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No628『ベンダビリリ!~もうひとつのキンシャサの奇跡~』~音楽があればこそ~

Benda Bilili! とは、リンガラ語で、
「外側を剥ぎ取れ=内面を見よ!」という意味だそうだ。
すごく大胆な言葉だ。でも、なんだかとってもいい。

コンゴ民主共和国(アフリカ大陸の中央西寄り)の
首都キンシャサ。
日本の車椅子のように、車輪を手で直接回すのでなく、
自転車のようになっていて、
ハンドル部分に、手で回すペダルのようなのがあって、
それを回して進む。
障がい者という感じにはみえず、
ゆったりした感じだった。

ポリオで下半身不随となった車椅子ミュージシャンと
そのメンバーに拾われたストリート・チルドレンからなる
バンドの名前が
「スタッフ・ベンダ・ビリリ」

バンドのリーダーのリッキーは
自然体の面倒見のよいおっちゃんで
いい顔をしている。
ストリートチルドレンと仲がよく
彼らの面倒をみたり、車椅子を押してもらうことも。
おしつけがましくもなく、
音楽への愛が熱く深く伝わってくる。

中でも圧倒されたのは、ロジェ少年。
リッキーが才能を見出した、ストリートチルドレン。
缶に弦を1本通しただけの、手作り楽器で演奏するのだが、
(ブリキ缶に木の棒でつけ両端を金属ワイヤーで留めた1弦ギター)
バンドに入って演奏するときの
主旋律に、見事に音を重ねて、和音をつくっていくセンスは
天才的。
不安そうな、揺れる大きなまなざしで
一生懸命演奏する姿は忘れられない。

監督が「音楽映画ではない」というとおり
どんなつらい状況であっても
歌を、音楽を追いかけ、バンドを続ける彼らの
熱く生き抜く姿を追いかけた人間ドキュメンタリーだ。

ロジェが、ボクには音楽があるから、スリやかっぱらいをしなくても
生きていける、と言った言葉どおり。
音楽、歌こそ、彼らの生きる支えであり、
どんな災難に襲われてもへこたれないパワーが
生まれるのだろう。

マットレスも買えず、ダンボールの上で眠る子ども達の状況も
歌詞にしてみごとに歌にしてしまう即興。

コンサートのような、めちゃめちゃ熱い感動を求めてでなく、
ちょっと興味本位で劇場に足を運んでもらって、
あらまあ、なんてすごいんだろうと、
驚きとともに彼らに出会ってほしい、そんな作品デス。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
ロジェ少年の演奏 (ケンシロウ)
2010-10-27 13:10:21
ほんとにかっこよかった。
 
 
 
ケンシロウさんへ (ぱらぱら)
2010-10-27 22:34:50
演奏の最初、たった一本の弦からの音を聞き分けながら、音をたぐりよせようとする真剣な表情は、まさにプロの演奏家でしたね。
 
 
 
でも (ケンシロウ)
2010-10-29 12:59:45
なんかうまく出来すぎていて仕込みの様な気が。でも、彼らの底無しの陽気さには精神力以上のミラクルな何かを感じました。
 
 
 
底無し ()
2010-10-30 01:22:44
確かにロジェ少年を探しに村へいって見つからず、船に乗っている彼がいる、というのはドラマチックですね。でもやはり一旦四散したというのは事実っぽい気がします。
リーダーのリッキーさんの暖かいしゃべりもすごくパワフルで、なんかロジェもふくめて、皆がちゃんと自分の言葉で語っている気はするのですが…。
 
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