光産業技術動向ブログ OITT

OITTとは、Optoelectronic Industry and Technology Trendの略称です。

光ファイバ伝送路の状態を測定器なしでエンドツーエンドに可視化できる技術を開発し、世界初、世界最高精度でのフィールド実証に成功 ~光ネットワークのデジタルツインの実現へ前進、迅速な光接続/保守が可能に~

2024年08月23日 | 新技術開発

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、光ファイバ伝送路の状態を測定器なしでエンドツーエンドに可視化する技術を開発し、商用環境を模擬した北米フィールド網にて世界初、世界最高精度の実証に成功しました。本技術は、光ネットワークのデジタルツイン(※1)の実現を大きく前進させ、IOWN(※2) APN(※3)におけるエンドツーエンド光接続の迅速な確立/保守への応用が期待されます。
 本成果は、2024年3月24日から3月28日に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された光通信技術に関する国際会議OFC2024(The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)の最難関発表セッションであるポストデッドライン論文[1]として発表されました。
 


 本研究における主な成果は、以下3点です。
①光ネットワークの端点に設置されている光トランシーバに到達する光信号のみから、光ファイバ伝送路のエンドツーエンドの光信号パワーを、専用測定器を用いずにわずか数分で可視化するDigital Longitudinal Monitoring(DLM)技術[2]の開発
②光信号パワーの可視化を距離方向だけでなく、時間、周波数、偏波方向にまで拡張した4次元光パワー可視化技術の開発
③デューク大学、NEC Laboratories America, Inc.との共同実験のもと、商用環境を模擬した北米フィールド網[3]にて、世界初、世界最高精度の実証に成功
これらの成果は、光ネットワークの構築に必要な光ファイバ伝送路状態の測定が、DLM技術を用いることで光トランシーバのみで実施可能になることを示しています。これにより、専用測定器を用いずにお客さま拠点間のすべての光ファイバや光増幅器を一括測定可能になるため、光接続の設計や異常の特定にかかる時間を大幅に短縮可能になります。


用語解説
※1
デジタルツイン
ヒトやモノなどを、現実の世界から収集したデータによって、サイバー空間上に再現する技術。サイバー空間上に再現された個々の対象に対して分析・予測を行い、その結果を現実の世界に活用することを目的とする。
https://www.rd.ntt/iown/0003.html当該ページを別ウィンドウで開きます

※2
Innovative Optical and Wireless Network(IOWN)
あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、光を中心とした革新的技術を活用し、高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤。NTTニュースリリース「NTT Technology Report for Smart World:What's IOWN?」
https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/05/09/190509b.html

※3
All Photonics Network(APN)
IOWN Global Forumにてオープンにアーキテクチャ策定が行われているフォトニクス技術をベースとした革新的ネットワーク。IOWNのユースケースを支えるネットワークとして、必要なときに必要な地点間を光でダイレクトに接続可能にする。
https://www.rd.ntt/iown/当該ページを別ウィンドウで開きます

文献
[1]
T. Sasai, G. Borraccini, Y. K. Huang, H. Nishizawa, Z. Wang, T. Chen, Y. Sone, T. Matsumura, M. Nakamura, E. Yamazaki, and Y. Kisaka, "4D Optical Link Tomography: First Field Demonstration of Autonomous Transponder Capable of Distance, Time, Frequency, and Polarization Resolved Monitoring," Optical Fiber Communication Conference and Exhibition (OFC), Th4B.7, 2024.

[2]
T. Sasai, M. Nakamura, E. Yamazaki, S. Yamamoto, H. Nishizawa, and Y. Kisaka, "Digital Longitudinal Monitoring of Optical Fiber Communication Link," Journal of Lightwave Technology, vol. 40, no. 8, pp. 2390-2408,2022.

[3]
デューク大学 ニュースリリース「Pushing the Limits and Advancing the Capabilities of Fiber-Optic Networks」 https://pratt.duke.edu/news/2024-ofc-paper-awards/  当該ページを別ウィンドウで開きます


さらに概要を知りたい方は次の記事を見てください。
NTTグループニュース 

光技術や光産業の情報交流フォーラム
エイトラムダフォーラムhttps://www.e-lambdanet.com/8wdm/





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