温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

新湊温泉 天然温泉 海王

2013年12月03日 | 富山県
 
富山県の国道8号「富山高岡バイパス」を車で走っていたら、新湊の「道の駅」付近で「海王」という規模の大きな温泉施設(スーパー銭湯)を見つけたので、何らの事前情報も持たずに突撃してみることにしました。比較的新しい施設のようでして、訪問したのは土曜日の午前中でしたが、広い駐車場にはたくさんの車が止まっており、人気の高さが窺えます。


 
屋外には無料で利用できる足湯が設けられていました。浴室と同じお湯が用いられており、やや緑色を帯びた黄土色に強く濁る、いかにも濃厚そうなお湯であります。



足湯の傍には「日本屈指の強塩泉」と印刷されたポスターが貼られていました。どんなお湯なのでしょうか。

いつもならこの先も画像を交えながら館内やお湯の様子を紹介してゆくのですが、この日はポイント5倍デーであったためか大変混雑しており、また館内撮影も禁止されていましたので、今回は文章のみでレポートさせていただきます。ご了承下さい。

●受付および館内
玄関に入り、下足場の券売機にて料金を支払います。受付では下足箱のキー(100円リターン式)と引き換えに脱衣室のロッカーキーを受け取ります。受付から浴室入口や食堂にかけての非入浴ゾーンでは、賑やかな飾り付けやポスターとともにおもちゃや駄菓子などが所狭しと大量に陳列された物販コーナーが目を惹きます。なんでもこちらの施設では昭和の縁日をイメージした、ノスタルジーと賑わいに溢れる店舗づくりを目指しているんだそうでして、確かに「新横浜ラーメン博物館」のような「つくられたレトロ」の雰囲気によって統一されていました。

縁日気分の廊下から一歩脱衣室に入ると、いきなり実用的な空間となり、ロッカーの前でひしめき合うように、多くのお客さんが更衣していました。細長い空間にロッカーを置いており、混雑時には相当狭く感じます。さすがにまだ開業してから然程年月が経っていないので、利用客が多くても室内はそこそこ綺麗ですが、洗面台が1台しかないのはちょっと残念なところです。
この脱衣室では、まるで冷房が無かった頃の国電の通勤電車並に扇風機が何台も設置されて、ブンブン羽根を回しているのですが、この扇風機の多さは温泉の泉質を非常によく示しているのです。どういう意味なのか、その謎解きは後述にて。


●内湯
入浴ゾーンは内湯と露天があり、多数の洗い場と多様な浴槽が設けられている、典型的なスーパー銭湯です。
浴室入口には沸かし湯(真湯)の上がり湯があり、その左側には洗い場が設けられていて、シャワー付き混合水栓が壁際と中央の島に分かれて計33基取り付けられています。なおこの洗い場にはボディーソープとリンスインシャンプーが備え付けられています。
一方、入口の右手には立って使うシャワーが用意されており、更に右手に向かって日替わり風呂(この日はぬるめのジャグジーでした)・水風呂・サウナの順に各設備が並んでいます。

入口から見て左前方、洗い場の奥に据えられているのが温泉主浴槽でして、ガラス窓に面して16~7人サイズの湯船が横長に広がっているのですが、その真ん中あたりに立つ柱付近にステンレスの手すりが渡されており、これによって湯船は実質的に左右2:3の割合で二分割されています。右側の方にはお湯の投入口があり、お湯の鮮度が良いためか、あるいは湯口から落ちるお湯を打たせ湯の代わりにしたいのか、主浴槽に入ろうとするお客さんの多くはこの小さな右側に集中していました。尤も源泉投入口はこの右側のみならず、浴槽を分割する柱に這わせた配管や左端奥の槽内からも供給されていて、この3ヶ所からの源泉投入によって、大きな湯船の湯加減を均衡させていました。お湯は浴槽の縁からしっかりオーバーフローしており、館内表示の通り、加温加水の無い完全掛け流しの湯使いとなっているようです。


●露天風呂
露天風呂はまわりを塀で囲まれているので景色を楽しむことはできませんが、その囲いは竹垣を模したエクステリアの上に瓦を載せて、落ち着きのある和風な雰囲気を醸し出そうとしています。
この露天では大きな浴槽が一つ据えられており、一見すると10人以上は同時に入れそうな容量がありそうなのですが、お湯の濁り方が強くて透明度が殆ど無く、底どころかステップすら見えませんから、そんな状況を考慮して(安全面を考慮して)槽内のステップが広く確保されています。このステップが幅を取っているために湯船の表面積のわりには全身浴できる部分が少なく、せいぜい5~6人サイズといったところでしょう。
木組みの湯口からお湯が注がれており、そのお湯が落とされる箇所の湯面は泡立っていました。浴槽周りのタイル床はオーバーフローのお湯によって赤茶色に染まっています。


●お湯に関して
青森県から富山県にかけての日本海沿岸では、強烈にしょっぱい個性的な温泉が散見されますが、この温泉もその典型例であり、やや緑色を帯びた黄土色に強く濁ったお湯は、海水並みにとても塩辛く、金気(鉄分)味の他、ヨード臭・臭素臭・アンモニア臭といった刺激のある臭いも放たれています。特に塩分の濃さは全国屈指であり、塩化物イオンは海水のそれに匹敵するそうです。なお湯中では黄土色や薄茶色の細かな湯の華がたくさん浮遊していました。

実際に入浴してみますと、食塩泉らしいツルスベ浴感が肌に載り、またどの浴槽も41℃くらいに設定されているので、ついつい長湯したくなるのですが、数分浸かっているだけで心臓の鼓動が激しくなり、とてもじゃないけど長湯できません。このため湯加減の割にはどの浴槽も回転が早く、たまに長湯する方もいらっしゃいましたが、大抵はその後水風呂へ直行していました。湯上がりはガンガン火照り、汗も引かず、かなりベタつきますので、お風呂からあがる前にはしっかり真湯で上がり湯を掛けた方がよろしいかと思います。

このように濃厚な塩分がスピーディー且つパワフルに効いてくる恐ろしく凶暴なお湯ですから、浴室のあちこちには「温泉に入っている時間は3~5分 それ以上は休憩しながら…」と書かれた注意書きが貼り出されていますし、また室内にスポーツジムのプールにあるようなアルミのベンチが数台置かれているのも、お湯でグッタリしちゃうお客さんがすぐに休んでもらうための配慮なのでしょう。上述で脱衣室にたくさんの扇風機が回っているというのも、もちろんこうした理由によるものです。

館内には「加温・加水一切なし!! 正真正銘源泉たれ流し100%」と誇らしげに記されたポスターが貼り出されていまして、夏の暑い日には加水することもあるようですが、通常は非加水であり、純然たる完全掛け流しの湯使いなんだそうです。それだからこそ、濃厚なお湯の凶暴さを実感できるわけですね。スーパー銭湯だからといって侮るなかれ、体力を奪われてヘロヘロになりたいドMな御仁にはおすすめの、無慈悲なSの女王様にこてんぱんに虐められる喜びを思う存分堪能できるお湯であります。


ナトリウム-塩化物強塩泉 50.3℃ pH7.0 320L/min(動力揚湯) 溶存物質30.72g/kg 成分総計31.03g/kg
Na+:10460mg(86.56mval%), NH4+:3.4mg, Mg++:314.8mg(4.93mval%), Ca++:615.5mg(5.84mval%), Fe++:5.9mg
Cl-:18340mg(99.12mval%), Br-:78.1mg, HCO3-:127.1mg,
H2SiO3:143.8mg, HBO2:27.8mg, CO2:307.5mg,

射水市コミュニティバスの「鏡宮北」バス停下車すぐ(利用可能路線は、JR小杉駅より新湊・小杉線、JR越中大門駅より新湊・大門線、万葉線・中新湊駅より新湊庁舎・本江線および新湊・小杉線)
富山県射水市鏡宮361  地図
0766-82-7777
ホームページ

10:00~23:00 月曜定休(祝日の場合は翌日)
600円
(上記営時間の他、早朝風呂や深夜風呂の営業設定もあり。詳しくは公式HPをご参照ください)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

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