもしれないことを畏れます。

また、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、女の子達に、感嘆の眼差しを向けるかもしれません。こういった様々な問題がありながらも、彼女が、ムスリムでい続けることに対して、その価値ある選択に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、彼女たちに尊敬の眼差しを向けることでしょう。

 

質問:預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘さん達について、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がどう接しておられたかを含め、教えてください。

 

回答:この質問は、とても重要です。ひとつには、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への愛情の観点から、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を愛しているなら、彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に関係のあるすべてを愛するはずです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への愛情によって、娘さん達についても知りたいと思うことでしょう。

 

二つ目は、模倣するという観点から、女の子達が預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘さん達の真似をし、親が、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が娘さん達にどう接しておられたかを知ることによって、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の真似をすることができます。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘さんは4人、息子さんは3人いらっしゃいました。

娘さん4人:ザイナブ様、ルカイヤ様、ウンムクルスーム様、ファーティマ様(彼女たちにアッラーのご満悦あれ)

息子さん3人:アルカースィム様、アブドゥッラー様、イブラーヒーム様(彼らにアッラーのご満悦あれ)

 

ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)のお話は、「続)ムスリムの子ども教育-17-」に詳しくあるので参考にしてください。

ルカイヤ様(アッラーのご満悦あれ)は、オスマーン様(アッラーのご満悦あれ)とご結婚なさいました。

ウンムクルスーム様(アッラーのご満悦あれ)は、ルカイヤ様(アッラーのご満悦あれ)が亡くなった後、オスマーン様(アッラーのご満悦あれ)と結婚されました。

そして、女性たちすべての長と呼ばれる、ファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)です。

 

質問:思春期の娘に接する時に、最も大事なことは何でしょうか?

 

回答:最も大事なことは、「愛情」です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ご自分の娘さん達が愛情に溺れるほど、愛情を注がれました。この大きな愛情によって、娘さん達のイーマーン(信仰)が培われました。愛情とイーマーン(信仰)によって、スル―ク(振舞い)が決まりました。

 

また預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への愛情を培うこと、それによって、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘さん達への愛情を形成することも重要です。

 

次回は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の娘さん達の母、ハディージャ様(アッラーのご満悦あれ)についてです、インシャーアッラー。



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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-05-30 15:03:07
いつも為になるお話をありがとうございます。
ボタンがうまく押せないのでコメントさせていただきました。
これからも記事を楽しみにしています。

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