日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

テレビNEWSワイド番組の災害報道にモノ申す!

2008-06-16 | その他あれこれ
14日朝に発生した岩手・宮城内陸地震は、今だ多数の行方不明者を出したまま、余震が続き一部では救出活動が難航しています。

特に駒の湯温泉での旅館崩壊現場は大量の土石流の流入により旅館が流され土砂に埋もれたために、その救出は難航を極めています。土曜日の朝に起きた災害は、月曜日の朝から各テレビ局のニュース・ワイドショーの取材ラッシュ状態で、チャンネルを回せばどの局も災害現場からのレポート合戦に明け暮れています。

そうなると毎度のことですが、マスメディアの取材合戦は決まって行き過ぎた競争を生み、迷惑や迷惑の可能性を顧みない傍若無人な振る舞いが、そこここで見られようになります。特に“絵”が勝負のテレビ各局は、他局にない映像の入手に奔走し、ルール違反や行きすぎた報道を平気でやってのけるのです。

今回も大問題と思しき取材現場が今朝からテレビに映し出されました。日本テレビ「スッキリ!」の現場レポートは、駒の湯温泉につながる3本のルートを現地取材。舗装された2本の国道ルートが土砂崩れにより救出当局の判断で通行止めになると知るや、現場の状況から寸断が明らかでかつ危険が伴う、山間無舗装の林道ルートに参入。「危ない!」とか「おっと余震です」などのコメントでつなぎながら、林道が土砂に埋まっている“絵”を収めて引き返すという暴挙を映し出していたのです。

舗装された国道2ルートの間を行く、山間の土砂に埋まった無舗装林道ルート、誰が考えても危険な場所です。しかもその閉ざされた道の先駒の湯では、今も生き埋めの被災者と必死で救出にあたるレスキュー隊の方々がいるのです。未だ余震が収まらず、ゆるい土砂でいつまた土砂崩れが起きるとも限らない、大変危険な場所での土砂崩れの“絵”を収めんがための、何の利益も生まない“危険な取材”。人命救助現場至近の場所で、二次災害に巻き込まれたら大変な問題であるとなぜ考えないのでしょうか。

林道の未封鎖は、明らかに人命救助を最優先しているがために後回しにしているにすぎず、その間隙をぬっての、あまりに無頓着、非常識極まりないこの報道姿勢には激しい怒りを感じました。台風が接近しているときに、あえて暴風雨の海岸近くに風に飛ばさ、波にのまれそうな“絵”を平気で公共の電波で垂れ流すテレビ局がありますが、それと全く同じバカさ加減。現実に、被災者とその家族が苦しんでいるそばでの、危険を顧みない無神経な行動はさらに罪が思いと感じました。

マスメディアは、たとえワイドショーであろうとも報道を材料にする以上、最低限のモラル、常識をわきまえなくては、公共の電波を使用する資格はないと考えます。日本テレビおよび番組スタッフは本件を猛省するとともに、速やかに被災者とその家族方々、必死の救助活動にあたっている方々に対して、心からのお詫びの姿勢を示して欲しいと思います。

※本件日テレ番組宛に、本ブログ内容での意見FAXを入れました。番組内での本件に対するコメントの有無はともかく、同番組の制作姿勢の過ちを気づかせ、少しでも反省を促せればとの考えによるものです。