温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

蔵王温泉 すのこの湯 かわらや 2017年2月再訪

2017年09月04日 | 山形県
 
東北を拠点にしている温泉ファンの皆さんから絶大な支持を集めている蔵王温泉の「かわらや」へ、2017年2月に再訪しました。拙ブログでは「かわらや」が再建された後の2012年に一度取り上げております(以前に取り上げた際の記事(2012年2月24日付)はこちら)。


 
今回は一番風呂を楽しむべく朝9時のオープンを待って訪問しました。前回訪問時と同じく、受付カウンター上に置かれた券売機の横にはえんまくんが侍っていたのですが、このえんまくん、立ち位置が若干変わったような気がします。まだ誰もいない開店直後のホールを抜けて浴室へ。


 
全国の温泉を巡っていると、ステップを下って浴室へ向かうお風呂には名湯が多い、という法則があることに気づくのですが、「かわらや」の場合はステップどころか長い階段の廊下を下っていきますから、その段を一歩一歩踏みしめるごとに、名湯に入れるんだという期待がこみ上げ、下りきった時にはワクワク感が膨らみすぎて胸が張り裂けそうでした。


 
シンプルながらも綺麗な脱衣室を抜けて浴室へ。
湯気と湯の香が立ち込める浴室内の様子は以前と変わっておらず、記憶通りのままの姿を目にしてホッと安堵します。思わず逆サイドからも記録してしまいました。余計なものを排除した外連味のない伝統的様式で建てられた木造浴舎が醸し出す、優しくて温もりのある佇まいには、心の底から惚れ惚れします。排水性の向上と滑り止めを図るべく、床板には細かなスリットが刻まれているのですが、このスリットによってつくられる模様が、後述するスノコ状の湯船の格子と一体化し、更にはそこに白や黄色の温泉成分が付着することによって、独特な幾何学模様が描かれていました。



再建後の「かわらや」の浴室奥には洗い場が設けられ、真湯の出るシャワー付きカランが2基取り付けられていました(これは以前の記事と同様です)。なお備え付けのアメニティーはDHCのもの。こちらのように洗い場を敢えて別室にしている構造は、私として大いに評価したいところです。と言いますのも、スペースが限られた浴室に洗い場を設けた場合、シャンプー類の泡が湯船に飛んで紛れ込んだり、またボディーソープやシャンプーの強い香料が室内に残って温泉の湯の香を台無しにしてしまったりと、せっかくの湯浴みが楽しめなくなることがありますが、洗い場と湯船ゾーンを隔離することでそのような問題点が解決されるからです。ただし、洗い場が奥にあるため、かけ湯をしないで湯船に飛び込む輩が発生することも否定できないのが辛いところ。脱衣室からまず洗い場を通り、それから湯船ゾーンに至るという動線が出来上がれば完璧なのですが、そう上手い具合にはいかないものですね。


 
 
「かわらや」そしてお隣の「川原湯共同浴場」といえば、源泉の真上に設けたスノコ状の浴槽が象徴的な存在ですね。総木造のこの浴槽は、寸法としては2m強×1m強の長方形でおおよそ5人サイズ。湧出位置の関係なのか、私が入ってみますと脱衣室側がちょっと熱かったのですが、総じて適温が保たれており、肩まで浸かって目を瞑ると、そのまま微睡んでしまいそうになりました。また一番風呂でしたからお湯は新鮮そのもの。濁りは全くなく、私が湯船に入ってお湯が動いても、黄色い細かな沈殿が軽く浮遊して微かにボンヤリ霞む程度で、濁りやすい硫黄泉とは思えないほど常に高い透明度が保たれていました。さすが湧きたての温泉はフレッシュ感が他のお風呂とは比べものにならないほど極上です。お湯の味覚に関してはフルーティーさを伴う収斂酸味で、歯がギシギシし、鼻腔をツンと刺激する酸っぱい匂いが湯面から放たれています。pH1.9という強い酸性のお湯ですから、入浴中はヌルヌルを伴うツルスベ浴感に覆われますが、酸性の刺激ゆえに肌の弱い方は若干チクチクするかもしれません。また湯上がりには若干のベタつきが残るかもしれません。でも酸性の温泉や硫黄泉が好きな方にとっては堪らない気持ち良さが存分に楽しめます。極上の入り心地をもたらしてくれる湯船、そして湧いたばかりのブリリアントな川原屋源泉の湯に、全身全霊が癒されました。このお風呂は何度入っても飽きることがありません。


川原屋源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 51.1℃ pH1.9 蒸発残留物3145mg/kg 溶存物質2627mg/kg
H+:13.3mg, Na+:49.9mg, Mg++:65.1mg, Ca++:87.2mg, Al+++:108.4mg, Fe++:14.4mg,
F-:15.1mg, Cl-:386.8mg, Br-:0.8mg, I-:1.4mg, HSO4-:496.4mg, SO4--:1117.9mg,  
H2SiO3:224.3mg, H2SO4:16.5mg, CO2:312.7mg, H2S:6.5mg,
(平成26年12月6日)

山形駅より山交バスの蔵王温泉行で終点下車、徒歩5分程度
山形県山形市蔵王温泉43  地図
023-694-9007
ホームページ

5月~9月→8:00~20:30、10月~4月→9:00~20:00
450円
シャンプー類あり、ドライヤー貸出、貴重品帳場預かり

私の好み:★★★
コメント
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