楽しいからこそのスペース・オペラ。
光線銃を片手に構え、美女を背中に隠してエイリアンとの銃撃戦。あげくに超光速宇宙船のアクセル踏み込んみブッ飛ばして、銀河の果てまで大冒険。空想科学小説というよりも、妄想エセ科学小説なのは明らかなのだが、それがどうした。
だって楽しいのだもの。
表題の作品こそ、そんなスペース・オペラのなかでも変り種中の変り種。ある科学者が自分の遺体を人工衛星に載せて永遠に地球を周回するよう遺言した。その遺言は忠実に守られ、その科学者の遺体は人工衛星に載って数千万年地球を周回した。
既に人類は滅び、地球も死の惑星と化した。そこへ深淵の宇宙から訪れた機械化された永遠の命をもつエイリアンがやってきて、その人口衛星を発見した。彼らの高度な技術は、既に遺体と化して氷結した人間の科学者を甦らせて、機械化させて宇宙探検の仲間に招き入れた。
死んだつもりが、数千万年後に甦えさせられた科学者はビックリ仰天。だが、もともと興味心、探究心は人より豊富な変人科学者だけに、誘われて大喜びで彼らエイリアンの仲間となって、銀河宇宙を大冒険である。
あな、おかし。
つっこみどころ満載の、奇想天外な作品なのだけど、楽しいことは楽しい。おおらかというか、楽観的というか、表現に窮するくらいに、暢気に気持ちよく冒険が進む。決して科学的とは言わない。言わないが、面白いことは面白い。
ちなみにイラスト及び表紙画は、漫画家の藤子不二雄(AかFかは不明)であり、これがまた楽しい。
ただし、この作品の発行元はあの早川書房である。例によって絶版本と化して数十年。古本屋を探しても、まず滅多に見つかることのない稀覯本と化している。アマゾンで数冊売りに出ているようだが、もし見かけたら速攻で買って欲しい。二度と手に入らぬ可能性大であるからだ。
さすがに復刻しろとは言わないが、せめて版権を解放して電子書籍として復活して欲しい。もちろんイラスト付きでね。だって楽しいのだもの。ちなみに下記の写真は二作目です。一作目、たぶん、本棚のどこかに収まっているはずなのですが、二重駐車しているので、見つけられませんでした。