光産業技術動向ブログ OITT

OITTとは、Optoelectronic Industry and Technology Trendの略称です。

光通信用機器メーカ古河電工が、富士通子会社を買収へ

2025年02月12日 | 企業情報

古河電気工業は、富士通子会社で光通信用機器を手がける富士通オプティカルコンポーネンツ(川崎市)を2025年4月1日付で買収すると発表している。同社の全株式を富士通から取得する。取得額は非開示。次世代の移動通信システムに対応した機器などを充実させる。
 


富士通オプティカルコンポーネンツは光通信ネットワークを構築するために欠かせない「光変調器」や「光受信器」などを製造・販売している。特に「リチウムナイオベート」という物質を使った高速光変調器に強みを持つ。

古河電工は、高速通信規格の「5G」や次世代通信の「ビヨンド5G」に関連する事業に注力している。富士通オプティカルコンポーネンツの技術を取り込むことで、取引先への提案力や開発力を高める。


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日本経済新聞ニュース 

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世界初、鈴鹿サーキットで4K非圧縮マルチチャネル映像の光無線伝送に成功 ~光ファイバの敷設が困難な場所で100Gbpsの大容量通信を実現~

2025年01月08日 | 新サービス

国立大学法人三重大学(代表提案者、本部:三重県津市、学長:伊藤 正明、以下 三重大学)、株式会社日立国際電気(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:佐久間 嘉一郎)、デクセリアルズ フォトニクス ソリューションズ株式会社(本社:栃木県下野市、代表取締役社長:林部 和弥)、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元)、東洋電機株式会社(本社:愛知県春日井市、代表取締役社長執行役員:松尾 昇光、以下 東洋電機)は、2024年10月27日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで撮影した4チャネルの非圧縮4K映像を、オールオプティカル型光無線伝送システムと光ファイバ伝送システムを経由して55km離れたケーブルテレビ事業者の社屋までライブ伝送するフィールド実証(以下 本実証)に成功しました。既設光ファイバを含む実フィールドで光無線技術を使った4K非圧縮マルチチャネル映像の伝送(100Gbpsの通信)は世界初です。
本実証では、放送・通信事業者による商用化を想定したネットワーク構成で映像を伝送しました。今回の成果により、サーキットなどの光ファイバの敷設が困難な場所から、迫力のあるモータースポーツなどの多視点・高精細映像を視聴者へ届けることが可能になります。
 


これまで5者は、「臨時に大容量回線を必要とし、かつ光ファイバの敷設が難しいイベントなど」での利用を目的として、光無線技術を含む電波・光融合無線技術の研究開発を進めてきました。今回、東洋電機が開発したオールオプティカル方式光無線トランシーバ(以下 本光無線トランシーバ)を使って本実証を行いました。
光無線伝送システムは、光ファイバが敷設されていない区間で一時的に臨時回線を設営する際に利用されています。従来は、光信号と電気信号の相互変換を行う方式を採用した光無線トランシーバが使用されてきました。この接続方式の伝送容量は0.1~10Gbps程度であり、6G時代に求められる性能を満たすことができませんでした。このたび、東洋電機が開発した本光無線トランシーバは、高速・高精度に光信号を自動追尾する機能を搭載し、光ファイバのコアから出射された光を電気信号に変換することなく光信号のまま対向側の光ファイバのコアに入射させるオールオプティカル型の接続方式を採用しました。この接続方式では、伝送信号のフォーマットやビットレートに依存せずに通信が可能で、既設のシングルモード光ファイバ間をシームレスに接続することが可能です。この特長により、従来型の光無線トランシーバと比較して、大容量通信を可能にしました。また、光信号と電気信号の相互変換を行わないため、消費電力や遅延を削減できます。


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KDDIニュース 

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世界初、陸上フィールド環境における最大455テラビット毎秒の空間多重長距離光伝送実験に成功 ~結合型マルチコアファイバケーブル伝送による1,000kmまでの長距離化も実証~

2024年12月20日 | 新サービス

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田明、以下「NTT」)は、外乱によって光ファイバケーブル内の信号伝搬環境が変動するフィールド環境下において、安定した最大455テラビット毎秒の信号伝送の実証に世界で初めて成功しました。
 


実証実験では、量産化に適した既存光ファイバと同等の細さを有する12コアファイバを商用の高密度多心ケーブルに実装・接続した陸上フィールド環境において、大規模MIMO(※1)信号処理技術を適用することで、53.5kmの伝送距離で455テラビット毎秒の大容量伝送を実証しました。さらに日本の基幹光ネットワークの大動脈である東名阪区間をカバー可能な1,017kmの伝送距離において大容量389テラビット毎秒の中継増幅伝送に成功しました(図1)。本成果は、従来の50倍以上の伝送容量を持つ将来の陸上光伝送システムを実現する基盤技術として期待されます。
 今回の成果は、2024年9月にフランクフルトで開催された光通信技術に関する世界最大の国際会議(50th European Conference on Optical Communications(ECOC))の最難関発表セッションであるポストデッドライン論文[1]として採択・発表されました。なお本成果は、住友電気工業株式会社(以下「住友電工」)と学校法人 千葉工業大学(以下「千葉工大」)と共に実施した国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))からの委託研究で得られた成果を一部含んでいます。


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NTTグループニュース 

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エンドツーエンド光接続時の波長を有効活用する長距離光伝送技術を確立 ~光と電気アナログ信号による波長変換技術を活用した光ノードシステムを開発~

2024年11月18日 | 新サービス

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)と日本電気株式会社(本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田 隆之、以下「NEC」)は、IOWN オールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下「APN」)の適用エリア拡大に向けて必要となる波長アダプタ機能を有した光ノードシステムを開発し、本光ノードシステムが複数回の波長変換を行いながら長距離伝送可能であることを実証しました。将来的には、この波長アダプタ機能を有した光伝送システムをAPN装置として実現することが期待されます。
 本研究成果の一部は、2024年11月25日~29日に開催されるNTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL(※1)に展示予定です。
 


IOWN構想では、光技術を最大限に活用したAPNにおいて、大容量・低遅延なエンドツーエンド光パス(※2)を、消費電力を抑えつつユーザーに提供します。これにより、工場DXやインタラクティブなライブ映像配信サービス、遠隔手術を可能にすることが期待されています。より広範囲にエンドツーエンド光パスを提供するためには、割り当てられた波長が異なる光パスをつないでいくことが求められます。これは、APN内の光パスが経由する光ノードシステムにおいて、光パスの波長を低遅延かつノージッタに所望の波長に変換することで実現可能です。
 NTTでは、APNを構成する光ノードシステム「Photonic Exchange」を研究開発してきました。長距離のエンドツーエンド光パスを効率的に提供するためには、Photonic Exchangeが光パスの波長を所望の波長に変換して適応させる波長アダプタ機能と、伝送性能の確保を両立する必要があります。NECは、各光パスの波長を任意の他の波長に変換できる光-電気アナログ-光(Optical-Analog-Optical、以下「OAO」)型波長変換技術の研究開発を進めてきました。今回、NTTが研究開発を進めているPhotonic ExchangeにNECが研究開発を進めているOAO型波長変換技術を活用して、波長アダプタ機能の実験実証を行いました。
Photonic Exchangeの波長アダプタ機能を適用した場合のエンドツーエンド光パスの伝送性能を評価するために、NTTとNECは共同で伝送実験評価を行いました。OAO型波長変換器のプロトタイプを使用して、1周回あたり2個のOAO型波長変換器を含む周回伝送実験系を構築しました。この実験系を使用して、複数回の波長変換を伴う100Gbps/λの光信号品質を測定しました。その結果、4回の波長変換を施しても3,000km以上の伝送性能の確保ができたことを確認しました。さらに、本実験で使用したOAO型波長変換器では、従来の波長変換手法と比較して、波長変換により生じる消費電力を約90%削減、遅延量を約99%削減することができました。
 本実験で確認できた伝送距離は、日本で提供することを想定した場合、本州を縦断できる距離に相当します。これにより、工場DX、インタラクティブなライブ映像配信サービス、遠隔手術等のIOWNサービス提供エリアの拡大に寄与します。また、本実験で複数回の波長変換を確認できたことから、異なる事業者が管理するネットワークを跨ったエンドツーエンド光パスの実現にも貢献します。


用語解説
※1
「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」公式サイト https://www.rd.ntt/forum/2024/
※2
光パス
光信号の送信機から受信機までをつなぐ光信号の通り道を光パスと呼びます。各光パスは、通過する光ファイバや光ノードシステムによって構成される経路と、光信号の容量や割り当てられる波長が指定されています。


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HDMI信号を世界最低遅延である0.1ミリ秒以下で長距離伝送信号へ変換する技術を開発 ~離れていても同一の場所にいるようなリアルタイムコミュニケーション空間の実現へ~

2024年10月15日 | 新サービス

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、4K120Hz・FHD240HzのHDMI信号を世界最低遅延である0.1ミリ秒以下で長距離伝送信号へ変換する技術を開発しました。本技術とIOWN オールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下「APN」※1)を組み合わせることにより、"低遅延"と"高精細"の両方を実現した映像伝送が可能であり、瞬間の動きと音(1秒間に120フレーム表示される4K映像まで)をリアルタイムに離れた拠点間にも伝送できます。
 本技術は、FPGA※2上で利用可能な回路情報(FPGA-IP)で実現しているため、ポート数やサイズなどの利用ケースに応じた多様なハードウェアとの組み合わせが可能となります。本FPGA-IPはライセンス販売(技術開示)という形態で提供されており、最終製品やソリューションで利用可能です。
 


VRやAR技術の発展による、離れた場所にいながら多数の人が同じ空間を同じ時間に楽しんだり、共同作業を行ったりといったリアルタイムコミュニケーションにおいて、リアルな体験を得られる没入感の高いアプリケーションの拡大が期待されています。没入感を得るためには、映像を複数地点で同時に感じること(リアルタイム性)と実物を見ているように感じること(高精細映像)の両方が求められます。その為、オフィスや家庭などで幅広く使われている映像機器(カメラ、モニターなど)から出力されるHDMI信号を遠く離れた場所へ伝送する時にも、"低遅延"、"高画質・高音質なまま"であることが求められます。しかし、IP網利用を前提とした従来技術ではネットワーク遅延及びネットワークの帯域不足に伴う信号圧縮による遅延や、信号圧縮による画質・音質低下が発生してしまうため、没入感の高いアプリケーションで求められる「リアルタイム性」と「高精細」は達成できませんでした。
NTTでは、4K120Hz・FHD240HzのHDMI信号を非圧縮のまま世界最低遅延の0.1ミリ秒以下で長距離伝送信号へ変換する技術を開発しました。本技術とIOWN APNを組み合わせることにより、高精細かつ非常に動きの速い映像を劣化させることなく遠隔地で再現可能となり、地理的に離れた環境であっても、あたかも同一の場所にいるかのようなリアルタイムコミュニケーション空間の実現が期待できます。
本技術とIOWN APNとの組み合わせにより、没入感の高いアプリケーション(VR・ARなど)に加えて、拠点間でのタイミング合わせが重要な遠隔アクティビティ(遠隔合奏、遠隔合唱、ダンスレッスンなど)や人物同士での遠隔でのかけあい(ディベート、漫才など)もこれまで以上の低遅延かつ安定的な遅延環境で実現することが可能となります。また、高精細映像を低遅延で遠隔地へ届けることが可能であることから、これまでリアルタイムでの高精細映像での遠隔監視が難しかった領域(工場のライン監視、鉄道・交通の監視など)への適用も期待できます。今後は低遅延と高精細映像の両立が必要となるユースケースの拡大の検討を進め、豊かな社会の実現を推進します。
 本FPGA-IPはライセンス販売(有償)を行っております。本技術は、FPGA上で利用可能な回路情報(FPGA-IP)で実現しており、多様なハードウェアとの組み合わせが可能となります。


用語解説
※1
IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)
IOWNは、主に、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成されます。
APNは、ネットワークから端末、チップの中にまで新たな光技術を導入することにより、これまで実現が困難であった超低消費電力化、超高速処理を達成します。1本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てて運用することで、インターネットに代表される情報通信の機能や、センシングの機能など、社会基盤を支える複数の機能を互いに干渉することなく提供することができます。
https://www.rd.ntt/iown/当該ページを別ウィンドウで開きます

※2
FGPA
Field Programmable Gate Array。論理の書き換えが可能な集積回路であり、ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの高速性を兼ね備えている。



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NTTと中華電信、世界初のIOWN国際間オールフォトニクスネットワークを開通 ~日本と台湾間の約3000kmをわずか約17msecの超低遅延で接続~

2024年09月01日 | 新サービス

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)と、中華電信股份有限公司(本社:台北市中正区、董事長:郭 水義、以下「中華電信」)は、2023年10月25日に締結した基本合意書に基づき、双方のオールフォトニクス・ネットワーク(以下「APN」)を用いて、8月29日、中華電信のデータセンタ(台湾:桃園市内)からNTT武蔵野研究開発センタ(日本:武蔵野市内)までを開通し、約3,000kmの長距離を片道約17msecの低遅延かつゆらぎのない安定した通信を実現しました。APNの国際間開通は世界で初めてのことです。
 今後は、この国際間APNを用いて、グローバルレベルでのIOWNビジネス展開を両社で推進してまいります。なお、本APNを用いた各種デモンストレーションをNTT R&D Forum 2024※1等で展示いたします。
 


国際間APNの開通にあたり、NTTは、NTT武蔵野研究開発センタ(日本:武蔵野市緑町)から日本国内の海底光ファイバー陸揚げ局まで、中華電信は、そこから台湾の陸揚げ局、桃園データセンター(台湾:桃園市桃園)までのAPNを構築しました。そして両社が協力し、それぞれの区間を接続するとともに、End-to-Endでの通信が安定して行われることを確認しました。
 本国際間APNは100Gbpsの光パスで実現しています。通信品質試験を行った結果、遅延は片道で16.92msec、遅延ゆらぎはほとんどありませんでした(表1)。なお、本国際間APNは、IOWN Global Forum※3のOAA(Open All-Photonic Network Functional Architecture)※4に対応している様々なメーカーの機器を利用し、相互接続を実現しています。
両社協力の下、日本と台湾に拠点を置く半導体分野などの製造業を中心に、被災時のBCP対策としてのデータバックアップやレプリケーションサービス、大規模言語モデル(tsuzumi)などを今後提供してまいります。
 またNTTは2025年大阪・関西万博NTTパビリオンデーにおいて、「超歌舞伎〈CHO-KABUKI〉Powered by IOWN『今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.』」の公演を計画しており、本国際APNの活用も検討しております。ご期待ください。



用語解説
※1.
NTT R&D FORUM 2024 公式サイト
URL:https://www.rd.ntt/forum/当該ページを別ウィンドウで開きます

※2.
NTTと中華電信、IOWNによる国際ネットワーク接続の実現に向けた基本合意書を締結
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/10/25/231025b.html

※3.
IOWN Global Forum
https://iowngf.org/当該ページを別ウィンドウで開きます

※4.
Open All-Photonic Network Functional Architecture 2.0
https://iowngf.org/wp-content/uploads/formidable/21/IOWN-GF-RD-Open_APN_Functional_Architecture-2.0.pdf当該ページを別ウィンドウで開きます



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光ファイバ伝送路の状態を測定器なしでエンドツーエンドに可視化できる技術を開発し、世界初、世界最高精度でのフィールド実証に成功 ~光ネットワークのデジタルツインの実現へ前進、迅速な光接続/保守が可能に~

2024年08月23日 | 新技術開発

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、光ファイバ伝送路の状態を測定器なしでエンドツーエンドに可視化する技術を開発し、商用環境を模擬した北米フィールド網にて世界初、世界最高精度の実証に成功しました。本技術は、光ネットワークのデジタルツイン(※1)の実現を大きく前進させ、IOWN(※2) APN(※3)におけるエンドツーエンド光接続の迅速な確立/保守への応用が期待されます。
 本成果は、2024年3月24日から3月28日に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された光通信技術に関する国際会議OFC2024(The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)の最難関発表セッションであるポストデッドライン論文[1]として発表されました。
 


 本研究における主な成果は、以下3点です。
①光ネットワークの端点に設置されている光トランシーバに到達する光信号のみから、光ファイバ伝送路のエンドツーエンドの光信号パワーを、専用測定器を用いずにわずか数分で可視化するDigital Longitudinal Monitoring(DLM)技術[2]の開発
②光信号パワーの可視化を距離方向だけでなく、時間、周波数、偏波方向にまで拡張した4次元光パワー可視化技術の開発
③デューク大学、NEC Laboratories America, Inc.との共同実験のもと、商用環境を模擬した北米フィールド網[3]にて、世界初、世界最高精度の実証に成功
これらの成果は、光ネットワークの構築に必要な光ファイバ伝送路状態の測定が、DLM技術を用いることで光トランシーバのみで実施可能になることを示しています。これにより、専用測定器を用いずにお客さま拠点間のすべての光ファイバや光増幅器を一括測定可能になるため、光接続の設計や異常の特定にかかる時間を大幅に短縮可能になります。


用語解説
※1
デジタルツイン
ヒトやモノなどを、現実の世界から収集したデータによって、サイバー空間上に再現する技術。サイバー空間上に再現された個々の対象に対して分析・予測を行い、その結果を現実の世界に活用することを目的とする。
https://www.rd.ntt/iown/0003.html当該ページを別ウィンドウで開きます

※2
Innovative Optical and Wireless Network(IOWN)
あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、光を中心とした革新的技術を活用し、高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤。NTTニュースリリース「NTT Technology Report for Smart World:What's IOWN?」
https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/05/09/190509b.html

※3
All Photonics Network(APN)
IOWN Global Forumにてオープンにアーキテクチャ策定が行われているフォトニクス技術をベースとした革新的ネットワーク。IOWNのユースケースを支えるネットワークとして、必要なときに必要な地点間を光でダイレクトに接続可能にする。
https://www.rd.ntt/iown/当該ページを別ウィンドウで開きます

文献
[1]
T. Sasai, G. Borraccini, Y. K. Huang, H. Nishizawa, Z. Wang, T. Chen, Y. Sone, T. Matsumura, M. Nakamura, E. Yamazaki, and Y. Kisaka, "4D Optical Link Tomography: First Field Demonstration of Autonomous Transponder Capable of Distance, Time, Frequency, and Polarization Resolved Monitoring," Optical Fiber Communication Conference and Exhibition (OFC), Th4B.7, 2024.

[2]
T. Sasai, M. Nakamura, E. Yamazaki, S. Yamamoto, H. Nishizawa, and Y. Kisaka, "Digital Longitudinal Monitoring of Optical Fiber Communication Link," Journal of Lightwave Technology, vol. 40, no. 8, pp. 2390-2408,2022.

[3]
デューク大学 ニュースリリース「Pushing the Limits and Advancing the Capabilities of Fiber-Optic Networks」 https://pratt.duke.edu/news/2024-ofc-paper-awards/  当該ページを別ウィンドウで開きます


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基準光配信と光コムを用い、光源一つで大容量コヒーレント光通信に成功【NICT】光通信システムの広帯域化と低コスト化に活用

2024年07月25日 | 新サービス

 NICTフォトニックネットワーク研究室を中心とした国際共同研究グループは7月24日、基準光配信と光コム技術を組み合わせて、最新の商用光通信装置200台分の伝送容量に相当する336Tbpsの光通信を実証したと発表した。従来の方式であれば200個の光源が必要だが、今回の実証では光源一つで達成した。
 


 国際共同研究グループは「本研究で当グループは、光通信の周波数規格に準拠し、S、C、L波長帯のほぼ全域でコヒーレント光通信を可能とする高品質光コムの生成に世界で初めて成功した。これをネットワーク上での基準光配信技術と組み合わせ、送受信ノード間で自動的に周波数が同期する650波長のコヒーレント光通信チャネルを構築した。これらの通信チャネルで多値変調と空間多重を行い、大容量伝送を実現した。 


 同成果は、S帯通信用光源モジュールの商用化開発・実装を代替し得るもので、商用の波長多重通信の広帯域化を加速し、波長ごとに異なる数百個の通信用光源を用意する必要がなくなるので光通信システムの低コスト化が期待できる。加えて、マルチコアファイバなどの空間多重を更に活用すると、1本の光ファイバ回線当たり数千台分の通信装置からの光源削減が可能と見込まれ、より一層の低コスト化が期待される。
 同実験結果の論文は、OFC 2024にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)として採択され、現地時間3月28日に発表された。


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米国発 NTT研究成果イベント「Upgrade2024」

2024年06月29日 | 通信市場

 NTTはスマートな世界の実現に向け、様々な研究所で研究開発活動を継続しています。毎年5月には茨城県の筑波研究開発センタで「つくばフォーラム」を、11月には東京都の武蔵野研究開発センタで「R&Dフォーラム」を開催するなど、NTTグループが取り組んでいる最先端の研究開発内容を公開しています。
 海外でも2019年7月に米西海岸のシリコンバレーに米国での研究開発拠点となるNTTリサーチを開設しました。光技術や量子技術、暗号やヘルスケア領域の基礎研究などを海外の研究者と一緒に進め、NTTグループの海外展開を後押ししていくのが目的です。またグループの研究開発内容を海外に発信するため、NTTリサーチは毎年「Upgrade」というイベントを開催しており、今年も4月10-11日の2日間、サンフランシスコで開催しました。
 イベントを現地で取材した(株)MM総研の関口和一代表取締役所長のレポートとしてお知らせします。
 


目次

1)「Upgrade2024」概要
2)五味和洋 NTTリサーチ CEO インタビュー
3)川添雄彦 NTT 代表取締役副社長インタビュー
4)木下真吾 NTT 執行役員研究開発マーケティング本部研究企画部門長インタビュー
 


「Upgrade2024」概要
米国におけるNTTの研究開発拠点であるNTTリサーチが4月10-11日の2日間、サンフランシスコで「Upgrade」と呼ばれる研究成果の公開イベントを開催した。2020年の開始から今年で4回目となるが、国内外から約700人が会場を訪れ、日本企業が米国で開くイベントとしては大きな賑わいを見せた。

シリコンバレーのサニーベールに本社を置くNTTリサーチは5-10年後の事業創造を目指した基礎研究を担っている。具体的な研究領域としては、次世代の情報通信基盤となる光技術や量子物理学、情報セキュリティを支える暗号情報理論やブロックチェーン技術、医療のデジタル化を促す生体情報処理技術の3つが柱だ。「Upgrade」のイベントもNTTリサーチが中心となって実施している。

会場はNTTが海外情報発信のためにサンフランシスコ市街に設けた「NTT XC(エクスペリエンスセンター)」を使い、26の展示ブースを開設した。内容的にはNTTリサーチが米国で進めている技術研究のほか、日本の研究所が取り組んでいる次世代光情報通信基盤の「IOWN」や生成AIの「tsuzumi」などを展示した。NTTコミュニケーションズやNTTデータの米国子会社、NTTデータサービスもサステナビリティや輸送モビリティサービス技術などを展示し、来場者の関心を呼んだ。

会期は2日間にわたり、初日はNTTリサーチの五味和洋CEOとNTT研究企画部門の荒金陽助IOWN推進室長が記者会見し、IOWNの高速通信ネットワーク「APN (All-Photonics Network)」を使って米国と英国それぞれの国内でデータセンターを超低遅延で接続する実験に成功したことを明らかにした。最近は環境問題や用地不足などから都市部でのデータセンターの開設が難しくなっており、「APNで都市部と郊外のデータセンターを結べば一体運用できるようになる」(荒金IOWN推進室長)という。


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NTTの宇宙ビジネス分野における事業戦略について

2024年06月06日 | 新技術開発

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田明、以下「NTT」)は、宇宙ビジネスを取り巻く環境を踏まえ、以前に発表した宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想※1の実現に向け、注力領域を定めて事業開発を加速していくとともに、宇宙ビジネス分野におけるブランド「NTT C89」を立上げ、NTTグループにおける宇宙関連事業の拡大および宇宙産業全体の発展に貢献していきます。
※1:
宇宙統合コンピューティング・ネットワーク
2021年にスカパーJSATと共同で発表した構想。HAPS、静止軌道衛星、低軌道衛星を統合し、それらと地上を光無線通信ネットワークで結び、分散コンピューティングによって様々なデータ処理を高度化する、宇宙の新たなICTインフラ基盤構築を目指す。
 


1. 宇宙ビジネスを取り巻く環境
近年の宇宙技術の発展による打上げコストの低減や、月への興味関心の拡大など、宇宙空間を活用したビジネス・サービスに関する企業参入が増え、宇宙がより身近な存在になってきています。日本政府においても、「宇宙基本計画」「宇宙安全保障構想」を公表し、「宇宙戦略基金」を創設するなど、宇宙事業を取り巻く環境が変曲点を迎えています。このような背景を踏まえ、宇宙ビジネス分野における注力領域を定め、事業開発と技術開発を加速するとともに、NTTグループ各社等の関連事業を有機的に繋げ、お客様の要望にあったソリューションを提供することで、宇宙ビジネス分野における事業拡大と、更なる市場開拓を促し、宇宙産業全体の発展に貢献していきます。
2. 宇宙ビジネス分野において注力する領域
宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想において、自社の技術的な強みを活かし自前化を目指す領域と、新たな技術開発を行いつつパートナーとの連携でサービス化を加速する領域を戦略的に分け、それぞれの領域において市場創造・拡大をけん引する事業開発と技術開発の両方を実行していきます。
3. 宇宙ビジネス分野における新たなブランド設立
NTTグループ各社等は、宇宙分野における各社のサービス・事業を有機的に繋ぎ、お客様のニーズに合ったソリューションを提案することで、NTTグループ各社等の宇宙領域におけるビジネス強化およびシナジー効果創出と、宇宙分野の新たな市場開拓を目指し、新たなブランド「NTT C89」を立ち上げます。
( 1 ) ブランド名称 / ロゴ
名称:エヌ・ティ・ティ シー・エイティ・ナイン
ロゴ:NTT CONSTELLATION 89 PROJECTロゴ
NTTグループ各社等の宇宙分野における事業・サービス・研究開発などの取り組みを「星」と定義し、それぞれを有機的に繋げていくことで「新たに89個目の星座を作っていく」という想いをあらわしました。
( 2 ) WEBサイト
2024年6月3日(月)より、NTTグループ各社等における宇宙ビジネス分野におけるカテゴリーブランド「NTT C89」に関するWEBサイトを立上げます。

「日本版」https://group.ntt/jp/aerospace
「英語版」https://group.ntt/en/aerospace
4. 今後の事業展開について
今後、NTTグループ各社等は、上記の「NTT C89」ブランドの下、様々なサービス・ソリューションを国内外に提供していきます。HAPSを活用した通信サービス提供開始や、地球観測事業者向けの衛星間通信(光データリレーサービス)の提供、観測衛星で撮影されたデータを活用したサービス拡充などを予定しています。また、海外衛星ブロードバンドサービス事業など外部パートナーとの連携によるサービス展開も含めて、お客様にベストミックスなソリューション提案できるように積極的に宇宙ビジネス分野のサービスラインアップ拡充を図っていきます。


さらに概要を知りたい方は次の記事を見てください。
NTTグループニュース 
光技術や光産業の情報交流フォーラム
エイトラムダフォーラムhttps://www.e-lambdanet.com/8wdm/





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