温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

奥美利河温泉 山の家

2009年11月29日 | 北海道
※施設老朽化等のため2015年度は休業。詳細や今後については「北海道桧山振興局」公式サイトの温泉に関するページでご確認ください。



湧水地は場所によっては観光名所にもなる程で、地中から水が勢いよく湧いているところを見かけると、どういうわけか感動するものです。この水が温かければ温泉になるわけですが、大抵の源泉は人の手によって管理されているので、温泉が湧いている様を直接見る機会は意外と少ないかと思われます。各地に見られる地獄谷のように、火山活動が活発なところにいけばふつふつとお湯が沸く様が見られますが、そのお湯は高温なのでそこで入浴することはできません。今回紹介する北海道の「奥美利河(ピリカ)温泉」は、地獄谷のような場所ではなく火山活動とも無縁なところですが、静かな山の中で清冽なお湯が自然の姿のままで湧いている様を見ながらその場でお湯に浸かることができる、貴重な存在の温泉です。

北海道渡島半島の今金町を東西に貫く国道230号線を走っていると美利河ダムの前を通りますが、この近くにあるT字路に立つ「奥ピリカ温泉」の看板を確認し、それに従い道道999号線へ入り(縁起のよさそうな番号ですね)、標識通りに山の奥へ8キロ程進んだ道の終点が今回の目的地です。道は全区間舗装されているものの幅員が狭隘なところもあって、途中で対向車が来たらどうしようとドキドキしながらの運転でした。

 駐車場から近いところに浴場があるのですが、入浴するにはまず、その奥にあるログハウス調の建物「山の家」で料金を支払ってからとなります。同じくログハウス調の湯屋に入ると、中はこじんまりとしており、幾分薄暗く、地面を掘ってつくられた湯船がポツンと据えられています。玉砂利が敷かれた浴槽には綺麗に澄んだぬるめのお湯が張られており、薄暗い室内に差す外からの日の光が筋になって浴槽の底まで届き、湯面や玉砂利がそれを反射してキラキラと輝いていました。内湯から外へ出ると露天風呂ですが、このお風呂がまるで庭園に配された池のように広々としており、そのレイアイトの様子はお風呂というより池そのもので、お湯に浸かるとニシキゴイの気持ちがわかったような気がしました。お風呂が広いだけあって開放感も抜群、のびのびと気持ちよく湯浴みができます。なお露天風呂は入口付近こそ男女別に仕切られていますが、それ以外は仕切りが無く混浴です。その代わりここは水着の着用が許されているので、水着持参であれば女性の方も気兼ねなく露天風呂を楽しめます。

 この「池」の左手の岩肌には窪みがあって、そこがこの温泉の源泉なのですが、普通の温泉のようにいわゆる湯口のようなものはなく、上述の通り自然のありのままの姿で湧いているのです。しかもチョロチョロなんてもんじゃなく、滾滾と地中から盛り上がて溢れ出ているのです。その様はまるで羊蹄山のくみだし公園や静岡県の柿田川湧水群を髣髴とさせます。自然の豊かな恵みという形容がぴったり。私は温泉と湧き水が好きな人間なので、この様子を目の前にして興奮しっぱなしでした。
お湯は無色澄明無味無臭、実に清冽で、さらさらとした爽快な浴感。少々の泡付きがあり、ぬるめで長湯仕様、夏の暑い日にはとても気持ちよく入浴できるでしょう(湧いたお湯をそのまま露天や内湯へ流しています。湧出温度は38.5℃なので、夏以外は湯上りにちょっと肌寒さを感じるかもしれません)。

携帯電話の電波なんて全く届かない深く静かな山の中、野趣溢れる広々とした露天風呂で得られる開放感のみならず、こんなマイナーなところでお湯が勢いよく湧く様子が観察でき、しかもそれを目の前にして直接入浴できるという意外性が、この温泉のおすすめポイントです。


内湯


池のような露天風呂


窪みからお湯が湧き出でる様子。滾滾と溢れ出ています


単純泉
38.5℃ pH7.9 自然湧出(量不明) 成分総計0.300g/kg

北海道瀬棚郡今金町美利河353 地図
0137-83-7111(クアプラザピリカ)
クアプラザピリカのホームページ(「山の家」の情報あり)

8:00~19:00
11月~4月末まで休業(詳細はお問い合わせください)
300円

私の好み:★★★

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