温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

余目温泉 庄内町ギャラリー温泉 町湯

2020年05月03日 | 山形県

前回記事に引き続き山形県の温泉を巡ります。前回記事は山形県内陸北部の最上地方でしたが、そこから最上川を下って庄内地方へやってまいりました。このエリアには個性的な温泉がたくさんありますが、この時に訪ねたのは余目の街中にあるスタイリッシュな温泉施設「庄内町ギャラリー温泉 町湯」です。


余目の温泉施設と言えば、かつてJAが運営していた「梵天」という施設がありました。天守閣みたいな建物が印象的で、余目駅構内の跨線橋からも見ることができ、私が青春18きっぷで東北を旅していた若い頃には、旅の汗を流すため何度かお世話になったことがあります。天守閣みたいな建物自体はいまでも残っており、1階部分の店舗などはいまでもエーコープとして営業中ですが、温泉施設は2006年3月に閉鎖されていました。


施設は閉鎖されたものの、梵天の名前は源泉名としてまだ残っています。天守閣の目の前には「梵天の湯庄内温泉源泉」があり、この囲いの中で汲み上げられた温泉が今回紹介する「町湯」で使われています。こちらの源泉は、500メートルほど掘削したものながら、なんと自噴しているんだとか。



梵天の跡を継いで誕生した「町湯」は、いかにも現代風のファサードをしており、白基調・木目・採光といった要素を重視した洗練されたデザインです。施設名にギャラリーというワードが含まれていますが、建物の半分がアートギャラリーになっており、『湯気に集い、アートとくつろぐ』というコンセプトで山形県内外のアーティストの作品を展示・販売しています。

ギャラリーのみならず、温泉施設側のホールもちょっとしたアートギャラリーになっています。このホールは天井が高く開放的で、白と明るさを大切にしたファブリックが温もりを感じさせてくれます。こちらでは物販も行われているほか、奥の方には休憩用のお座敷も設けられ、私が訪問した時にも湯上がりの家族連れがのんびり寛いでいらっしゃいました。


大きな暖簾をくぐった先にある脱衣室も白色基調で明るく、大きなガラス窓からは後述する露天風呂の中庭も眺められ、使い勝手もまずまずです。なお室内に設けられているロッカーは100円リターン式で、扉の裏側にコインを投入して施錠します。私の訪問時は多くのお客さんでにぎわっていましたが、そんな中をスタッフの方がこまめに来て、お客さんに笑顔で声をかけながら、清掃や整頓などきめ細かにお手入れしていました。感心ですね。

いつもでしたら浴室の様子も画像を交えてお伝えしていますが、私の訪問時は夕方の混雑時だったため、撮影は遠慮させていただきました。以下、文章のみでのご紹介とさせていただきますので悪しからずご了承ください。浴室の様子をご覧になりたい場合は、公式サイトでご確認ください。

タイル張りの浴室もやはり天井が高く、しかもその天井面は羽目板張りの片傾斜になっています。また側壁の一部には格子状の木材が取り付けられて化粧されており、こうした木材の多用によって無機質になりがちな現代的空間に、木のぬくもりと伝統的な湯屋の美的要素をもたらしています。近年、各地ではこのようなデザイナーズ銭湯と称すべき洒落た良い雰囲気のお風呂が増えてきましたね。大変喜ばしいことです。特にこの「町湯」は、香川県高松の仏生山温泉に似た雰囲気ではないかと個人的には感じています。
そんな広々としたスタイリッシュな空間の真ん中に、タイル張りの大きな浴槽がお湯をたっぷり湛えています。その大きさは(目測で)5.5m×4mという大きなもの。加温されたお湯が湯口から滔々と注がれており、縁からしっかりとオーバーフローしています。しっかりとしたかけ流しです。
浴場の洗い場にはシャワー付き混合水栓が計12基設置されているほか、奥へ入ったところにサウナと水風呂が設けられ、その傍らに立って使うシャワーが1個取り付けられています。

四方をコンクリ打ちっぱなしの壁に囲まれた中庭には、木が1本植わっており、その傍らにタイル貼りの露天風呂が一つ据えられています。この露天風呂は、奥行が異様に狭いのですが、幅は4メートルほどあり、利用客は横に並んで入るような造りになっています。こちらの浴槽も掛け流しの湯使いを採用しており、浴槽長辺に取り付けられている木の縁の下にあけられた細長い穴からお湯がオーバーフローしていました。

さて、こちらのお湯はほぼ無味無臭ですが、薄いプーアル茶のような褐色を呈しており、湯中では滑らかなツルスベ浴感を楽しめます。とはいえ、ツルスベの名湯と呼ばれるような他の温泉と比べると、それほど印象的ではありませんが、とはいえそこそこのツルスベ感は得られるかと思います。分析表によれば温泉に含まれる炭酸イオンが若干多いので、それが:~滑らかな浴感をもたらしているのかと思われます。その一方で、館内に掲示されていた張り紙ではこの温泉に含まれているメタケイ酸の存在をアピールしていましたが、正直なところそれほど多いわけではありません。でも内湯、露天の両浴槽でお湯をかけ流しているのは立派。湯使いが良く、明るく広々して使いやすいためか、私が訪ねた夕方には、多くのお客さんで大変賑わっており、余目の市民から愛されていることを実感しました。


梵天の湯庄内温泉源泉
単純温泉 30.0℃ pH8.6 100L/min(掘削自噴) 溶存物質254.7mg/kg 成分総計254.7mg/kg
Na+:52.1mg(94.58mval%),
Cl-:37.2mg(34.09mval%), HCO3-:97.3mg(51.62mval%),
H2SiO3:49.1mg,
(平成26年9月26日)
加温あり、加水・循環・消毒なし(混雑状況により湯量を補うため水道水を併用することあり)

山形県東田川郡庄内町余目字土堤下35--2
0234-43-2222
ホームページ

9:00~22:00 第2水曜定休
480円(余目駅前の地元産品物産店などで50円引きのクーポンを入手可能)
ロッカー(100円リターン式)、シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 羽根沢温泉 加登屋旅館 | トップ | 湯の瀬温泉 湯の瀬旅館 そ... »

コメントを投稿