温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

尼崎市 蓬莱湯

2018年04月22日 | 兵庫県
 
前回記事の「クア武庫川」を出た私は、再び阪神電車に乗って梅田方面へ向かい、今度は尼崎センタープール前駅で下車しました。駅名にプールとありますが、人間が泳げるプールではなく競艇場の池を指しているんだとか。実際に高架の駅の目の前には漫然と水を湛える大きな競艇場を見ることができますが、ということはレース開催日になるとガラの悪いオジサン達が集まって、駅前は一種独特の雰囲気に包まれるはずです。ただでさえ尼崎という街に対して抱くネガティブな先入観に加え、その先入観を駄目押しさせるギャンブルという要素が重なると、柔な関東人である私はその様子を想像するだけで怖気付いてしまい、電車を降りて改札を出るときには、自分の身を守ろうと妙に緊張してしまいました。


 
警戒心が解けぬまま、昭和の下町風情が強く漂う街中を歩くこと数分で、旅館を思わせるシックなファサードの銭湯にたどり着きました。今回の目的地である「蓬莱湯」です。ここだけ見ると尼崎とは思えません。昔ながらの銭湯をモダン和風にリノベーションしたのかもしれませんね。



建物の裏手には銭湯のシンボルである煙突が天高く屹立しています。


 
また建物の脇には温泉スタンドのほか、温泉を使ったペットシャワーと称する珍しい設備も設けられていました。


 
暖簾をくぐって中へ入ってみます。玄関には「地湧の湯」と記された札が立てかけられていました。こちらで使っている源泉の名前です。番台というよりフロントと称したくなるような受付で、ちょっとご機嫌宜しくないようなおばちゃんに湯銭を支払います。館内はいかにも現代的な、温もりある色調と明暗のコントラストをはっきりさせたモダン和風な内装が施されており、近隣の銭湯とは一線を画す上品な雰囲気を感じ取ることができます。また決して広くはないものの、旅館の応接空間のような休憩室が設けられていて、これまた下町の銭湯とは思えない趣きです。

私が訪問した時の場内は混雑していたため、以下文章のみでご紹介します。悪しからずご了承ください。
小綺麗な脱衣室を抜けて浴場へ。
浴場内のレイアウトこそ銭湯そのものですが、大理石のような風合いのタイルを多用することで、非日常的かつ上質な雰囲気を醸し出していました。
中央の主浴槽や副浴槽を挟む形で左右に洗い場が設けられています。設置されているカランの数は計16。いずれもシャワー付き混合栓です。もしかしたらシャワーから出てくるお湯は温泉だったかもしれませんが、記憶が定かでないので、はっきりとしたことは申し上げられません(ごめんなさい)。奥の方には(左から)真湯浴槽・水風呂(2人サイズ)・ガラス張りのスチームバス・温泉使用の座湯(2人用)の順に並んでいます。

中央の主浴槽や副浴槽には温泉がふんだんに使われており、浴槽の縁から惜しげもなくお湯が溢れ出る光景を目にすると、本当にここが尼崎の街中なのかと我が目を疑いたくなりました。主副は前後に隣り合って並んでおり、手前側(脱衣室側)は主浴槽。目測で1.8m×2.5mほどの5~6人サイズ。一部は泡風呂になっており、泡風呂ではない部分はちょっと深くなっています。槽内の湯口より温泉が噴き上がっており、42℃前後の適温のお湯が張られていました。
副浴槽は主浴槽から流れてくるお湯を受けており、3人サイズで湯加減は40~41℃くらいのぬるい設定。この副浴槽からお湯が豪快にオーバーフローしており、見ているだけでも豪快な気分を味わえます。

お湯はやや濃いめのジャスミンティー色。薄いベージュや褐色の浮遊物がチラホラ確認できますが、懸濁は見られず、浴槽の底ならはっきりと見える透明度を有しています。浴槽全体がゴールド色に染まっているのですが、これはおそらく温泉成分の付着によるものでしょう。お湯からは淡い金気味と清涼感を伴うほろ苦さ、弱い金気臭とモール泉のような香りが感じられます。主浴槽に入ると肌への泡付きがみられましたが、これは温泉由来なのか或いは泡風呂の泡なのか、そのあたりは判然としません。とはいえツルツルスベスベの滑らかな浴感は素晴らしく、しかも完全かけ流しなのですから、ありがたいことこの上ありません。繰り返しますが尼崎の街中なのです。にもかかわらずかけ流しの温泉が楽しめるのですから、湯に浸かればまさに蓬莱の境地に至れることでしょう。私のような湯めぐりを趣味とする面倒な唐変木も、舟券を外してオケラになったおじさんも、こちらのお湯に肩まで浸かれば、みんな等しく幸せになれるはずです。
前回記事の「クア武庫川」はしょっぱくてカルシウムが多い濁り湯でしたが、そこから大して離れていないにもかかわらず、こちらはあっさりとした淡いモール泉のようなタイプの温泉なのですから、阪神間の温泉は実に多種多様。以前拙ブログでも申し上げましたが、阪神沿線は隠れた温泉郷と言えそうです。


湯元 蓬莱 地湧の湯
単純温泉 43.0℃ pH8.0 603L/min(動力揚湯) 溶存物質0.467g/kg 成分総計0.469g/kg
Na+:110mg(90.64mval%), Ca++:4.9mg,
Cl-:2.9mg, HCO3-:276mg(89.55mval%), CO3--:12.0mg,
H2SiO3:54.7mg,
(2011年5月30日)

阪神・尼崎センタープール前駅より徒歩5分
兵庫県尼崎市道意町2-21-2  地図
06-6411-0567
ホームページ

15:00~23:30(受付23:00まで) 金曜定休
420円
ロッカーあり、ドライヤー有料貸出(50円)、各種販売あり

私の好み:★★★

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2 コメント

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Unknown (a-m-p)
2018-04-23 17:28:44
貴ブログの更新を楽しみにしています
本日蓬莱湯に行ってきました
驚いたのがサウナです
温泉を熱源?に当てているようでした
上がってから、受付の若い女性に貴ブログのこと、☆3つだったことを伝えると、大変喜んでおられました
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Unknown (K-I)
2018-04-25 13:22:53
a-m-pさん、こんにちは。
おっしゃるように、こちらのスチームバス(サウナ)では温泉が使われているようですね。私が伺った時には、他にお客さんで埋まっていたため、あまり使う機会がなかったのですが、できれば再訪して利用してみたいものです。館内の随所に、従来の銭湯にはない発想や配慮が見られる、素敵なお風呂だと思います。お近くにお住まいの方が羨ましいです。
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