温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

平沼温泉 六ヶ所村老人福祉センター

2011年01月28日 | 青森県

現在閉鎖中の六ヶ所温泉に代わってどこか良い温泉は無いかと探していたところ、平沼集落で温泉に入れるという情報を入手し、さっそく訪れてみました。最近全面改築された公営の福祉施設で、昨年秋に訪れた時点ではまだ全体の半分近くが工事中でした。温泉施設が先行して供用されたみたいです。温泉の方もまだ完全に仕上がったわけではなく、玄関のアプローチは木造の仮設でした。

中に入ると、玄関ホールに大勢の爺さん婆さんが所狭しと椅子や床に座っており、お弁当を頬張りながら、物珍しそうな目で皆さんいっせいに私を凝視。さすがに集中砲火的に注がれる視線におののいてしまいましたが、受付のおばちゃんが「どうぞどうぞ」と受け入れてくれたので、何とか気持ちを立て直して入浴をお願いすることにしました。券売機で料金を支払い、目の前で座っているおばちゃんに手渡します。おばちゃんの隣には看護服を纏った年配のおばちゃんが座っており、その方が持つ書類を一瞥したところによれば、どうやら老人の集団検診が行われている最中のようでした。本来待機に使うべき老人福祉センターの部屋が工事中なので、温泉の休憩スペースを間借りしているのですね。


休憩室は難民キャンプ並みの混雑でしたが、打って変わって脱衣所や浴室には誰もいませんでした。これはラッキー。他人の目を気にせず、心置きなく湯浴みできるぞ。
脱衣所はとっても清潔で綺麗です。改築して間もないのだから当たり前か…。


カランは壁面や中央の三角形の島に計15基設置され、いずれもシャワー付混合栓。青森県の公衆浴場はどんなに新しくても古典的な押しバネ式のカランを設置するケースが多いので、一般的な混合栓を目にすると何だか意外で新鮮な感じがします。

 
浴槽は主浴槽の他、小浴槽・半露天・水風呂の計4つ。この他サウナもありますが、この時は使用停止中でした。
大浴槽と小浴槽は大きさが違うだけで、お湯にはそんなに相違点が無かったように思います。

 
半露天は厳冬期を考慮してかサッシ窓で囲われており、浴槽も小さめで大小の浴槽より若干ぬるめでした。老人は温度差に弱く、凍って滑ったら大変ですので、こうしてガラスで囲って半露天状態にしておくほうが、老人福祉施設としては相応しいのかもしれません。夏になれば窓を開ければいいわけですし。完全な露天でないのは残念ですが、でも田面木沼が一望できて、なかなか気持ちよいお風呂でした。訪問時はちょうど白鳥が北の方から飛来してきたところでした。


源泉はおそらく無色透明ですが、空気に触れると忽ち黄土色に濁るようです。浴槽に張られたお湯はいずれも強く濁っていました。海水系の温泉と思われ、塩分が非常に濃く、口にするとメチャクチャしょっぱい。そして微金気味+弱タマゴ味も感じられます。塩辛いゆで卵と表現したらよいかもしれません。あまりのしょっぱさに思わず水で口をすすぎたくなるほど。匂いも海水的な臭い+微金気臭+弱たまご臭です。湯口の傍にはコップが置かれていましたが、まさかこのお湯を飲むんじゃないでしょうね(濃いお湯なので水を飲むんでしょう)。こんなお湯飲んだら、たちまち塩分過多になっちゃいますよ。


源泉は35℃なので加温されていますが、湯使いはしっかり放流式です。お湯は浴槽縁からオーバーフローして洗い場の排水溝へと流れてゆくのですが、本来洗い場のタイルは水色なのに、このオーバーフロー部分に限って温泉成分の付着により赤茶色に変色しているんです。画像を見ると浴槽付近の床タイルがワインレッドっぽく見えますが、これは元々水色なんですよ。それだけ成分が濃いんですね。同じタイルなのに床の色が異なって見えるのは、その間(境界)に排水溝があるからで、溝の向こう側には温泉が流れていかないので染まることなく水色のままなのです。改築オープンしてから大して月日が経っていないのに、もうこんなに色が染まっちゃっているんですから、将来的にはどうなっちゃうんでしょうか。興味津々、とっても楽しみです。

塩分が濃いので、お湯に入ると体にピリピリしみてきます。指の逆剥けや傷口がある人は相当痛いかも。ツルスベの滑らかな浴感ですが、強烈に火照り、長湯なんてしようものなら間違いなく体力と体内水分が奪われてゆくでしょう。かなり凶暴なお湯です。湯口のコップは「こまめに水分を摂ってね」という意味なんだと思います。そのかわり冬でも湯冷めしないこと間違いなし(ということは、夏に入るとフラフラになりそうな予感…)。

六ヶ所温泉の復活が望み薄な現状で、六ヶ所村で良質な温泉入るならば、ここは外せないかと思います。凶暴な強食塩泉と是非格闘してみてください。

余談その1:脱衣所の張り紙には「緊急呼び出し非常ボタンはサウナの中にあります」と書かれていますが、「当面の間サウナは使用出来ません」とはこれ如何に…。


余談その2:三沢基地が近いので、米軍機が轟音を響かせながら頭上を頻繁に飛んでいました。上空の米軍機、過疎&高齢化、核…。この六ヶ所村には現代の日本が抱える問題が凝縮しているようです(財政だけは潤っていそうですが)。


平沼温泉4号泉
ナトリウム-塩化物強塩温泉 35.0℃ 溶存物質19.63g/kg 成分総計19.64g/kg 通年加温

青森県上北郡六ヶ所村大字平沼字二階坂92-7  地図
0175-75-3000
小川原湖広域観光協議会のページでは以前の当施設の様子が見られます(料金などは古いデータのままなので注意)

10:00~21:00 月曜定休
300円
ロッカー(小)あり、ドライヤー10円(3分)、他なし

私の好み:★★

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