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No631『雷桜』~蒼井優はみごたえ十分~

蒼井優が演じる雷はすごい。
馬に乗って野山を駆け回る野性味あふれる少女で、
感情をストレートに出し、泣きじゃくったり、
ぴったりな役柄だ。

ただ、それ以外は、私にはもの足りなかった。
ちょうど、京都映画祭で
どっぷり時代劇に浸った直後だったせいか、
「殿」と呼ぶ声一つとっても、軽く聞こえ、
柄本明演じる殿のお守り役が
殿に自戒を迫るため切腹するシーンにしても、
いきなり唐突すぎて、びっくりした。
お守り役としての心情描写が少しはあってもいいのでは?

クライマックスの、
若殿(岡田将生)の行列の中に
馬でつっこむ雷。
この場面こそ、まさに若殿の男ぶり、愛の深さをみせる
すごい見せ場なはずなのだが、
どうも、まどろっこしく感じたのは私だけだろうか。
若殿と雷とのやりとりも
籠の中の若殿の表情をもっと省略するとかして
観客に想像させてほしかった。

廣木隆一監督は、
『ヴァイブレータ』『きみの友だち』と当時観て大好きで
『余命1ヶ月の花嫁』の
夜半、恋人同士が自転車で街を疾走する名シーンも忘れがたい。
それだけに、期待していたので、
ちと辛口になってしまう。

若殿の付き人の小出恵介も、説明くさい気がした。
ただ、宮崎美子演じる母が
「私がこれからする行動は、家に迷惑をかけるから」と出てゆく娘、雷に
かける優しい言葉がなぜか心に残っている。

とあれこれ考えていたら
廣木隆一監督は、
今回、時代劇というより現代劇のつもりでつくった、というのを読み、
そりゃ、日本映画の黄金期の時代劇と比べること自体
役者の発声も違うし、愚かだったと反省。

身分違いのラブストーリー自体はいいお話で、
原作の人気が高いのは想像できる。
若殿さえよければ、もっといい映画になったはず。
映画も評価している人は多く、ぜひお確かめください。
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