pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

アマデウス@サンシャイン劇場1階15列センター

2017-10-04 19:54:48 | 観劇/コンサート

  

作:ピーター・シェファー
演出:松本幸四郎
出演:
サリエーリ:松本幸四郎  モーツァルト:桐山照史  
コンスタンツェ:大和田美帆

ローゼンベルク伯爵:立川三貴
シュトラック伯爵:外山誠二
ヨーゼフ二世:廣田高志
スヴィーテン男爵:松井 工
ボンノ(宮廷音楽長):中平良夫
ヴァルトシュテーテン男爵夫人の家令:世古陽丸
テレサ(サリエーリの妻):杉浦悦子
サリエーリの料理人:豊富 満
サリエーリの従僕:角間 進
影:松本高麗五郎 

風:二反田雅澄
風:清田智彦
ヴァルトシュテーテン男爵夫人:水月 舞
カテリーナ:泉関奈津子
サーヴァント:加瀬竜彦
サーヴァント:鈴木健介
サーヴァント:西村雄正
サーヴァント:丸山裕征
サーヴァント:長谷川直紀
サーヴァント:北尾林太郎

【あらすじ】
音楽史上、永遠の謎とされるモーツァルトの死─。その死から32年が経過した1823年晩秋のウィーン。宮廷楽長のサリエーリは、自らがモーツァルトを暗殺したと衝撃的な告白を始める……。 時代は遡り、1781年。皇帝の寵愛を受け、音楽家としてこれ以上ない地位と名声を得ていたサリエーリは、ウィーンにやってきた若きモーツァルトと出会う。フィアンセのコンスタンツェと卑猥な言葉を口走り、行儀が悪く、子供っぽい青年モーツァルト。しかし、彼の奏でるセレナーデは素晴らしく、天衣無縫をそのまま具象化したようなその楽譜の中にサリエーリは、“絶対の美”─“神の声”を見出す。幼い頃、神に一生を捧げると誓ったサリエーリ。ところがその神の仕打ちとは……。 サリエーリは慄然とし、“アマデウス”を通じて神に命がけの戦いを挑むのだった─。

アマデウス初演のモーツァルトは江守徹さん。私が初めて見た1998年は息子の染五郎さん、2011年に観た時は武田真冶さんでした。サリエリだけはずっと幸四郎さんですが、1月に二代目松本白鸚襲名が控える中、九代目松本幸四郎として集大成の『アマデウス』そりゃもう、観に行くほうも気合入っちゃいます!

今回のアマデ、もといモーツァルトはジャニーズの人。。というので?でしたが、「あさが来た!」の玉木宏さんの弟だったあの彼!とわかり、俄然行く気満々になりました。桐山くんの前半のはじけっぷりと、次第に病と貧困に追い込まれ、憔悴していくさまの対比が鮮やかで、あふれるほどの才能に恵まれながら悲惨な最期を迎えたモーツァルトの悲しみを全身で演じていました。小説の作家は登場人物の話す言葉を順番に書いていくけれど、音楽では沢山の楽器が一斉に奏でられてもそれぞれの音がくっきりとわかる。神が人々の一斉に語る言葉を聴くというのはそういう感じだと思う。音楽にはそれができるんだ!という言葉が印象的でした。やはり彼は「神に愛された子」だったんだ。

コンスは大和田美帆ちゃん。またきれいになってこの人のコンスタンツェ、すごくいいです。モーツァルトをヴォルフィ(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだから)と呼んでたような。おばかで、あまちゃんで、ヴォルフィとのバカップルっぷりも笑っちゃうほど。それでいてびっくりするほどのしたたかさも持っている。ミュージカルモーツァルト!でもコンスやって欲しいです!歌えるし。

蜷川組の廣田さん、二反田さんもご出演。二反田さんはすぐわかったのですが(噂話を運んでくる風)、廣田さんどこ?と探してしまいました。なにせ、裾を引くような衣装に重厚なオーラを放つ司祭や貴族というイメージなので。今回は皇帝陛下ヨーゼフ二世だったのですが、白塗り頬紅に金髪の鬘、白タイツといういでたちだったので、すぐにはわかりませんでしたこういうのもいけます!

そして本当に凄い幸四郎サリエリ。2011年の時は「男の嫉妬の物語」という感想でしたが、今回感じたのは、サリエリ自身が神に与えられた「天才をかぎわける目と耳」を持ってしまったことの悲劇でした。自分の持つ能力がこの若者に遠く及ばないとわかっていながら、どんどん認められ弟子を増やし、宮廷音楽家としてのしあがっていくサリエリ。サリエリの耳と目には至高の音楽と思えるモーツァルトの曲は一時的な脚光は浴びても収入や社会的地位につながっていかない。それでも、「自分の音楽は忘れ去られてもこの若者の音楽は永遠に残っていくだろう」ということがわかってしまう苦しみ。その苦しみや葛藤がびしんばしん伝わってきて、痛いほどでした。

良い役者が集まっているだけでなく、作品としても、ものすごく面白いです。老人ホームのような施設にいるぼろぼろの老人が一瞬にしてきらびやかな宮廷にいるバリバリの音楽家に変身し、サリエリとモーツァルトの数奇な人生が語られた後にはまた一瞬にして「老い」に戻る。お見事!というほかありません

何といっても75歳の御大が2時間30分でずっぱりで語り続け、ぶっ倒れシーンまであるんですから!これは観られるうちに観ておくべき作品ですできれば行きたいもう一度

舞台前4列目までつぶして、センターは5列が最前列です。15列でもストレスなしですごく観やすかったです。この劇場、こんなに観やすいんだと、あらためて感動しました。

東池袋の駅からサンシャインまでの通路にこんな可愛いのが世の中ハロウィンですね~