日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

北野誠“降板事件”の理由をひた隠す放送局、所属事務所の不気味

2009-04-14 | その他あれこれ
タレントの北野誠氏が廃業の危機にあるとか?

関西ローカルの人気ラジオ番組『誠のサイキック青年団』内で“不適切発言があった(所属事務所)”ため、同番組が突然先月8日で突然打ち切りになり、所属事務所の松竹芸能により氏のすべての出演番組の降板が発表されたというものです。これって異常事態では?普通、犯罪で検挙されたとか、明らかな法違反やそれに準ずる行為があった場合にとられる措置ですが、番組中の「不適切発言」を理由とした活動規制としては常識的にみて重すぎる処分であるように思われます。

『誠のサイキック青年団』は、毒舌をウリとする北野氏の特性を前面に押し出し20年も続いた長寿番組だそうです。昨日松竹芸能から発表された北野氏の処分は「無期限の謹慎処分」。発言内容に行きすぎはあったのかもしれませんが、当の番組降板だけならまだしも他の出演番組もすべて降板、加えてブログ閉鎖等一切の活動停止とは、明確な理由を明らかにしない処分としてはこちらの方が行きすぎのように思われます。第三者がから見て「妥当」と思われる明確な理由が付されるなら話は別ですが。

ABCラジオの放送打切告知放送では、「一部に、リスナーの方々に大きな誤解を与えるような表現があり、この点について、話題で取り上げた関係者の皆さまに、ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」とだけ伝えられ、詳細については一切触れられずじまい。一方所属事務所もホームページで、関係者の処分と「今後、当社内で再発防止を徹底すると同時に、全社員がタレントマネジメントのプロフェッショナルとしての矜持(きょうじ)を持ち、高い倫理観と強い危機管理意識を持ち、職務に励む所存です」との実に杓子行儀なコメントを表明するにとどまっています。一方ネット上でのリスナーコメントを見るに、8日の放送を聞いたと言う人からは「処分にあたるような発言は見当たらない」という意見も聞かれ、実に不可解な展開になっています。

私は北野氏のファンでも支援者でもありませんし、北野誠というタレント自体の存在がこの問題でどう扱われようが、私個人にも芸能界にもほとんど影響は何もないと言っていいでしょう。ただ、理由を明確に示さない突如の番組打ち切りは異常であり、しかもタレント潰しとも思える今回の一連の動きには、どこか見えざる「圧力」や意図的な何かを感じざるを得ない状況で、何とも気持ちの悪い状態であるのです。

リスナーを顧客として20年にもわたって番組を放送し続けてきた放送局としては、公共の電波を使って放送番組の制作を司っている責任において、突然の番組打切理由を明確に表明する義務があると思います。所属事務所にしてもタレントという自社商品に「不良」が発覚しリコール処分をとったのであれば、社会的活動を展開する企業の責任においてその事故状況や処分理由を明確にするべきなのではないでしょうか。両社ともそれをしないのは、それをされると都合の悪い加圧者がいてその者への配慮と思われても仕方ないですし、もしそんな裏で暗躍するような加圧者の如き存在があるのならば、それこそ徹底的に糾弾するべき問題ではないのでしょうか。

今の時代にそぐわないアンタッチャブルなタブーの存在を感じさせる今回の事件。芸能界とそれを相手に商売をする芸能マスメディアの、およそ時代遅れな業界文化を感じさせるに十分であり、他のマスメディア各社は業界としての自浄作用を働かせる意味からも、その点を強く追及し真相を解明すべく働きかけるべきであると考えます。

この事件自体は大した事件ではないのですが、商売柄“見える化”されない不快感を強く感じ取り上げさせてもらった次第です。