
(2022年10月訪問)
福島県の安達太良山周辺は、言わずもがな温泉の宝庫です。
その北麓に位置する横向温泉「滝川屋旅館」は、以前は宿泊しないとお風呂に入浴できなかったのですが、最近になって事前予約制で日帰り入浴を受け付けてくださるようになったので、秋の色合いが深まってきた2022年10月某日に日帰り入浴で利用させていただくことにしました。

風情ある木造の旅館。宿泊客は1日一組しか取らないとのこと。そんなお宿のお風呂に入れるのですからありがたいですね。玄関の引き戸を開けて声を掛けますと、ご主人がご丁寧に案内してくださいました。

ご主人に導かれながら館内の廊下を奥へ奥へ、階段を下へ下へと進んでゆくと、その突き当たりが浴場棟になっていました。温泉巡りの経験則から申し上げますと、下って向かう施設のお風呂は良い傾向にあります。この浴場棟は綺麗に作り直されており、木材がまだ美しい状態を保っていました。お風呂は混浴と女湯の2室があるのですが、今回は貸切ということもあって混浴のお風呂を使わせていただきました。更衣室には薄皮まんじゅうでお馴染みの「柏屋」の鏡が取り付けられており、いかにも福島県だなと実感しました。

総木造の浴舎も実に風情たっぷり。湯の香と湯気が漂う静かで神秘的な空間です。その極上な雰囲気にうっとりとしてしまい、思わず「うわぁ」と感嘆の声が漏れてしまいました。浴室内には後述するように浴槽が3つある他に余計なものは無く、シャワーや洗い場などもありません。湯船から直接桶でお湯を汲んで掛け湯をすることになります。

浴槽まわりの床は幾何学模様の板張り。老舗旅館でしばしば見られる意匠ですね。

浴槽は3分割されており、一番大きな手前側の槽は約1.8m四方で、31℃くらいの非加温源泉が底から湧出しています。

一方、祠や鳥居の前の小さな浴槽には加温されたお湯が張られているのですが、それでも湯温は(私の入浴時で)36.5℃でした。なお画像に写っている鳥居下の湯口から加温された温泉が出ています。

壁際にはこんな小さな槽もあり、「この湯は眼に良いですよ!」と説明されていたので、試しに私もこのお湯で洗眼してみました。正直なところ洗眼前後で違いはよく分からなかったのですが、目の疾患に何らかの効能があるのかもしれません。
さてお湯に関してですが、浴槽のお湯はやや黄土色を帯びながら貝汁濁りを呈しており、湯船の中には山吹色の湯の花が無数に浮遊しています。お湯を口に含むと弱い金気と土気、微収斂、そしてほんのり焦げたような匂いと土気の匂いが感じられます。湯船ではキシキシとした引っかかる浴感の他、肌の皴に沁み入って来るようなシットリ感もあり、優しくしっかりと全身を包んでくれます。
こちらの温泉はぬる湯の名湯。非加温で31℃、加温しても40℃に至らないお湯なのですが、にもかかわらず湯上がりは不思議と体が芯から温まるのですから実に不思議。さすが名湯は素晴らしいパワーと優しさを兼ね備えているのですね。
なかなか宿泊する機会には恵まれそうにないのですが、それゆえ日帰り入浴ができることは非常にありがたく、お蔭様でぬる湯の名湯をじっくり堪能させていただきました。
下の湯
単純温泉 31.9℃ pH6.5 62.4ml/min(自然湧出) 溶存物質0.5824g/kg 成分総計0.8203g/kg
Na+:69.7mg(6171mval%), Mg++:7.4mg(12.42mval%), Ca++:15.0mg(15.27mval%),
HCO3-:284.1mg(93.95mval%),
H2SO3:174.1mg, CO2:237.9mg,
(平成29年3月17日)
一部の浴槽で加温あり、加水循環消毒なし
福島県耶麻郡猪苗代町若宮下湯甲2970
0242-64-3211
日帰り入浴は事前予約制。受付状況や時間などは施設へお問い合わせください。
1600円/1人 複数人数の場合はもう少し安くなる?
ロッカー・ドライヤー無し
石鹸類あり
私の好み:★★★
ほほぅ、、、これは神秘的なぬる湯ではありませんか!
個人的に、温泉は1時間からが大事だと思っております^^。
そこまで浸かり、そこからどれだけ浸かれるか、、、
大地の恵みを受け、体に湯のパワーが漲る、それが温泉。
なので、温泉でなくともゴルフ場の熱いお湯には頭に来ますね(笑)
「俺に入るな、って言いたいのか💢?」
と、一人でくだを巻いてます。
福島県には、中々行く機会も少ないですが、
現役を退いた後、まずは蔵王を目指したいと思っております^^。
仰る通り、このお湯はまさに神秘的なぬる湯です。
ぬる湯に長く浸かることこそ、本当のリラックスが得られるものですよね。厳冬期でもぬる湯に長く浸かれば体の芯から温まって、下手に熱いお湯に入るよりかも余ほど温浴効果が高いような気がします。