夏
暦は7月に入った。今年は梅雨も明けないうちから厳しい暑さがやってきている。突然の酷暑で体調をくずされている方もいらっしゃるのではないだろうか。
先日、近所の神社で茅の輪を見つけた。これは「夏越の祓え(なごしのはらえ)」という神事の為に準備されたもの。鬱蒼と茂る木々の中央に据えられた円。本殿に向かって伸びる石段がすっぽりと入って、吸い込まれていきそうな感覚だ。誰もいない境内は清浄な気に満たされていた。
一年の折り返し地点となる6月30日に半年間の人々の罪や穢れを清め、無病息災を祈るのが「夏越の祓え」。8世紀頃から宮中で行われた神事を起源とする。輪をくぐるという形はスサノヲノミコトに一夜の宿を用意した貧しい青年「蘇民将来(そみんしょうらい)」が「茅の輪」をいただいたことで疫病から身を守ることができたという伝説からからきていて、左回り、右回り、左回りと8の字に3回通るのだそう。
『拾遺和歌集』のよみびと知らず 水無月の なごしの祓をする人は ちとせの命 のぶというふなり
自身ではなく被災地の方々の除災と招福を祈らずにいられなかった。おそらく神事に参加した全ての人がそうであったと思う。今年は亡くなった方を悼み、無病息災を願うことにつながる年中行事が各地で特別な意味を持って行われている。
本格的な夏はまだこれから。皆様、どうぞご自愛ください。(さ)
参考文献*『京都の祭り暦』 小学館
ほんとに清浄な雰囲気の漂います。
「夏越の祓え」のご紹介をありがとうございました。
今年の「夏越の祓え」は、いつも以上に厳かに営まれたのではないでしょうか。みんなの祈りが被災地に届きますように。
こういう行事を拝見すると、日本はいいなぁとつくづく思います。季節それぞれに自然と共に過ごしてきた人たちの、祈りや感謝の気持ちを表す、日本人の細やかな精神。トルコにいて、なおさらひしひしと感じます。
日本には四季折々様々な行事があるのに、殆ど意識することなく過ごしてきてしまったことがとても残念です。
被災地の方々が厳しい条件の中で、猛暑に苦しんでいらっしゃるかと思うと、せめてこの夏だけでも過ごしやすい穏やかな気候にしてくださいと祈らずにはいられませんね。
さらささんも夏バテをしないよう、ご自愛下さい。
神社を訪ねたのは名越の祓えの前日で、ひっそりとしていました。すぐ隣は幹線道路ですし、駅も近くザワザワしているのですが、ここだけは別世界でした。
yokocanさんがおっっしゃるように海外に住んでみると日本ならではの四季折々の自然の趣や自然と共に生きる日本人の細やかな感性の素晴らしさを実感しますね。
震災をきっかけに現代の人達が忘れがちだった感謝や祈りの心を取り戻しているような気がします。
既に気温が34度を超える日も多く厳しい夏が例年よりも早く始まってしまったという感じで、被災地の方々のことが心配でなりません。
タヌ子さんはそろそろバカンスなのでは?カロカロケーリ!
夏越の祓の際に行われる人形流しの人形が、
今年は送られてこなくてびっくりしていた所です。
東北にある神社ではありませんが、
やはり震災の影響なのかな?と思ったりしていますが…
しみじみ、今年は祈りに切実さがこもります。
私も会社の近くで茅の輪を見つけてくぐってきました。
そういえば子供の頃、人数分の人形を町内会の役員さんがこの時期持ってきて、祖母がみんなの体をその人形でなぜてそれをまた神社に持っていてお祓いしてもらったっけなんて思い出しました。
あと、この時期になぜか水無月って言う名前のお菓子食べませんでした?
yuuさんのところには例年は夏越の祓の為に神社から人形が毎年送られてくるのですね。
今年は送られてこなかったとのこと。やはり震災の影響なのでしょうか。
本当に今年は様々な行事で深く祈り、考えさせられることが多いと思います。
puramuさんも茅の輪くぐりをされたとのこと。不思議と清々しい気持ちになりますよね。
人形のお祓いは私は経験がないので、puramuさんのお話を興味深く拝見しました。
夏越の祓えを調べていたら、水無月のお菓子が出ていましたよ。とても美味しそうでした。puramuさんは召し上がったことがあるのですね。食べてみたいです!