温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鉄輪温泉 陽光荘 その1 客室と地獄蒸し

2016年06月30日 | 大分県
今年(2016年)4月の熊本地震は、大分県の一部地域でも被害をもたらしましたが、同じ大分県でも日本屈指の温泉観光地である別府市は、地震の被害が軽微だったにもかかわらず観光客の減少が著しく、観光業が基幹産業である当地にとっては深刻な事態になっています。そこで別府応援企画と致しまして、今回記事から連続して先月訪れた別府の温泉を取り上げてまいります。



地震発生以降、度々九州を訪れている私は旅費が嵩んで赤貧状態に陥ってしまったため、旅費を一銭でも安くあげるべく、鉄輪のいでゆ坂に沿って建つ有名な貸間の宿「陽光荘」でお世話になることにしました。拙ブログでは以前、同じく鉄輪の貸間宿である「双葉荘」を紹介したことがありますが、こちらのお宿は路地を挟んだお隣に位置しています。
鉄輪には貸し間と称する湯治向け素泊まり宿がたくさんありますが、その中でも「陽光荘」と「双葉荘」は特に有名であり、安く泊まれる上、後述する地獄蒸しで自炊できるため、いつもでしたら季節を問わず多くの宿泊客で賑わっているはずです。しかしながら、地震の影響は鉄輪の温泉街にも及んでおり、いでゆ通りを行き交う観光客の姿はまばら。私は2泊したのですが、お宿では多くの客室を持て余しており、女将さんも「温泉はいつもと変わらずたくさん湧いているんですけど、使う人がいらっしゃらなくて」と嘆息していました。


●客室
 
いでゆ坂に面している間口こそ大したことありませんが、中へ入ると奥行きが長くて懐が広く、たくさんの客室を擁していることにびっくりします。2階立ての木造建築は、後述する地獄蒸しの釜を囲むように口の字型になっており、その形状に沿う形で客室が並んでいます。今回私が案内された客室は、路地に面した2階の6畳間。玄関から廊下を歩いて客室まで、そして客室から地獄蒸しの釜へ行くまで、女将さんは立て板に水で淀みなくまるで口上のように、お風呂や地獄蒸しの使い方を説明してくださいます。
客室には布団が一式用意されているほかは、特にこれといった備品はありませんので、たとえば寝巻き・入浴に必要なタオル・洗面道具などアメニティーなどは全て持参することになります。また室内に備え付けられているテレビやエアコンはコインタイマー式ですので、もし利用する場合は事前に100円玉を数枚用意しておくと良いでしょう(私はスマホのワンセグでテレビを視ました)。



アメニティー類の備え付けがない代わり、客室の棚にはお鍋と羽釜、そしてお皿が用意されています。さすが自炊する湯治客向けの宿ですね。


●地獄蒸し
 

宿の中心部には地獄の上に釜をかぶせたような地獄蒸しのキッチンがあり、これを目当てに宿泊するお客さんも多いほど。昭和12年までこの場所には鉄輪地獄と呼ばれる地獄があって観光客に開放されていたんだそうですが、その後、地獄の上に宿が建てられて現在の「陽光荘」になっているんだとか。
地獄蒸しの蒸し場は2階層になっており、私は自分の部屋から近い2階の蒸し場を利用させていただきました。この地獄蒸しキッチンに立ち入ると、シューシューという蒸気の音、もうもうと立ち込める湯気とともに、硫化水素臭がプンと香り、猛々しい大地の息吹を実感します。鉄輪で地獄蒸しを有するお宿はこの「陽光荘」とお隣の「双葉荘」、そして「大黒屋」など数軒ありますが、蒸し器の数はこちらの宿が鉄輪最大かもしれません。数が多ければ同時並行していろんな食材を調理でき、しかもほかのお客さんと競合することもありませんから、とっても便利です。なお、客室への案内後、女将さんはこの地獄蒸しの前で実際の利用方法や調理のコツを細かく教えてくれます。キッチンには食材別の蒸し時間の目安が掲示されており、外国人客も利用するので、英語も一緒に表記されていました。


 
キッチンには大きな流し台のほか、コンロやフライパンもあるので、蒸さずに炒めることも可能。


 
鉄輪の九州横断通り沿いには大きなスーパーがありますから、そこで食材を調達して自炊。
1日目は地元産のサザエや鶏肉、そして根菜類を蒸し、2日目は豊後牛や地元産の鯵を蒸していただきました。どれもみんな美味い!
なおお米は自宅から持参した山形産「つや姫」です。地獄釜でご飯を炊くと、米粒がぴんと立ち香りも強くて美味いのなんの!

さて次回は「陽光荘」の館内にある2つのお風呂を取り上げます。

次回記事
につづく
コメント (6)
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