扶桑往来記

神社仏閣、城跡などの訪問記

歴史コラム #25 海の国のこと

2016年05月31日 | エッセイ:海の想い出

5年目に入ったコラム、今回は沖縄の話。

 

今年の3月に4泊5日で沖縄本島に取材に行った。

この旅で日本100名城を全て回ったことになった。

沖縄の城とはグスクのこと。

いくつもグスクを回ったがどこにいってもまあ景色のいいこと。

主郭の石垣に上ってみればきれいな海がみえ、吹き渡る風もすがすがしい。

 

沖縄の歴史はヤマトの末裔たる我ら本土の人間にはつらい。

琉球王国が薩摩の支配下になり、明治政府によって滅亡する。

この時代は琉球の人々にとって表面上は中国清朝の冊封国であった一方、薩摩藩の顔色をうかがわざるを得ない衛星国の一面があった。

奄美諸島は薩摩の植民地と化して砂糖地獄が演出されるようになる。

 

沖縄の古代は貿易立国を果たし、日本とも深い交流があった。

そして琉球にも戦国時代があり日本風の鎧兜で戦い、尚氏が天下を取った。

グスクがどのようにまた何のために築かれたかは謎の部分もまた大きい。

ヤマトの城と違うのは祭祀の場の占める重みが違うことである。

どのグスクにも自然信仰に根ざした御嶽(うたき)が設けられている。

 

沖縄を旅する時、常に神様が自分をみているような感があった。

沖縄は自分にとってどうしても先の大戦時の戦闘を追体験してしまうつらい場でもある。

「お前、ここをどうみる」と神様がつど問いかけているように感じられ、光景の美しさを愛でつつも息苦しさがあった。

 

一回ではもったいないので次回も沖縄話にしたい。


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