やっとピンチョン「競売ナンバー49の叫び」を読了。ピンチョンの中では比較的読みやすいということになってるらしいが、読みやすい本ではないという事実に変りはない。前に、ジョイスの「ユリシーズ」に似た構造があると書いたが、読み終わった今は、それにカフカの「城」を足したものと付け加えたい。いずれにしろジョイスとカフカの合わせ技では、どう考えても読み易い小説になりそうにはない。ピンチョンのどれかを読んだという人は、この日本に一体何人いるのだろうか。これはかなり興味がある。但し、売れた数は当てにならない。買った人の半分以上は最後まで読んでないと思うので。
合わせ技といえば、このところのニュースで柔道の助成金不正受給が取り上げられている。しかしこれは、本当に氷山の一角で、むしろあらゆる助成金には全て不正受給があると言った方がいいのではないだろうか。例えば地域おこしなどにも必ず使われるが、一旦認められたものは、書類さえ揃ってればその後ほぼノーチェック。実際どう使われたなんか判りようがないのだ。そうやって、日日無駄に使われているのだが、その無駄なお金はどこにいくかというと、経費という名目で、意味のないポスターや印刷物、或いは飲食に。ということは、それに関わる業者にはよき収入となる。これらは不正受給とはちょっと意味合いが異なるが、無駄に流れるという点では同じだ。こうやって利益構造は着々と形成され、そして延々と続くのである。