誰もが正義のヒーローになりたい訳ではない。
その意味で、デッドプールはきわめて身近というか、親近感の湧くヒーローなのかもしれません。実際、正義のヒーローを演じるのは、けっこうシンドイと思うのです。
ただ、このデッドプール、一筋縄ではいかないヒーロー界の問題児。カネ次第で、すぐに転ぶし、口の悪さは超一級。それでいて、不死身の肉体と、超絶的な戦闘能力の持ち主。
あのスケベ縫いぐるみのテッドも顔負けの猥雑なギャグを連発し、相手をおちょくるのが得意なのだから、悪役側からも正義側からも睨まれる。それでいて、Xmenに熱心に勧誘される才幹の持ち主でもある。
でもね、白状すると、今年観たアメコミ・ヒーロー映画のなかでは、一番素直に楽しめました。デッドプールに比べると、スーパーマンは頑固に過ぎ、バットマンは真面目過ぎる。アイアンマンは常識に溺れ過ぎだし、キャプテン・アメリカは依怙地すぎる。
この手のアメコミ実写版映画にしては低予算(といっても5800万ドル)なのはスポンサーの支援が少なかったからだそうですが、面白さは反比例しているのから笑ってしまう。
最近の真面目過ぎるアメコミ実写版映画に食傷気味の方にこそ、お薦めしたい作品です。ちなみにアメコミ実写版映画の癖にR15指定ですけど、私はその必要性を感じませんでした。
多分、頭の固いクソ真面目な大人たちが、子供たちへの悪影響を警戒したのでしょう。私に言わせれば、だからこそ面白いのですがね。