ヌマンタの書斎

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ATMの不正引き出し

2016-06-14 12:03:00 | 経済・金融・税制

日本には、多種多様な企業が活動しているが、一番ダメな企業が多い業種は?と問われれば、私は即座に「銀行です」と即答する。

誤解されると困るので、少し詳しく説明すると、組織としての完成度は極めて高い。問題は営利企業としての硬直性にある。

元々銀行は、旧・大蔵省の厳格な管理下にあった。それこそ、箸の上げ下げまで大蔵省にお伺いをたてると云われるほどに、役所べったりの体質であり、金融サービス業としての意識は、極めて希薄であることが特徴であった。

ただし、日本経済の金融を支えるといった公の信念はしっかりと持っており、日本の戦後の高度成長は、この銀行の公の信念に基づく企業支援なしではありえなかったと云える。

かなり危ない融資もあったのだが、大蔵省の護送船団方式への信頼と、土地の含み益を担保にし、なおかつ経営者の個人的保証(欧米では人権侵害だけどね)により、日本経済の金融という血脈を支えてきたのは歴史的事実である。

しかしながら、大蔵省の総量規制により、土地神話は崩壊し、護送船団方式はペイオフという恫喝に切り替わり、あげくに国際金融筋からのBIS規制まで押し付けられて、銀行は変貌を余儀なくされた。

これで完全な金融サービス提供企業となるのかと思いきや、実際には融資よりも生命保険や投資信託の売買手数料稼ぎにあくせくするだけの。かつての銀行がもっていた、日本経済の血脈を握る公の信念は霧散した。つまるところ、他人の褌で相撲をとることに終始している。

要するにリスクは負いたくないし、リスクを追いかけるノウハウも欠落しているのが今の銀行である。しかも、旧・大蔵省の呪縛から逃れたと思いきや、相変わらずお役所気質は抜けきらない。

現在、上場企業で女性役員が最も少ない業種の一つが銀行である。女性銀行員は、男性行員のお嫁さん候補としか考えていないのではないか。少子化を迎える21世紀の日本にあって、驚くべき傲慢さである。人材の半分を最初から切り捨てているのだから、呆れた判断だと思う。

先月末に日本で起きた、ATMの不正引き出しも、この銀行の頑ななまでの愚かさに起因していることは、あまり報道されていない。現在、クレジット会社では、カードは磁気ではなくICチップ内蔵型にして、不正に対応するようにしている。

しかし、銀行が発行するカードは、相変わらず磁気カードのままである。その欠陥を突かれて、今回の不正引き出しがされたのである。ICチップ内蔵型の銀行キャッシュカードもあるのだが、まだ十分普及していない。

磁気カードタイプのカードは危ないことは、既に銀行は知っていたはずだ。それなのに対策を怠った。私に言わせれば、銀行の不正対策の遅れが、今回の事件を引き起こしたのだが、その点を指弾するマスコミは少ない。

そりゃ、そうだろう。広告不況の新聞TVにとって、安定して広告を出稿してくれる銀行様は大切な上得意先であり、怒らせる訳にはいかない。かくして、銀行は自らの怠惰を押し隠したまま、コソコソと不正対策をやろうか、どうしようか悩む時間がとれるわけだ。

・・・呆れてしまう。この姑息なお役所体質こそが、私をして銀行をダメ企業だと云わしめる根拠である。新聞TVなどの大マスコミ様が云わないので、私が声を大にして言ってやる。

日本の銀行はダメ企業だぞ~~~

コメント
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