ヌマンタの書斎

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最終予選前半

2012-07-03 10:11:00 | スポーツ

嬉しいことに、私の予想は大きくはずれた。

なにがって、ブラジル・ワールド・カップに向けてのアジア最終予選B組の試合だ。私は日本が大いに苦戦すると読んでいた。下手すりゃ負けが先行する危機感さえ持っていた。

まず初戦のオマーンだが、これは過去の対戦成績をみても難敵だった。勝った試合のいずれもが1-0での辛勝。技術はなくても、屈強な体躯を活かしての守備と、鮮烈なカウンターに苦しめられた。

また二戦目のヨルダンだが、これはアジア杯での苦闘を思い出さずにはいられない。GKの神がかり的なスーパーセーブがなかったら負けていたかもしれない。それほどの苦戦であり、よくぞ勝ち残ったと言える試合であった。

そして言わずもがなのオーストラリアである。体格だけならアジアどころか、欧州、南米のどのチームにも引けをとらず、しかも選手の大半が欧州のプロチームで戦う一級線ぞろい。勝つどころか引き分けだって難しい相手だ。

ところが結果はご存じのとおり。オマーンに3-0で、ヨルダンには6-0で大勝。アウェイでのオーストラリア戦でさえ1-1の引き分けだった。日本って、いつからこんなに強くなっていたんだ?

冷静に俯瞰してみると、現在の日本代表は過去と大きく選手構成が異なる。なにしろ先発選手11人のうちヨーロッパでプレーしている選手が9人で、国内組はわずかに遠藤と今野の二人だけなのだ。

最強を謳われつつも、国内組と海外組の反発が解消できずにドイツで散ったジーコ・ジャパン。海外と国内選手がほぼ半々で、チームの出来も悪いがゆえに、徹底守備で勝ち上がった岡田ジャパン。

ここ数年の日本代表は、個人として優れているがゆえに海外チームでプレーする選手と、団結力とチームプレー優先の国内組との融合に難儀するチームであった。遠く極東の島国であることのハンデを背負わざる得ないチームに、いずれの監督も苦労している。

ところがザック・ジャパンは違う。海外の選手中心でチームを容易に作れてしまう。なにしろ現在、ヨーロッパのチームに所属する日本人選手は10人を超える。まだ代表未経験の酒井高徳や指宿らを除いても、二桁に達する選手たちが海外でプレーしているのだ。

今回、ほとんど出番のなかった細貝なんて、ドイツのチームでは主力選手でもある。今回召集されていない海外所属選手には、ハーフナー・マイクや李忠成といった3次予選で活躍した選手もいる。

また少数派となっている国内組でも、先発の遠藤、今野は海外組も認める優秀な選手だ。控えの中村憲剛は敢えて国内に残った選手だが、その実力は先発組に劣らない。他の控えの選手だって、いつ海外のチームからお呼びがかかっても不思議ではない。事実、この予選の後、柏の酒井はドイツのチームに移籍が決まっている。

こんなチーム、アジアではオーストラリアだけで、しかも若手への切り替えがうまくいっていないのは、先日の試合でも見事に露呈してしまっている。パク・チソンという優れた選手を代表から失った韓国は、アジア屈指の強豪ではあるが、海外とくに欧州でプレーしている選手は数人がやっとで、いつのまにやら大きく日本との差を引き離されている。

私見だが、Jリーグのコリアの選手の技術の高さ、運動能力の高さからみても、若干日本より上ではないかと思っている。しかしパク・チソンの穴を埋めるだけの選手がいないので、現在はランキングでも日本に差を付けられているだけだ。さらに付け加えれば、日本生まれのコリアの多くが、南ではなく北のチームを選択してしまっていることも影響していると思う。

現在、ドイツで活躍しているチョン・テセはもちろん、仙台ベガルタのリャン・ヨンギなんて北の代表チームでプレーさせるのが気の毒に思えてしまう。実は韓国の代表選手でも、日本育ちで活躍している選手は少なくない。

大学までは韓国でも、大卒後すぐにJリーグでデビューしたノ・ジュンユンが嚆矢だが、パク・チソンも同じで、Jリーグの環境でもまれて実績を残して後に欧州のチームに移籍して成功している。

おかしなことに、ブラジルの選手でも、一度Jリーグで活躍して名を挙げて後、欧州のチームに移籍して成功している選手(フッキとか)もいるし、中東の金満チームに移籍して大金を得ている選手もいる。

どうもJリーグは、欧州等のチームへ移籍するためのステップボード化している感がある。実際、海外チームのスカウトや、移籍代理人にとって日本での視察は欠かせない業務になっている。

以前は、実力ではなく広告塔としての日本人選手獲得であったのだが、現在はチーム戦術に順応が早く勤勉な日本人選手を正味の助っ人として海外に移籍している。そうして、多くの選手が欧州へ旅立ち、かなりの選手が失敗し、挫折する一方で、本田、香川、長友、長谷部、内田、川島といった選手が勝ち残り、彼らが中心となって今の代表チームが形作られている。

ある意味、強いのは当然かもしれない。

ただし、アジア予選はまだ始まったばかり。まだジーコ率いるシリア(四年前のアジアチャンピオンだよ)との対戦も残っているし、熱波の中東の地での試合も3試合残っている。どのチームも対日本戦に知恵を絞っていること間違いなし。やはり楽には勝ち抜けないと思う。

コメント
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