扶桑往来記

神社仏閣、城跡などの訪問記

越前・加賀の城 #3 永平寺

2011年06月20日 | 世界遺産・国宝・重文

そばで満腹になったところで永平寺。

 

永平寺には子供の頃、叔父さんに連れて行ってもらった記憶があるが行ったことしか覚えていない。

永平寺を開いたのはいうまでもなく道元。

道元は京に生まれ、叡山に上った。

僧となって日本臨済禅の祖、すでに入宋していた栄西の弟子、明全と共に貞応2年(1223)宋に渡った。

帰国後、京の仏教界と衝突し、俗世臭の強い京を離れて永平寺を開いた。

没したのは京においてであり、御廟が永平寺の最も奥まったところに鎮座している。

私は歴史上の人物の墓参りが好きで墓の前で手を合わせるととたんに親近感が湧く。

 

開祖や総本山の有様はその宗派の思想を濃厚に表している。

空海と高野山、親鸞と本願寺、日蓮と久遠寺などは象徴的であろう。

私はかつて「宗教の本」「東洋思想の本」を書いたことがあり仏教各宗派について調べるうち、道元についても興味を持った。

日本の禅について聞かれるとき、私は臨済宗は哲学サークル、曹洞宗は体育会と言ったりする。

どちらも禅宗ではあるが素人なりに臨済は考えることが中心にあり思考の一手法に座禅がある。

対して曹洞は「考えるより座れ」であり日常を無で過ごすことを重視する。

よって永平寺とは体育会系のアスリートを輩出する道場であるのだと思っている。

永平寺はとかく「観光地化されている」と揶揄されることもあるが来てみればそこはやはり日常と非日常が見事に重なっている道場であった。

 

永平寺の景観を独特にしているのは回廊。

七堂伽藍が全て屋根付きの回廊で結ばれている。

山門の四天王像は彩色が完璧に表現されていて圧倒的、これだけでも見に来る価値があろう。

今日は訪れる人が少なく、曹洞宗寺院の持つ独特な雰囲気の中、思う存分拝観することができた。

 


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