イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

シャアバーン月の断食

2009年07月25日 | あちこちからタズキヤ(自我浄化)
シャアバーンに際して

 今日でシャアバーン月3日です。紹介するには少し遅れましたが、シャアバーン月に任意の断食が奨励されることを以下に載せます。
 ラマダーンに備えて、精進しましょう。
 アッラーのお力添えがありますように。

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【ハディース①】
ウサーマ・イブン・ザイドは言った:アッラーの使徒よ、私はあなたさまがシャアバーン月ほど違う月に断食されるのを見たことがありません。彼は言われた:《その月こそが、人々が忘れがちなラジャブとラマダーンに挟まれた月。その月に諸々の主に全行為が上げられるのだが、私は自分の行為が断食している間に上げられるのを好む。》(アブー・ダーウードとアン=ナサーイー他が出典)

※しもべの行いは毎日、一週間分の行いは月曜日と木曜日、一年分の行いはシャアバーンにアッラーに提示されることについて二つ見解があります。
1.この「行いの提示」には英知があり、アッラーには隠されるしもべの行いなど何もないけれども御自身の好きなしもべにそれを知らせ給います。
2.一日分の提示は細かく、一週間分の提示、一年分の提示・・と間隔が大きくなるにつれて、提示されるときの詳細度が大まかにります。

【ハディース②】
 アーイシャは言った:アッラーの使徒(平安と祝福あれ)は、シャアバーン月を断食する月として好まれ、ラマダーンに続くようにして断食されました。(アブー・ダーウード他出典)

【ハディース③】
 アーイシャは言った:アッラーの使徒(平安と祝福あれ)は、断食を解かれないのではと私たちが思うほどに断食をされ、また断食しないのではないかと私たちが思うほど断食されないこともありました。また、ラマダーン以外の月に断食を一ヶ月で完結されることを見たことがありません。そしてシャアバーン月以上に断食されたのを私は見たことがありません。(アル=ブハーリーとムスリム出典)

※ムスリムによる他の伝承には、「彼はシャアバーン月に少ししか断食されなかった」ともあるため、シャアバーン月に多く断食していた年があり、そうでなかった年もあったということでしょう。もしかすると、シャアバーン月の断食をムスリムたちに義務だと思わせてしまうのを避けるためだったかもしれません。イブン・ラジャブという学者は、「ラマダーンに入って突然の断食で疲れてしまわないよう、体を徐々に慣らしていくという目的のシャアバーン月の断食が奨励されるのかもしれない」と言っています。

 これらのハディースから、シャアバーン月の断食の得がどれほど大きいものか分かると思います。ハディースに倣い、一月全部を断食するのではなく、その多くを断食するのが良いです。また、ラマダーンが始まる前の1,2日間はハディース(アル=ブハーリー出典の、ラマダーンの一日か2日前に断食をしてはいけない。その日にすでに断食をしている者は別で、その者は断食を済ませること、というハディース)に基づき、断食をするべきではありません。
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お金がなくてもサダカは出来る

2009年07月24日 | あちこちからタズキヤ(自我浄化)
【ハディース】
 アブー・ザッル(アッラーのご満悦あれ)は言った:アッラーの使徒(平安と祝福あれ)の仲間のある人たちが、預言者(平安と祝福あれ)に次のように言った:アッラーの使徒よ、裕福な者たちは報酬を先取りしています。彼らは私たちと同じように祈り、私たちが行うように断食します。そして彼らの余分なお金をサダカしているのです。彼は言われた:《アッラーはあなたたちにサダカするものを与え給わなかったのか?まことにあなたたちがタスビーハ※を一つするたびにそれはサダカとなり、タクビーラ※も、タハミーダ※も、タハリーラ※もサダカとなる。善を勧めることもサダカであり、悪を禁じることもサダカである。あなた方の性交もサダカとなる。》人々は言った:アッラーの使徒よ、私たち
の誰かが欲望をもってそれを行ったら、報酬があると言われるのですか?彼は言われた:《もし彼が禁じられた方法で行ったなら、罪を負うではないか?合法な方法で行ったなら、それに対して彼は報酬を得るのだ。》アル=ブハーリーとムスリム伝承

 ※タスビーハ:スブハーナッラーという文句
  タクビーラ:アッラーフアクバルという文句
  タハミーダ:アルハムドゥリッラーという文句
  タハリーラ:ラーイラーハイッラッラーという文句

●善行において競い合いたい教友たち
 預言者(平安と祝福あれ)に詰め寄った多数の教友たちは、マディーナに移動した貧しいムハージルーンと少数のアンサールです。ムハージルーンの多くが貧しい理由は、マッカにすべてを置き去りにして、逃げるようにマディーナにやって来たことです。彼らは以前に預言者(平安と祝福あれ)より聞いた、「サダカは(信仰の)証である」という言葉を、貧しいがために実行できず、つまり、自分達が信仰を明かせることができずにいることに不安とやるせなさを感じていたわけです。裕福な信者は自分達と同じように礼拝と断食をこなし、余分なお金をサダカしていては、競い合うことなどできません。そこで彼らは、アッラーに近づくための競争を行いたい一心で、集まって預言者(平安と祝福あれ)に窮
状を訴えたのでした。彼らは施すお金がないことを悲しみ、涙を目に溜めました。私達には、彼らが達した位に到達するために必要なサダカを施せません、しかし私達も彼らが得た位に到達したいのです、と。
 彼らの言葉を受け止めた預言者(平安と祝福あれ)は、善行の門は大きく開かれていること、またサダカをした人と同じ報酬を得られる行いがあることを説きました。アッラーは責任以上のことをしもべに負わせ給わないのです。預言者(平安と祝福あれ)は言われました。「アッラーはあなたたちにサダカするものを与え給わなかったのか?そうではないだろう。あなたたちには実に数多くのサダカが示されている。」
 預言者(平安と祝福あれ)はまず、「ズィクル」が自分自身に対する最良のサダカであることを説明されました。余分なお金がないならば、至高偉大なるアッラーを賞賛しなさいということです。一言一言に報酬があり、「バーキヤトッサーリハート(永遠に残る善行)」という名で知られているものです。「だが永遠に残る善行こそは、主の御許では報奨において最も優れ、また希望(の基礎)としても最も優れたものである。」(洞窟章46節)にあるように、その徳の大きさははっきりしています。
 次に預言者(平安と祝福あれ)が示したサダカは、「勧善懲悪」です。自分にできる範囲で行うもので充分です。人々に善いことを勧め、害を制することに対する報酬は、金銭をサダカする者の報酬に劣らないどころか、さらに優れているものでしょう。《すべての親切はサダカである》というムスリム伝承のハディースがあります。イスラーム共同体は、人類に輩出された最も優れた勧善懲悪をする団体なのです。
 またアッラーは私達に、「正しいニーヤに基づいて」朝に昼に行っていることに対しても良い報酬を準備し給いました。その一つを、《家族と妻に対する男性の扶養は、サダカである》というムスリムなどが伝承したハディースに見出すことができます。ほかに、《アッラーの御顔を求めて扶養のために出したものに対する報酬はかならず発生する。あなたの妻に運ぶ、一口の食べ物に対してもだ。》(アル=ブハーリーとムスリム出典)というハディースもあります。
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ムスリムはどのようにしてラマダーンに向けた準備をするか??

2009年07月13日 | ラマダーン特集
第一:この徳多き月のために、心と行動の準備をしましょう。

○ラマダーンに入る前から、伝承されたドゥアーを唱えます。
-アッラーフンマ バーリク ラナー フィー ラジャブ ワ シャアバーン ワ バッリグナー ラマダーン
 (アッラーよ、私たちをラジャブとシャアバーンの間、祝福してください。また私たちをラマダーンに到達させてください。)

○ラマダーンに入る前に持つべきニーヤ(意志)。
「わたしのしもべが善行を行うと言ったなら、それに対して私は善行1と書き留めるだろう。」(アブーフライラの伝えた、ハディース・クドゥスィー、ムスリム出典)

☆この月に必要なニニーヤ
1.数回に渡るクルアーン完読する意志
2.過去に犯したすべての罪からの悔悟する意志
3.この月を機に、善行を開始し、アッラーの許しによって永遠に続ける意志
4.この月に行われる善行に対する報酬は数倍に膨れるので、できる限りの善行を行う意志
5.行動、性格を改善し、すべての人に良く振舞う意志
6.この月の神聖さに因み、この宗教とその伝播に仕える意志
7.崇拝行為と服従行為で満たした計画を立て、それに忠実に従う意志

○信仰のための読書:ラマダーン月について書かれた小冊子に目を通して、魂が信仰で高揚する状態を準備しましょう。
○シャアバーン月から少し断食を始めることで、断食に慣れておきましょう。アーイシャ(ご満悦あれ)は伝えています:「私は彼(平安と祝福あれ)がシャアバーン月よりも多く断食された月を見たことがありません。」
○ラマダーンのその断食による数多き徳を獲得しましょう:罪の赦し、火獄からの開放、そしてこの月には祝福された一夜があります。天使たちがあなたの罪の赦しを祈り、この月には報酬が数倍に膨れ上がります。
○ラマダーンの月が見える前に、ラマダーンを扱ったテープを聴きましょう。
○断食について下ったアーヤの解説を読みましょう。
○ラマダーンの前に、善行を行う、徳のある愛する人たちと会合を開き、ラマダーンをどのように過ごすべきかを話し合いましょう。この進行的な会合によって、ラマダーンへの準備のための心への良い影響があります。
○ラマダーン中に行う計画のために、自分のお金から一定金額を取り出すことを決めておきましょう。
その計画の例:
1.ラマダーンのサダカ
2.本やパンフレットの無料配布
3.オムラに行く
4.断食の法則やマナーを学ぶ
5.この聖月を迎える準備を妻や子供たちとする
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【男性から見た、結婚できない女性】

2009年07月11日 | 法学(フィクフ)
【男性から見た、結婚できない女性】

「あなたがたの父が結婚したことのある女と、結婚してはならない。過ぎ去った昔のことは問わないが。それは、恥ずべき憎むべきこと。忌まわしい道である。あなたがたに禁じられている(結婚)は、あなたがたの母、女児、姉妹、父方のおば、母方のおば、兄弟の女児、姉妹の女児、授乳した乳母、同乳の姉妹、妻の母、あなたがたが関係している妻の生んだ養育中の養女、あなたがたがその妻と、未だ関係していないならばその連れ子を妻にしても罪はない。およびあなたがたの生んだ息子の妻、また同時に二人の姉妹を娶ること(も禁じられる)。過ぎ去った昔のことは問わないが。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。」女性章22~23節

1.永遠に禁じられる女性
2.一時的に禁じられる女性

まず、1.。3つの原因があります:
①近親:1.母、母の母、父の母
     2.娘、息子の娘、娘の娘
     3.姉妹(父方、母方、同じ両親を持つ場合)
     4.兄弟の娘、いわゆる姪(父方、母方、同じ両親を持つ場合)
     5.姉妹の娘、いわゆる姪(父方、母方、同じ両親を持つ場合)
     6.父方のおば(父の姉妹)、父の父方のおば、母の父方のおば
     7.母方のおば(母の姉妹)、母の母方のおば、父の母方のおば
②婚姻:1.父の妻、父の父(父方の祖父)の妻、母の父(母方の祖父)の妻
     2.息子の妻、息子の息子(孫)の妻、娘の息子(孫)の妻
     3.妻の母(姑)、妻の母の母
     ※以上の3種類は、婚姻契約後の性行為成立の有り無し関係なく禁じられる。
     4.妻の娘、いわゆる妻の連れ子。男性がある女性と婚姻契約後、性行為が成立したときから禁じられる。(ということは、男性がある女性と婚姻契約したけれども、性行為の成立無しに離婚した場合、その女性の娘と結婚することが出来るということ。娘は、母親が新しい夫と性行為を完遂させるまで、この男性に対して、ヒジャーブしなければいけない。)
③ 乳 :①と同じく、7種類の女性が禁じられる。
      1.乳母、つまり乳を与えてくれた女性。彼女の母、母方の祖母、父方の祖母も禁じられる。
      2.乳姉妹。誰かがあなたの母親から授乳されたときも同じで、乳を共有した女性は姉妹となり、禁じられる。この女性はあなたの兄弟にも禁じられる。しかし彼女の姉妹たちはあなたとあなたの兄弟に許される。彼女らは乳を共有していないからである。
        また、あなたがある女性の母親に授乳された場合、あなたは彼女と彼女の姉妹に禁じられる。しかしあなたの兄弟に彼女らは合法である。あなたの兄弟は乳を共有していないからである。
      3.乳兄弟の娘
      4.乳姉妹の娘
      5.父の乳姉妹
      6.母の乳姉妹
      7.あなたの妻が授乳した娘。つまりあなたは彼女の乳父である。
      また②と同じく、婚姻を原因とした4種類の女性が禁じられる。
      1.妻の乳母
      2.妻の乳娘
      3.乳父の妻
      4.乳息子(あなたの妻が授乳した男の子)の妻

次に、2.。ある原因のために、一時的に婚姻が禁じられる女性。原因が取り除かれれば、許される。
①姉妹を一緒に娶ること。姉妹のうち一人を娶り、死別か離婚となったら、その姉妹との婚姻は許される。
②女性とその父方のおば、母方のおば、兄弟姉妹の娘(姪)、女孫を一緒にに娶ること。
③4人以上娶ること。
④多神教徒の女性
⑤既婚女性
⑥イッダ中の女性
⑦3度の離婚を言い渡した女性(雌牛章230節)
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【稼ぎの徳とその勧めについて】②

2009年07月02日 | 求める者たちの道しるべ
※前回の、”稼ぎが含まれる売買契約は次の4項目が含まれているべきだ:①有効性、②公平性、③誠意、④宗教への同情。”の続き。

【公平性と、取引中の被害回避について】

 ②公平性と、売買取引中の被害回避(が売買契約に含まれるべきである)。「被害」とは、他人が被るものを指す。それは、その害が全般に及ぶものとそうでないものに分けられる。
  1.(全般に及ぶ害として)独占。価格上昇を招き、人々へ種々の品物が行き届かなくなるため禁じられる。
  2.及ぶ範囲に制限がある害。商品に存在しない性質を褒めたり、商品に含まれる欠陥を隠すために購入者が被害を受けることである。預言者(平安と祝福            がありますように)は言われている:《われわれを騙す者はわれわれの仲間ではない。※1》
    商売、製造において「騙し」はハラームである。アル=イマーム・アフマドがほつれのある布を修繕して目立たなくすることについてたずねられて次のように答えた:それ(欠陥のある布)を売る者はそれを隠してはいけない。
    買いもしない人に高く売りつけるように見せて他人が商品を欲しがる心境に持っていく(ナジュシュという)のも禁じられる。

【取引における誠意】

 ③取引における誠意について。至高なるアッラーは、公正と誠意を命じ給うた。売るときに許すこと(安価で譲ること)は誠意の内に入る。通常以上の利益を求めないこと。売買は利益を求めるために施行されているので、ある程度なら許されるが、購入者が商品を必要とするあまり、通常以上の利益を差し出そうとしても売る側はそれを受け取るべきではない。これも誠意の内に入る。
  支払いや借金返済を求める際に、見放したり、小額で満足したり、猶予を設けたり、返済方法を容易なものにに変えたりすることも誠意である。
  他に:売買を取り消したい者の言い分を受け入れ、(契約を)取り消すこと。彼が取り消したいのは、売買で害を被る他に理由がないからである。
  多くのハディースがこれらの徳の大きさと、これらを行う者が得る報酬を証明している。

【商売人が自分の宗教に抱く同情心】

 ④商売人は「帰り着く場所」を差し置いて(現世の)生活に明け暮れるべきではない。それよりも、宗教を大切にすること。次の6項目によって、彼の宗教に対する同情心が完遂する:
  1.商売に良いニーヤ(意志)を持つこと。他人への懇願を控え、人々に対する下心を抑制し、家族を養うために働くことを商売時にニーヤする。こうすることで、奮闘努力する者たちの一員となれる。また、信者たちへの忠告もニーヤすること。
  2.製造業や貿易業に携わる際、数ある「ファルド・キファーヤ(誰かが行わなければならない義務。誰かが行えば、残りの者は罪とならないが、誰も行わない場合、全員が罪を被る。)」を行っていると意識すること。製造や貿易を誰も行わなかったら、生活が成り立たないからである。ただし製造には、より重要な分野と、装飾や至福を求めるための重要でない分野が存在する。そのため、より重要な製造業に精を出すべきである。
    クルアーンを教えることや崇拝行為から賃金を取ってはいけない。
  3.現世の市場のために来世の市場が置き去りにされないようにすること。来世の市場とは、マスジドのことである。そのため、一日の初めの部分から市場に入るまでを、自分の来世のために費やすべきである。善良な先代の商人たちは、一日の始まりと終わりを来世のために、中間は商売のために、と定めていた。ゾホルとアスルのアザーンが聞こえたら、生活を放棄して義務の遂行に忙しくするべきである。
  4.市場の中でアッラーの念唱を続けること。タスビーフやタハリールも欠かさないこと。
  5.市場と売買に異常なほどの注意を向けないこと。また市場に最初に入る人でも、そこから最後に出る人にもならないこと。
  6.ハラームを避けるだけではなく、疑わしいものからも身を守ること。ファトワーに頼るのではなく、心に引っかかるかどうかを見極めること。


※1ムスリムなど
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