温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

礁渓温泉 阿先湯泉養生會館

2019年05月09日 | 台湾
今回から連続して、久しぶりに拙ブログの得意な範疇である台湾の温泉を取り上げます。

まずは台湾東部の宜蘭県、台湾屈指の温泉地である礁渓温泉から。
山間に立地することが多い台湾の温泉にあって、珍しく平地にひらけている礁渓温泉は、近年超大規模な温泉ホテルが次々に建ち、旧来からの温泉旅館との競争が激化して、全体的に客室供給過多な傾向にあります。このため、台北のホテルが高いとお嘆きの旅行者の方は、高速バスで1時間ちょっとの当地へ足を運べば、廉価なお宿を見つけることができるかもしれません。また、台北に何度も訪れており、北投や烏来ではない別の温泉で日帰り入浴したいという方にも、交通の便が良く施設の選択肢も多い礁渓温泉は、手軽な湯浴みにもってこいの場所です。ただ、施設の数があまりにも多すぎるため、玉石混交の中から自分の好みに合うお風呂を見つけるのは至難の技。かくいう私も、ロシアンルーレットのように、とにかく行き当たりばったりで特攻し、戦果を得ることもあれば、玉砕することもしばしば。失敗を繰り返しながら、勘を養うほかありません。
先日私が台湾を訪れた際にも、初日の宿泊地に選んだのがこの礁渓温泉でした。羽田からの飛行機が松山空港に到着し、そこから公共交通機関を乗り継いで、礁渓温泉にたどり着けたのは日没後。この日の宿(次々回で取り上げます)に荷物を下ろしたあと、夕食を摂りながら、お風呂探しの勘を養うべく、夜のとばりが下りた温泉街を散策して、時間と体力の許す限り日帰り入浴を楽しむことにしました。

バスターミナルから近い裏道を歩いていると、なにやら私の勘をくすぐる怪しげな光景を発見。駐車場の片隅に「阿先 湯泉」と書かれた看板が立っていたのでした。もしかしたらここでは良いお湯に出逢えるかもしれない…。そんな予感を抱きながら、日帰り入浴のため施設を訪うことにしました。
なお本記事では、はじめの2枚の画像だけ翌朝に撮影したため、私が利用した夜の様子ではありません。



上画像に写っているホテルのフロントで日帰り入浴したい旨を告げたところ、すんなり受け入れてくれました。言われた通りに料金を支払うと、樹脂でできた丸いトークンを渡してくれます。



そのトークンを手にしながら、スタッフが教えてくれた通りに建物の裏手に回ると、広い駐車場があり…



駐車場の奥に浴場の受付窓口、そして改札機がありました。受付の中には誰もいない様子。
なお、上画像で私の指が持っているのがそのトークンです。改札機にトークンを投入すると、回転ゲートのストッパーが開錠され、中へ入場することができました。



ゲートを抜けてすぐのところには、ドライヤーがたくさん置かれたブースや売店などがあり、そこを通過すると温水プールのゾーンになります。湯気が上がるそのプールでは、水着を着た家族連れやお年寄りなどがのんびりと泳いでいました。



温水プールの向かいには女湯の建物が。



温水プールの脇を通り過ぎ、照明の光が弱くなる奥へ進んでゆくと、男湯の建物に辿り着きました。その入り口には「湯」「裸」の文字が掲示されているではありませんか。男女別の浴場は裸で入浴できるのですね。これは嬉しいぞ。



これが男湯内部の様子です。場内は半露天で、倉庫のように武骨なH鋼の柱と梁で組み立てられた構造の上に、鋼矢板みたいな鋼板で屋根が葺かれています。そして、壁にはなぜか裸婦絵が飾られています。私が訪れた時に雨が降っていたのですが、完全に屋根掛けされており、そのおかげで雨を全く気にせず入浴することができました。
この画像には写っていませんが、建物の中に入るとロッカー、ドライヤー、そして更衣スペース(浴槽から丸見え)があり…



更衣スペースの裏手には洗い場とトイレが配置されていました。なおシャワーからは温泉のお湯が出てきます。



男湯にある浴槽は、プールのように大きな主浴槽と、奥に設けられた小さな浴槽の2種類。
主浴槽には台湾の温泉ではおなじみの「沖撃湯」が設けられています。「沖撃湯」とはいわゆる打たせ湯で、スイッチを押すと吐出口から一定時間お湯が出てくるのですが、その勢いが強く、気を付けて浴びないとムチウチになるんじゃないかと思うほど。慣れないと、恐怖感を覚えるかもしれません。
この「沖撃湯」のほか、一角には泡風呂の装置も設けられ、おじさんのお客さんがボタンを押すと、底から勢いよく泡が上がっていました。



主浴槽は大きく、目測で6m×10mはあるでしょうか。湯加減は40℃前後。石積みから突き出るパイプ(上画像)を通じて浴槽内にお湯が供給されているほか、浴槽内の壁面からもお湯が出ていました。



浴槽の縁には排水路が設けられ、お湯が惜しげもなくオーバーフローしていました。掛け流しかそれに近い湯使いかと思われます。



大きな浴槽の奥には、三角形の浴槽が2つ向かい合わせに設けられています。いずれも6~7人サイズで、お湯は浴槽内投入されており、縁からしっかり溢れ出ていました。いずれも42~3℃前後の湯加減でしたから、熱いお風呂が好きな日本人にはこちらのお湯の方が気に入るかもしれません。

浴槽のお湯は無色透明ですが、浴槽の湯面ライン上や手すりなど、お湯と設備が接触する箇所にベージュ色の析出が現れており、お湯を口に含むと重曹味とともに土気のような風味も少々感じられました。湯中ではツルツル感が楽しめるのみならず、肌を擦るとしっかりグリップが効き、ツルスベとしっとりの両面を得ることができました。いわゆる重炭酸土類泉あるいは塩化土類のような知覚的特徴と表現したら良いでしょうか。いかにも礁渓温泉らしい特徴を有するお湯であり、特に奥の熱い浴槽でこうした特徴がよく表れていました。

あまり風情はありませんが、広いお風呂に裸でノビノビと入浴でき、しかも温泉のコンディションも良いので、私としては結構気に入りました。温泉街の公共浴場と比較するとちょっとお高めですが、広さやお客さんの少なさを考えると、こちらを選択するのも良いかと思います。

なお今回この宿で宿泊していませんので、お宿としての評価は控えさせていただきます。


碳酸氫鹽泉(日本語では重曹泉)


礁渓バスターミナルから徒歩5分程度(約700m)
台鉄礁渓駅から徒歩10分強
宜蘭縣礁溪鄉忠孝路103巷22弄1號
入浴120元
ドライヤーあり、ロッカー10元(有料)

私の好み:★★+0.5







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2 コメント

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Unknown (Lunta)
2019-05-10 18:30:36
おお、久しぶりの台湾温泉ですね。
私も来月また台湾に行くのですが、こういうのを拝見すると温泉に行きたくなっちゃいますね、今回の目的はちがうんですが。
また良いところ、ご紹介ください。
Unknown (K-I)
2019-05-12 17:52:58
Luntaさん、こんにちは。
最近は遠出する時間がとれなくなってしまい、その代わりにLuntaさんの旅行記を拝見して、旅した気分を楽しんでいます。エチオピアのダロル火山には私も行ってみたいです。また、ウラジオストクの旅行も面白そうですね。これまで近くて遠いロシア極東の地でしたが、意外とサクッと行けそうですから、私もいつか(温泉と無関係で)旅してみたいです。
台湾は何度行っても面白く、その度に発見があり、帰国してもたますぐに行きたくなってしまいました。Luntaさんもお気をつけてお出かけください。

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