NTTは2022年11月14日、同社がグループ全体で取り組む「IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)」サービスを2023年3月から提供開始すると発表した。
記者説明会では代表取締役社長の島田明氏が登壇し、光技術を用いて「低遅延」「大容量化」「低消費電力」なネットワークの実現を目指すIOWN構想と、それを実現するための主要技術や2030年までの開発目標を説明した。
島田氏は説明会の冒頭、「データドリブン社会では、扱うデータ量やデータセンターの消費電力が大幅に増加する。例えば、データ量は動画をフルHDから16Kに高精細化すると約750倍に増加。国内のデータセンターの消費電力は2030年には2018年比で約6倍と大幅に増加する」と述べた上で、IOWNの役割について「大容量ストレージや映像のストリーミングサービスは現用のネットワークでも対応可能だが、今後発展するであろう自動運転技術やVR(仮想現実)/AR(拡張現実)などを普及させていくためにはさらなるネットワークの発展が必要になる。このような『大容量化」『低消費電力」『低遅延』などの課題をIOWNが解決する」と説明した。
2023年3月から提供を開始する「IOWN1.0」は、ネットワークから端末までE2E(End To End)で光技術を活用するAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)サービスとして提供される。100Gbps(ギガビット/秒)専用線のサービスの一部として組み込まれ、利用者はネットワークを既存サービスの200分の1の遅延で利用可能で、光ファイバー1本あたりの通信容量も従来の1.2倍になる。活用場面としては、医療用ロボットを手掛けるメディカロイドの手術支援ロボット「hinotori」と連携した低遅延かつ揺らぎ(ジッタ―)の少ない遠隔医療の実現や、化学プラント内のメンテナンス作業の効率化などを想定している。
IOWNの今後について島田氏は「APNと並行して光電融合デバイスを活用し、2025年にはIOWN2.0、2029年度にはIOWN3.0、2030年にはIOWN4.0と、さらなる低遅延、低消費電力化を目指す」とした上で、「IOWNを標準化していくためには装置メーカーやデバイスメーカーの協力が欠かせない。海外メーカーも含めてIOWN構想に賛同してくれる企業との連携を模索していくほか、データセンターなど実際に活用する企業とも連携して研究開発を進めたい」とパートナーシップの必要性を強調した。
さらに概要を知りたい方は次の記事を見てください。
eetimesのニュース
光技術や光産業の情報交流フォーラム
エイトラムダフォーラムhttp://www.e-lambdanet.com/8wdm/