ربيع (ラビーア)
エジプトで春の到来を感じさせるものと言えば、風と魚の塩漬である。
خمسين(ハムシーン)と呼ばれる、砂漠から吹いてくる温かい南風が吹くと、春から初夏になってくる。50日間続けて毎日吹く風なので、50、ハムシーンと言う。
ただ吹くだけではない。ものすごい突風である。死者が出る事もあるので、50日が早く過ぎ去るのを人々は切実に祈っている。
解かりやすいと言うか、なんというか、芸がないのがアラビア語である。(もちろん、そうとばかりもいえないが)何しろ、サハラ砂漠のサハラが、「砂漠」の意味である。カイロ中心にある島はゲジーラ島と、訳されているが、何のことは無い、ゲジーラとは「島」のことである。
イスーラム色の濃い印象のあるエジプトだが、生活の中に入り込むと、古代エジプトが生きている。何しろ彼らは、食生活が古代とほとんど変らないため、体型も昔からほとんど変化していない、珍しい民族でもある。
古代エジプトのお祭りが、現代の祝日にまだ残っている。この祭りは、イスラーム教徒のみならず、エジプトのキリスト教徒たちも祝っているところからも、彼らが代々大事にしてきた祭りであることをうかがい知ることができる。
شم النسيم(シャンム・ナシーム)という「春香祭」は毎年移動する祝日なので、エジプト人でも「え!?今日!」と言う事もあるらしい。(2007年は4月9日)
春の到来を告げる祭りの日、人々はピクニックなどに出かける。そして、この日に食べるのが、フィシークと言う魚の塩漬けである。ボラを塩とニンニクで、内臓ごと、数ヶ月漬け込んだものである。日本で言えば「なれ寿司」のようなものだ。
犠牲祭の終わった頃から、このフィシーク屋がスークに顔を出し始める。その前を通ると、強烈な匂いがする。この匂いがすると「春遠からじ」と思う。
エジプトはもう夏。いつの日か、ハムシーンを避けて、春香祭の日に行って見たいものだ。[a]
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