東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の竹中充 教授、落合貴也 学部生、トープラサートポン・カシディット 講師、高木信一 教授らは、STマイクロエレクトロニクスと共同で、JST 戦略的創造研究推進事業や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成のもと、シリコン光回路中で動作する超高感度フォトトランジスタの開発に成功しました。
光吸収層となるインジウムガリウム砒素(InGaAs)薄膜をシリコン光導波路上に貼り合わせ、InGaAs薄膜をトランジスタのチャネル、シリコン光導波路をゲートとした素子構造を新たに提案しました。シリコン光導波路を伝搬する光信号の一部がInGaAs層に吸収されてトランジスタの閾値電圧がシフトすることで光信号が増幅されるフォトトランジスタ動作を得ることに成功しました。シリコン光導波路をゲートとしたことで、光吸収を抑えつつ、効率的なトランジスタ動作が得られるようになったことで、光信号が100万倍に増幅される超高感度動作を実現しました。これは従来の導波路型トランジスタと比較して、1000倍以上高い感度であり、1兆分の1ワットと極めて微弱な光信号の検出も可能となりました。
今回新たに開発した導波路型フォトトランジスタを用いることでシリコン光回路中の光強度をモニターすることが可能となります。これにより、深層学習や量子計算で用いられるシリコン光回路を高速に制御することが可能となることから、ビヨンド2 nmにおいて半導体集積回路に求められる光電融合を通じた新しいコンピューティングの実現に大きく寄与することが期待されます。
本成果は、2022年12月9日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版にて公開されました。
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東大プレスリリース
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