ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

人食い熊

2016-06-21 12:17:00 | 社会・政治・一般

不謹慎を承知で書いてしまうと、おそらく人間の肉は美味しいはずだ。

一般的にだが、肉食獣の肉は不味いと云われている。また、食べやすいのは草食獣である。しかし、一番美味しいのは、雑食性の獣ではないかと思う。もっとも私は野生動物を食べた経験は、それほど多くない。

一部のフランス料理店で出すジビエ料理や、割烹料亭で食する鹿肉や、熊肉、猪鍋、野鳥、ウサギ、リスぐらいなものだ。そのなかで、一番美味しいと感じたのが、実は熊の肉でした。これはツキノワグマのはずです。

ただ、絶対的な確信が持てないのは、不味かった熊肉も知っているからです。この違いは、クマを殺した後の血抜きの処理の上手い下手で決まると教わりました。

私が連れて行ってもらったお店は、越後の片田舎にあったのですが、そこの料亭で頂いた熊肉は、最初その堅さに戸惑いました。ところが口の中で噛み締めるほどに豊潤な肉汁が出てきて、その香りは鼻腔まで届き、幸せな気分に陥ったほどでした。

私は後にも先にも、これほどの肉を食べた経験はありません。その時、教わったのは、そのクマが秋口に捉えられた事と、その後数週間熟成させてあったことでした。

猟師から直に買い付けたとのことですが、果実と鹿肉などを食べて育った熊ほど美味しいものはないとの言には頷かざるを得ませんでした。店主に、以前食べた熊肉は不味かったけど・・・と訊くと、それは血抜きが下手だったのだろうとのこと。

そういえば、猪も同じで、血抜きの処理の上手い下手で肉の味がかなり変わるそうです。最近は猟師も高齢化が進んでいるので、技術の伝承が心配だとも言ってました。

ちなみに猪も雑食性で、草木ばかりでなく、魚からカニ、時には小動物も食べてしまうとか。臭みの処理さえしっかりしてあるならば、豚肉よりも美味しいのではないかと思います。

そして、おそらくですけど、サルも雑食性ですから、美味しいのではないかと思います。ただ、サルは野生の世界では強者の部類に入ります。身体能力よりも知能の高さから他の肉食獣の獲物となるケースは少ないようです。

もっとも南米では、サルを上空から襲撃して連れ去る猛禽類も確認されていますし、凶暴なサル(正確にはヒヒ)を好んで捕食するジャガーや豹がいることからも、やはりサルは美味しいのでしょう。

ただ、人間にとっては、サルは食材とは捉えがたいようで、シナ人とインドの一部で食べられているくらいでしょうか。私もサルを食べたいとは思いません。あの姿は、やはり食べにくい・・・

では、人間はどうかというと、これは究極の雑食性ですから、その肉が不味い訳がないと思うのです。実際、人間を獲物として認識した虎やライオンなどは、好んで人を襲ってきたことが知られています。

もちろん、人間は地球上に於いて最も武力をもった生物集団ですから、その人間を襲うリスクは承知の上での行動だとすると、人間は相当に美味いのかもしれません。

今月に入り、東北の山中で行方不明となる人が続発した山で、遂にその犯人と思われるツキノワグマが捕殺されました。解剖の結果、その胃袋から人間の肉片と思われるものが発見されたのは、ニュース等でご存じの方も多いと思います。

ツキノワグマは本来、人を襲い食べるといった習慣はありません。だが長年の果実などを生やさない建材用の植林を進めてきた結果、一見緑豊かでありながら、野生動物には食べるものがない死の森が拡がる日本の山々が、クマたちを山から追いやった。

人里に下りてきたクマたちは、人の食べ残しを食べて、その美味なるを知り、姿を隠しながら街の中にまで入り込んできた。また里山に入り込む人間は、当然にクマたちの縄張りを犯した侵入者であり、おまけにクマたちのエサである山菜などを奪っていく敵でもある。

その敵を倒して、食べてなにが悪い?

熊に殺された方、及びその家族にはひどいことだと思います。でも、クマをそこまで追いやったのは他でもない人間なのです。野生動物との共棲が如何に難しいかを思い知らされた事件であったと思います。

コメント (14)
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