ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

政府の無関心

2012-07-11 12:04:00 | 社会・政治・一般

これほど腹立たしいニュースも滅多にない。

昨年度、ようやく成立した東日本大震災復興予算だが、呆れたことにその40%あまりが未だ実行されていないという。それだけではない。日本赤十字をはじめ、いくつもの震災寄付が日本のみならず、世界中から寄せられたが、少なからぬ寄付も未だ使われずに残っているという。

その報道を目にした瞬間、沸騰する薬缶の蒸気にも似た怒りが噴出した。しかし、まさかという思いと、事実に基づくものなのか調べる必要があると考えた。そして、やっぱり政府の予算に関しては、やはりほぼ事実のようであることが分かった。ちなみに寄付のうち義捐金は、大半の予算を執行しているようだ。

良くも悪くも、日本の役所の几帳面さが裏目に出て、いまだ実行に移せない予算は、東北三県に限らず、けっこうあるようだ。不正を防ぐため、あるいは公平を期すためなどと、いろいろ理由が上がられていたが、それだけではあるまい。

なによりも政権与党である民主党に、東北復興への情熱がない。放射能が怖いと、自分の選挙区にすら近づかない小沢は論外だが、怒鳴るだけだった菅・前首相も当事者だったくせに、今はもう忘れてしまっているらしい。

自分が金出して作った政党が、自分の意に沿わぬとむくれている鳩ポッポもそうだが、野田首相も党内融和と野党との協調にばかり目がいって、いまだ復興途上にある東北のことなんぞ、まるで念頭にない。

あれだけの広範囲な被害と、放射能の被害がある以上、それを自治体に任せるなんて、あまりに無責任だ。国家が主導してこそ復興の道筋は確かなものとなる。

思い出されるのは、あの自社さきがけの連立で出来た村山内閣だ。村山富一自身は、自らに行政を動かす器量に乏しいことを自覚していた。だが、なにをしなければいけないことだけは分かっていたようだ。

村山は、当時霞が関の官庁の事実上のトップである事務次官を集めて、阪神淡路大震災の復興にむけて各官庁の力を結集するよう頼み込んだ。また、自民党の族議員のボスたちを集めて、復興に向けての各業界の協調を依頼した。

村山がやったことは、ただそれだけ。丸投げとの誹りはあったが、それよりも震災の被害からの復興を優先して、各官庁、関係業界は力を合わせて一年たたずして、復興計画をまとめて、それを実行した。

私は村山を首相としては、決して高い評価はしていない。しかし、この実績だけは認めてもイイ。自らが主導する器量に欠けることを自覚したうえで、最善と思える行動をしたことは立派だと思う。まァ、これで在日米軍の応援を拒否しなければ、もっと評価してもいいのですが。

一方、菅及び野田の態度はどうか。まず、菅は自らが主導しての復興を画策したことは確かだ。しかし、この御仁、霞が関の官僚に対する不信感が強すぎて、役立たずの会議ばかり開いて、肝心の復興計画が進まない。あげくに、復興計画を口実に首相の座に居座り続けた。

おかげで、東北震災被害地の復興計画は遅々として進まず、我慢しきれなくなった地方自治体、民間企業がその限られた予算と人員で復興を進める羽目に陥った。これだけ広域の被災地を、各自治体や民間の単独行動で復興できるわけがない。

菅の後任の野田は、財務省の手先となって、消費税増税の実現とそのための党内融和にばかり気を配り、東北被災地の復興にはまるで目をかけぬ有様。それゆえに、いまだに被災地復興予算は一部がつかわれたのみで、大半が預金として眠っている。

もう一度繰り返すが、これだけ広範囲に及ぶ震災被災地の復興には、国が主導しての復興計画が必要不可欠だ。具体的にいえば、各官庁の協調と、関係業界団体の協力が必要不可欠となる。それなのに、その旗振り役がいない。いないのだ。

民主党政権が、日本にとっていかに有害か、有権者はこのことをよく理解したうえで、次の選挙で投票して欲しいと切に願います。

コメント
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