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量子コンピューティングの未来はどうなる?--商用化目指すさまざまな取り組み

2020年02月13日 | イノベーション

量子技術の開発を加速することを目指した、英国の10年間の国家プロジェクトは、2019年に折り返しを迎えた。これまで、このプロジェクトには、政府や業界から10億ポンド(約1500億円)以上の資金が投じられている。その現状と言えば、量子コンピューティングには多くの可能性があるが、実際にどう使うかというのはまだはっきりしていない。

 米エネルギー省のClaire Cramer氏は、ロンドンで開催された会議で、「量子コンピューティングには多くことが期待されているが、まだ革新的なソリューションは存在しない。現実には、このテクノロジーがどのような影響を及ぼすのか、われわれにはまだ分からない」と述べた。
 もちろん、この5年間が失敗だったわけではない。むしろまったくの逆だ。今では、ハードウェアが開発されたことで、世界中の研究者が実際に量子コンピューティング技術を試すことができるようになった。つまり、量子コンピューターは単なる想像上の存在ではなくなったのだ。デバイスが存在していること自体が重要な成果だと言える。

 実際、1月に開催された「Consumer Electronics Show(CES)」では、IBMが20量子ビットの量子コンピューター「IBM Q System One」について、研究者の間でますます気運が高まっていることをアピールした。

 Q System Oneは、研究チームが未来の問題を解決するために量子コンピューターをどう活用できるかを検討するためのプロトタイプとなっている。
 UKRIは、量子技術を利用して「未来の製品」を開発するスタートアップなどへの「先駆的投資」に、2000万ポンド(約28億円)を投じている。4件のプロジェクトがこの資金の恩恵を受けており、地下の物体を検知する量子センサーや、データの安全性を保つための暗号化ツールなどの、さまざまな技術のプロトタイプを開発している。

 UKRIは現在、業界からの2億500万ポンド(約300億円)の投資と合わせて、新規プロジェクトにさらに1億5300万ポンド(約200億円)を投資しようとしている。UKRIの量子技術担当ディレクターであるRoger McKinlay氏は、組織の将来計画を発表する際、「次に何が来るのかは分からないが、現時点でもっとも興味深い新興技術だと考えられるものを引き続き支援できるようにしていきたい」と語っている。

 量子技術に関する不確定性がすぐに解決されるとは考えにくいが、この領域には今後も注目していく必要があるだろう。


さらに概要を知りたい方は次の記事を見てください。
ZDnetのニュース
光技術や光産業の情報交流フォーラム
エイトラムダフォーラムhttp://www.e-lambdanet.com/8wdm/

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