-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

ユキツバキかなあ。(その10の補足) 6回目の大平地区

2023-09-10 14:13:41 | 自然

 もっと早めに「ユキツバキかなあ」シリーズを再開すべきでしたが、尾花沢市六沢地区の繋沢に興味を持ってしまい、かなり長い間、首ったけになっていました。繋沢の歴史は野邊沢城に大きく関係していましたので、畑沢しか知らない私には難儀な課題でした。それでも、わくわくする探求を楽しむことができました。

 実はさらにおまけがあります。7月からカンカン照りが続いてちょっとの作業でも汗だらけの天候でしたが、順調に修理できた草刈り機で、調子に乗って何日も作業したものですから、とうとう熱中症になってしまいました。39.5℃を最高に39度以上が4日続き、とうとう医療機関にお世話になりました。過去に二度も経験をしてもこの無様な姿です。体力と気力が失せて、ブログは後回しになりました。

 さて、ユキツバキ(雪椿)に関する投稿は、今年の5月11日が最後でしたので、実に約4か月振りになります。最後の投稿は「ユキツバキかなあ(その10)五回目の大平地区」でした。昨年度、大平地区の開花最盛期を見逃したので、今年5月2日に再挑戦した内容でした。その時、充分に雪椿の花弁、雄しべ、雌しべ、葉脈などを観察できましたが、まだ若葉が出ていませんでしたので、雪椿の若葉の葉柄に生えていると言う「毛」の有無を確認することができませんでした。

 そこで、6月10日に若葉を確認するため、山形市大平地区に行ってきました。さすがに、この時期は雪椿の群生地に誰の姿もありませんでした。私以外に「若葉」に興味を示す人はいません。若葉は保護地区の至る所にあります。

「しめしめ、これは簡単に観察できる」と思って雪椿に近づいたのですが、

「ない、若葉の葉柄に毛がない」。

とんでもないことです。「雪椿の若葉の葉柄には短い毛が生えている」はずです。愕然としました。これまで何度も大平地区に足を運びながら、最後の最後に雪椿であることを証明する証拠が見つからなかったのです。これまでの苦労は何だったのでしょう。とまで考えたのですが、「葉柄の毛」以外は全て雪椿の特徴を備えていたのですから、葉柄の毛がないからと言っても、大平の椿が雪椿ではないと言えないのではないかとも考え、先ずは葉柄に毛がない証拠を撮影することにしました。葉柄だけの撮影は、「接写」という写真技術で行います。私は高級カメラを持っていません。一眼レフは何台か駄目にしました。残るはコンパクトデジタルカメラとスマホだけです。接写の際には、マクロ気味にして撮影するのですが、それでも、葉柄は大きく見えません。どのように写ったかは自宅へ帰ってパソコンで拡大しないと確認できません。写ってもいないかもしれない物を何度も写すという、やりがいのない仕事は疲れが大きいものです。

 ところが、自宅のパソコンで拡大して、驚きました。葉柄の毛が写っていました。葉柄ばかりでなく、葉身の基部にまで短い産毛のような毛が生えています。余りにも短いので、肉眼では見えなかったのです。虫眼鏡でも持参していれば見えたのでしょうが、私の思い込みが邪魔しました。雪椿の特徴として挙げているのだから、「当然、直ぐに確認できる程度なのだろう」と勝手に思い込んでいたのです。生まれて初めて、椿の葉柄に生えた毛を見ることができました。感激です。

 「雪椿の葉柄に毛がある」ことは、複数のインターネット記事で学んでいました。ところが、その後、私が雪椿に関して最も信頼している石沢進氏が1974年に発表した「ユキツバキの生態学的研究」の中で、ユキツバキの形態的性質には、葉柄の毛は書かれていませんでした。2005年に同氏が「植物の自然誌プランタ」に寄稿した「ユキツバキとヤブツバキの形態の比較:芽及び葉縁」では、ユキツバキの葉柄は有毛である旨が記されています。雪椿の全国随一の石沢進氏でさえ、1974年ではまだ葉柄の毛に気付いていなかったと考えられます。当時は葉柄の毛は、学界でも認識されていなかったのでしょう。葉柄の毛以外にも雪椿の特徴が多数ありますので、そこまでは考えなかった、又は肉眼で見えなかったので気付かなかったと考えるべきかと思います。そして、私が言いたかったのは、「私が肉眼で葉柄の毛を見つけることができなかったのは、無理からぬことである」という言い訳です。

 今さらですが、葉柄とか葉身とかの用語を使いましたので、順序が逆になった無礼を詫びながら説明図を次に添えます。私も知らなかったのですが、今回のブログのために調べました。写真に写っている指は私のですが、かなり拡大しています。これぐらい大きくできれば、肉眼でも「葉柄の毛」を確認できます。それにしても、「葉柄の毛」はどんな役割があるのでしょうか。一般的に自然の造形物には無駄がないと思うのですが、想像できません。


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