温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

春陽温泉 楽密谷

2019年06月18日 | 台湾
今回記事より再び台湾の温泉を取り上げます。


(上画像は2013年に撮影したものです)
南投県の春陽温泉は、日本統治時代には桜温泉と呼ばれた山奥の温泉地であり、台湾最長の河川である濁水渓の左岸の緑豊かな山中に、キャンプ場やバーベキュー場を兼ねた宿泊施設が点在し、各施設それぞれが温泉浴場を備えています。上の画像は各施設が集まる左岸を対岸の右岸の崖上から撮ったものです。拙ブログでもいままで何度か春陽温泉を取り上げております。



(上画像は2013年に撮影したものです)
廬山温泉へ向かう幹線道路「台14線」の途中で右折し、車一台しか通れないような細くて急な坂道を一気に降下してゆくと、上画像に写っている赤い橋が目の前に現れます。濁水渓を跨ぐこの橋で左岸に渡り、春陽の各温泉施設へと向かいます。



今回伺ったのは、現地にお住いの方が推薦してくださった「楽密谷」という施設です。春陽温泉の最奥、細い路地のどん詰まりにあり、教えてもらわなければ決して行くことが無かったかと思われる、まさに知る人ぞ知る施設です。エリアとしては春陽温泉に属しますが、後で地図を確認したところ、実質的には春陽温泉と廬山温泉のほぼ中間地点に位置しているようでした。



施設の周りは山林を切り開いた畑が広がっており・・・



その畑ではコーヒーの花が咲いていました。雲林県古坑の台湾産コーヒーが注目されたためなのか、あるいは需要が減る一方のビンロウに代わる作物として注目されているのか、近年の台湾ではコーヒー栽培が各地で徐々に行われるようになり、雲林県のお隣であるご当地南投県でもあちらこちらでコーヒーが栽培されています。といっても、ここのコーヒーの木は本数が少ないので、豆を生産しているわけではないかと思います。



さて、民間の施設にお邪魔するわけですから然るべき料金を支払わなければなりませんが、受付小屋と思しき建物はおろか、周囲を見回しても誰もいません。今回はここを紹介して下さった方にも同行していただいたので、ゲートに書かれている電話番号へ連絡してもらったところ「管理者が変わってどうのこうの」という話が続いていろんな人の連絡先を紹介され、ようやくたどり着いた現在のオーナーさんは「いま埔里にいるから、これから向かうよ」とのこと。なんて呑気なのでしょう。埔里の街からここまでは車で1時間はかかりますから、オーナーさんが到着した時にお金を支払うことにして、我々は先に水着に着替えて温泉へ入らせていただくことにしました。
ちなみに我々が訪問したのは平日の日中です。当地のようなキャンプ場にお客さんが来るのは基本的に週末ですから、おそらく週末ならオーナーさんもいらっしゃるのでしょうけど、平日にいきなりアポ無しで行ったとしても、今回のように誰もいない場合が多々あるかと思いますので、平日の利用はちょっと難しいかもしれません。



シャワー小屋(もしくはトイレ)で水着に着替え、いざ温泉へ。
こちらには大きな屋根の下に4つの露天風呂が設けられているのですが、訪問時にお湯が張られていたのは1つだけでした。といっても、ひとつひとつが大きいので、この日みたいに客が我々2人だけなら、むしろその広さを持て余してしまいます。



お湯が張られている浴槽は2分割されていました。上写真は湯口が無い山側。後述する川側よりもぬるいので、熱いお風呂が好きな日本人としてはいまいち物足りない感じ。



一方、川側には新鮮源泉が常時注がれ、お湯の鮮度は抜群。そして・・・



湯加減は41.5℃という素晴らしいコンディション。そして湯使いは贅沢にも、加水加温循環消毒の一切ない完全掛け流しです。最高に気持ち良いお風呂でしたから、つい時間を忘れて湯浴みしてしまい、オーナーさんが来るまでの1時間はあっという間に過ぎてしまいました。



お客さんがいなくても源泉から絶えず注がれ続けるこのお湯。見た目はほぼ無色透明で、ほんのり土類系の味が感じられます。湯中ではスルスベと引っかかりの両浴感が混在して得られました。上述にてこの場所は春陽と廬山の中間に位置すると申し上げましたが、そんな立地ゆえなのか、他の春陽温泉とは一線を画し、廬山温泉に近いような知覚的特徴を有しているように思われました。



このお風呂で特筆すべきは大量の湯の花。平日はお客さんが少ないため、てっきり風呂掃除を怠っているのかと思いきや、オーナーさんのお話によれば前日にお湯を抜いて掃除をしたばかりとのことですから、そもそも湯の花が多い温泉なんですね。
小鳥のさえずりを聞き、濁水渓の流れを眺めながら、掛け流しの適温露天風呂に浸かる幸せ。ブリリアントとしか表現のしようがありません。

ところでオーナーの変更に伴い、施設名が「樂密谷」から「密觀」に変更されたようなのですが、ネットで調べてもそのあたりの事情は検証できなかったため、ひとまず本記事では「楽密谷」で統一させていただきました。




南投県仁愛郷虎門巷80号

200元
水着着用のこと

私の好み:★★★
コメント
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