خبز (フブズ)
エジプト人は「パン食い人」の異名を持つほど古代からよくパンを食べた。
古代の神殿には、奉納したもののリストが沢山残っているが、パンのリストを見ると、その途方も無い数に、仰天する。一つのお祭りに何百万個というパンを奉納しているのだ。
石臼で挽かれた粉には、砂や石が多く含まれていたため、ミイラの歯を見ると、ものすごく磨り減っているそうだ。
現代エジプトにおいても、パンは主食である。
一番早起きなのは、この国でもパン屋さんである。
朝見るのは、畳一帖分もある大きな板の上にパンを並べ、これを片手で持って、自転車で配達するパン屋さん。
朝と、昼食前は沢山パン屋が出ている。高級パン屋の白くてふかふかなものから、道端に並んだ、焦げ焦げ、ザラザラ見るからに砂いりパンまで、パン屋だらけである。
アエイシュと呼ばれる、イーストの入っていないパンが、エジプト・パンと言ってよいだろう。丸くて、焼きたては風船のように膨らんでいる。これを半分に切って、中に空豆のコロッケや、ゴマペーストなどを入れてサンドイッチにする。また、このパンは、小さくちぎって丸めると、スプーンのようになるので、モロヘイヤなどをスクって食べる時も便利である。
家庭での朝食では、とうもろこしの粉を使ったパンと言うよりも、ケーキのようなものをよく食べている。硬くなると、ミルクティにつけたりして食べる。
私が居候していた家のお母さんは、一週間分のパンを毎週決まった日に焼いていたが、それだけでは足りずに、お父さんは仕事帰りに、よくパンを買っていた。家では焼かないエイシュ・バラディという、ドックパンのような細長いパンを、スーパーの袋いっぱいに買ってくる。すると子どもは大喜びで、たて笛を吹くように持って、食べていた。
このほかにも、パンの種類は豊富である。古代のファラオは、蜂蜜入りのパンが好きで、虫歯に悩まされたようだ。蜂蜜パンは、現代エジプト人も大好き。パンにつけるソースやジャムの中に蜂蜜もよく登場する。[a]
古代のパンを再現して食べたいな!
人気blogランキングへ