日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

「小沢辞任→民主人気急降下」は、福田総理の思惑どおりか?

2007-11-05 | ニュース雑感
政治ネタはあまり好みませんが、民主党小沢代表突然の辞任は、マーケティング的見地から見て政党支持率をも揺るがしかねない大事件なので取り上げます。

小沢氏の突然の辞任は福田総理からの突然の連立打診を前向きに検討したいとした、その姿勢に対して党内から反発が出、「なら辞めてやるわい!」といういつもの“壊し屋”小沢の悪いクセがつい出てしまった、ということだと思います。

世論の大勢は「無責任」「何を考えているのか分からない」「なんで今辞める必要があるの」等のようで、少なくとも民主党にとってマイナスではあって、決してプラスではない出来事です。
その意味では、今後の民主党の対応いかんでは、政党支持率および来るべき衆院選の流れを大きく変えかねないターニングポイントになるかもしれません。

民主党は、先の参院選で圧勝し、「無責任辞任」の安倍前総理を引きづり下ろし、まさに、参院選大勝→首相辞任→防衛事務次官問題→テロ対策措置法案参院否決→衆院解散総選挙の流れで、いよいよ“山が動く”ところまで見えはじめていました。
ところが、今回の小沢辞任劇。安倍前首相の「無責任辞任」を批判できないばかりか、民主党は「内紛」イメージによる「政権政党失格」の烙印すら押されかねない大きなリスクを背負い込むことになりました。

小沢氏に組織リーダーとしての冷静な判断があったなら、いきなりの「辞任表明」はありえない選択であると思います。すなわち、小沢氏は組織のことよりも自身の名誉やプライドを重んじ、瞬時に「辞任」を選択したわけで、組織リーダーとしての資質を著しく欠く人物であることが、はからずも明確になってしまったのではないでしょうか。
思えば、自民党を離党したときも、新進党を壊したときも、すべて他人には理解し難い「何にも勝る守るべきプライド」がそうさてきたのだと思えます。それが今回、政権奪取を十分狙える野党党首の立場で、またも出てしまったのです。

政党支持率は、一般大衆の心理的作用が大きく影響します。その意味では、マス消費者向け商品・サービスのイメージ作りと相通じる部分が多くあります。企業イメージが不祥事等で悪くなれば、その会社の商品がどんなにいいものであっても売上は落ちるでしょう。同様に、政党がどんなにいい政策を打っていてもその政党に不祥事がおきれば、確実に支持率は下がります。民主党は速やかに体制の立て直しをはかり、「内紛」イメージの払拭をはからなければ、今までの努力はすべて水の泡になってしまうでしょう。

それと、今回の一件でもっと気になることがあります。
そもそも現在の日本が2大政党制への流れに向かっている中で、今回の福田総理の「連立提案」はどう考えても疑問符が投げかけられます。すなわち、2大政党連立→大政翼賛会的大合同であり、政党政治の重要な役割である政権政党牽制機能が働かなくなる訳で、そんな子供でも分かるような非常識な持ちかけを、福田総理が本気でしたのか、という疑問です。

つまり、政権奪取意欲が強くかつ自民党に対する“望郷の念”が捨てきれない小沢氏が相手なればこそ、“策士”福田が繰り出したイチかバチかの「戦略兵器」だったのかもしれません。
管代表代行はじめ非自民系出身議員もまだ数存在する民主党が、今回の大同連立提案に合意するはずもなく、総理はそこまで読みかつマスコミも利用しながら、「小沢の自民寄り暴走」→「民主党内紛・分裂の危機」イメージを、広く国民に印象付け参院選大敗からの巻き返しを図ろうとしたのではないか、という仮説です。

先の総裁選での「麻生撃沈戦略」を見てくれば、「策士」福田総理ならばこれぐらいのことは、思いついても全く不思議ではありません。
小泉元総理は史上最強の“マーケッター宰相”と言ってもよいほど、その発言の妙で国民の心理をうまく捕らえてきましたが、福田総理はもしかすると史上最強の“戦略家宰相”なのかもしれません。
事の真偽のほどはともかく、福田総理は次にどんな手を打って、来るべき衆院選を乗り切る考えなのか、今後の戦略的政治手法からますます目が離せません。


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