イスラーム勉強会ブログ

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続)ムスリムの子ども教育-38- 思春期の女の子の教育について

2022年01月26日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-38-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生23-1(9:6~最後)、23-2、23-3(~7:00)@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/23.html  

 

基本:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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思春期の女の子の教育について

※イスラームにおける思春期とは、10歳からブルーグ※までの時期です。(※ブルーグとは?:ムカッラフ[イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者]になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。)つまり、ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になります。

 

司会者:テレビドラマ「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」(9歳から12歳くらいを視聴者層として製作されたティーンの女の子が主人公のTVドラマ。ディズニーチャンネルで放映され、イスラーム圏を含む全世界で大ヒットした)の主人公、ハンナ・モンタナについて、エジプトの街中で、女の子達(4~17歳くらい)に尋ねたインタビューを見てください。

 

インタビュアー:「ハンナ・モンタナを知ってる?彼女について教えて。」

 

女の子達:「もちろん、知ってるわ。」、「彼女は、スーパースターよ。」、「とってもいい声をしている有名な歌手。」、「彼女の生年月日は、〇年〇月○日、父親は○○、母親は○○。」、「彼女は、実は普通の女の子じゃなくて、歌手で・・・(ストーリーを説明し始める)」、「かわいい!彼女の全部を真似してるわ。」、「演技も上手で、すごくかわいくて大好きよ。」、「家族でいつも見てるわ。かわいいから、彼女のことなら何でもみんなお手本にするの。」

 

司会者:私たちの娘達はみんな彼女のことが大好きで、すごく影響を受けています。親は、自分の娘に、サハーバの女性達(アッラーのご満悦あれ)を模範としてもらいたいと思いますが、こういったテレビドラマの影響はとても大きいです。このドラマが始まった時、彼女は9才でしたが、現在は17歳になり、彼女には付き合っているボーイフレンドもいて、しかも1人ではなく、3人も。西洋の文化では、それは問題ないことかもしれませんが、私たちの文化では違います。どうしたらいいでしょうか?

 

先生:西洋でも、彼女は社会問題となっていて、親たちが「うちの娘への裏切りだ!」と製作側に抗議をしているそうです(ハンナ・モンタナを演じる子役の女の子は、実生活で14歳からスキャンダルが相次いだ)。彼女が9才の時、憧れの対象として、彼女のすべてを真似していた女の子達が、17歳となった彼女に3人のボーイフレンドがいることは、やはり子どもたちにとって危険なことです。先ほどのインタビューで、まだ何もわからない4~5才の小さな女の子さえ、彼女のことが大好きで、全部真似する、と言っていました。生年月日や両親の名前さえ暗記している子も。こういった現象には、親として注意が必要です。ドラマの中の非現実的な彼女にあこがれの気持ちを抱き、真似をしたり、感情移入して彼女になりきったり、こういったことはその子の内面に大きな影響を及ぼします。

 

両親にも、またテレビなどの媒体にも、こういう現象に対しそれぞれ責任があります。また、子どもたちにとって、ハンナ・モンタナに代わる、イスラーム的なお手本となるような魅力的な人物の不在もあるでしょう。もしイスラーム的な人徳を実践する、女の子たちにとって魅力的な見本があれば、私たちの娘たちは、こういった西洋のテレビドラマの主人公を必要としないでしょう。現在では、小さな女の子の自転車もハンナ・モンタナのキャラクターもの、靴もハンナ・モンタナ、カバンもハンナ・モンタナ、、、女の子達の一番身近に、まさに心の中にハンナ・モンタナがいることは、注意を要します。

 

子どもが憧れる大好きな人物やキャラクターがあれば、子どもに尋ねてみてください。どうしてそれが好きなのか。子どもは、その理由をいろいろ教えてくれるでしょう。そこから、その子がどんなことに価値を置いているかがはっきりします。小さな子どもの時に価値を置いていることは、親として、とても重要です。なぜなら、それが将来、子どもが結婚相手に求めるものになって行くからです。もし子どもが好きな人物が、ただかっこいい、可愛い、という外見だけのものであれば、結婚相手もそれが基準となり、他の要素、人徳などに魅力を感じなければ、難しい人生を選ぶ原因となってしまうかもしれません。

 

また、ハンナ・モンタナのように実際には存在しない、作られたヒロインは、製作者の意図によってどのようにでも変身します。ですから、社会に与える影響が大きければ大きいほど、製作者には責任が伴い、アッラーのご満足とお怒りがあることは確実です。しかし、私たちは、自分の娘を、こうした製作者のターゲットにされ、製作者の意のままにされてしまうのを防がなければなりません。そのためには、私たち親がすべてきことは、娘に、しっかりとした善悪の判断を教えること、また、何でも欲しいものをすべて手に入れることが幸せではないことを教えなければなりません。それは、欲するものすべてを禁じるということではなく、何でも欲しいと思うものを手に入れることの弊害を知らせなければなりません。盲目的に何かに追従することがないように、善悪の判断をしっかり教えることが必要です。

 

女の子達の教育の難しさと責任の重さから、現代の親たちが、無名時代に逆戻りしたように、女児よりも男児を好む傾向がありますが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこう言われています。

 

《女児を嫌わないように。彼女たちは、愛おしく喜びを与えてくれる存在です。》イマーム・アハマド伝承

 

女児に対する、預言者的な捉え方をご覧ください。

 

子どもに対し、危険なものをすべて禁止して子どもを守ることができた時代は、もう終わってしまいました。この点に関しては、よく質問を受けますが、残念ながら、もう親が禁止して子どもが正しい道を歩んでいける時代は、すでに終わってしまったのです。このことは、しっかり理解しておかなければなりません。現代は、間違ったことを禁止するのではなく、小さい時から、善悪の判断を正しく教えることが大切です。そのためには、例えば、毎日、寝る前にベットで子ども達に絵本を読んだり、お話をしたりする時に、ぜひ、人徳が育まれるような預言者伝※や、魅力的なサハーバ達(アッラーのご満悦あれ)の話をしてあげてください。間違った対象に心を奪われる前に、善良なものに対する愛情を、子どもたちの心の中に入れてあげてください。

 

アッラーが私たちの子ども達をお守くださいますように。

 

※お奨めの預言者伝:『愛すべき預言者様ﷺ』https://goo.gl/aRyTJE 

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続)ムスリムの子ども教育-37-思春期の女の子の教育について

2022年01月05日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-37-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生23-1(~9:6)@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/22.html 

 

基本:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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思春期の女の子の教育について

※イスラームにおける思春期とは、10歳からブルーグ※までの時期です。(※ブルーグとは?:ムカッラフ[イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者]になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。)つまり、ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になります。

 

司会者:幼い頃から女の子は、キャラクターや人形が好きですが、イスラームでは、人形を持つことは禁止されていますか?

 

回答:アーイシャ様(アッラーのご満悦あれ)が人形で遊んでいたというハディースがあり、イスラームでは女の子がそれで遊ぶために人形を持つことは禁じられていません。

 

アーイシャ様(アッラーのご満悦あれ)は言いました。

「私は彼(預言者)の家で娘達と遊んでいた。それ(娘達)は人形のことです。」ムスリム伝承

 

ただ注意する点は、人形の種類です。人形は、子どもにとってはあこがれる対象だったり、友達のような存在だったり、真似をするモデルだったりします。そのため、イスラームと異なる文化で作られた人形は、子ども達に良くない影響を与えることがあるため、注意が必要です。小さい頃から、何かのキャラクターやアニメの主人公などの人形が大好きになり、その人形と一緒に眠ったり、話しかけたりして友達のような存在になる時に、そのキャラクターがどんな性格をしているのか、どんな服装をしているのか、どんな姿かたちをしているのか、がとても重要になって来ます。そのキャラクターが、子ども達にとって、自分の中の価値基準、何がステキで善いことで、何がカッコ悪い恥ずかしいことか、という基準を決める重要な役割を果たすため、もし、そのキャラクターがイスラーム文化から出たものでなければ、確実に、その子の心の中には、そのキャラクターが作られた異文化がどんどん入って行くからです。

 

もちろん、異文化のすべてをハラームだと言うつもりはありません。イスラームはとてもゆったりとした寛容なもので、ハラームよりもハラールの事柄の方がずっと多く、禁じられたことはほんのわずかですから、何でもかんでもハラームだと決めつけることは間違っています。ただ、子どものために人形を選ぶときに、イスラームの価値観にふさわしい人形を選ぶことは大切です。人形が、イスラームで善くないとされる服装をしていたり、悪い性格のキャラクターだったりすることで、その人形を通して、子ども達が悪い方向に引っぱられてしまうことがあるからです。

自分の子どもが、何を素敵、カッコいい、可愛いと感じ、何をカッコ悪い、ダサイ、恥ずかしい、と感じるか、に十分注意してください。それが子どもの人生に大きな影響を与える要因となります。子どもが良いと思うもの、悪いと思うもの、その基準こそが、その子の価値基準の軸になります。

 

司会者:バービー人形がありますが、あの服装は、イスラーム的ではないですよね。何というか・・・自由な服装をしていますから。

 

先生:「自由」という表現に注意する必要があります。現代は、間違った言葉の定義に疑問を抱かず受け入れてしまうという大きな問題があります。肌の露出の多い、品位に欠けた服装を「自由な」服装、と誰が定義したのでしょうか?アウラ(隠すべき体の部位)が露わになった品位のない服装を、「自由な」服装、と表現することには、大きな問題があります。バービー人形に替わってイスラーム圏で売られるようになったフッラ人形を作った人に、アッラーのご満足がありますように。            

      

フッラ人形はただヒジャーブをしているからいい、というだけではなく、フッラ人形と同じ礼拝着やミスバーフ(数珠)などが子どもに大きな影響を与えています。

 

司会者:バービー人形が、子どもの人格形成に影響を与えるんでしょうか?

 

先生:子どもは自分の人形に対して、友情の気持ちや愛情から来る執着心を持っています。人形と一緒に眠りたい、人形のお世話をしたい、人形に話しかけて遊んだり、と長い時間、人形と一緒にいます。子どもがいつも見て愛情を注ぐ対象が、アッラーのご満足のあるイスラーム的に良い姿であれば、それが子どもの心に焼き付いて行きます。人形選びは、人格形成にも大きな影響があるのです。

 

異文化に全く触れさせない方がいい、と言っている訳ではありません。異文化の中にも、子どもに良い影響のあるものもあり、悪い影響のあるものもあります。良い影響があるものにはどんどん触れさせればいいでしょう。しかし、悪影響のあるものを、なぜ子どもに与える必要があるのでしょうか。母親には、子どもに与える物を選ぶ自由があります。

 

司会者:小さい子が人形が好きなのはわかりますが、思春期になった子も人形を持っていてもいいのでしょうか?

 

先生:アーイシャ様(アッラーのご満悦あれ)は、ご結婚された後も人形を持っていました。イスラーム的に、思春期の子が人形を持っていてはいけない、ということはありません。女の子は大きくなっても、人形を隣において眠ったりすることがあります。親が子どもに対して、大きくなって人形を持っているなんて!など、子どものすることに何でも指示を出し、禁止したり命令したりすることで、本当に禁止すべき時に、その禁止が子どもにとって抑制力にならない原因になることがあります。その服の色は可愛くないからこっちにしなさい、大学の○○学科は役に立たないからこの学科にしなさい、子どもの行うすべてのことに口出しをしてしまうと、本当に、子どもの行動を抑制する必要がある時に、導きを与えることが難しくなってしまいます。大切な導きが、服の色を指示されているのと同じ重みで、子どもに受け止められてしまうからです。

 

基本的に、禁止されたり、命令されたりして子どもが良い方向に進むよりも、良い方向に子ども自らが憧れ、自らそうしたい、と自主的に進む方がずっと効果的です。子どもに細かいことまで指示したり禁止したりしていると、大事な時に、親の言葉の重みが薄れてしまうことがあるので注意が必要です。

 

私たちの子どもを、アッラーが良い方向にお導き下さいますように。

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