ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

雨月物語

2006年08月29日 | 映画


BSをふと見ると「雨月物語」をやっていた。
すでに十五分ほど過ぎていたが、結局最後まで見てし
まった。
見るのは二度目だったが、それなりに十分楽しめた。

所謂、娯楽作品では無い映画は、見るごとに新たな発
見がある。
年を隔てて見れば、見方そのものが変化しているので、
作品の印象そのものが、まるっきり変わることもある。
で、今回の「雨月物語」で気付いたことは次のような
こと。

BGMに笙や篳篥(ひちりき)、鼓などを使い、日本
的情緒満載である。
動きも、まるで「能」のようにゆったりしていて、幽
霊物語というより幻想譚と言った方が良いこの物語に、
実にマッチしている。
外人がイメージする、日本の「幽玄」「神秘」の壺を良
く押さえていると、かなり感じた(やや距離を置いた見
方になってしまったが)。
それと、話がこんなに教訓的だったか。
前回は、あまり感じなかった。

ショットショットでは、最初見たときと同じ場面が、
今回も印象に残った。
湖畔の場面とか、建物の柱だけ残ったものとか。
この点に関しては、自分の感性の壺は変わってないこと
を確認。
一つだけ、前回は全く気付かなかったことが。
霧の中の湖畔の場面が、タルコフスキーの「サクリファ
イス」のイメージそのものだったのだ。
そういえば「サクリファイス」も何故か「能」のBGM
を使っていた。
「雨月物語」の引用だったのか。
アメリカには何の影響も与えてないが、ヨーロッパには
影響を与えた溝口健二を、ここで改めて再確認したのだ
った。
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