ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

私立極道高校 宮下あきら

2010-05-13 12:52:00 | 
「ごくどう」ではない、「きわめみち」と読む。

タイトルだけで笑ってしまうが、事実ギャグ漫画である。間違っても不良賛美、極道(この場合はゴクドウ)賛美の漫画ではない。むしろ、週刊少年ジャンプの三本柱である「努力」「友情」「勝利」に忠実な漫画である。(・・・と民明書房発刊の漫画辞典には書いてある)

この漫画が有名なのは、作品中に実在の学校名が出てしまい、その高校関係者からの抗議があって連載が中止されたからだ。通称「週刊少年ジャンプ事件」である。

出たといっても、背景画のなかにアシスタントが無雑作に実在の学校の名称を描いてしまっただけだ。作者及びジャンプ編集部のチェック漏れに過ぎず、悪意のあるものではなかった。

当時、こんなギャグ漫画に対して抗議したバカの顔が見たいと私は思ったものだ。むしろ、それ以上にその抗議に対して連載を中止してしまったことに違和感を覚えた。

私からすると、十分な謝罪と広告を出して、単行本で修正すればいいだけだと思う。ところが、週刊少年ジャンプの発行元である集英社は、過剰に反応しすぎた。

事実、その名称を使われてしまった学校の関係者すべてが否定的だったわけではないことが、その後のマスコミの報道で分った。むしろ、連載を中止したことへの抗議のほうが多かった。

おそらくは作者も同様に思っていたのだろう。数ヵ月後、タイトルを「檄!極虎一家」に変えて連載を再開させた。ちなみに十年以上たってから、男塾として復活を果たし、あげくに主人公の子供が主役をはった続編まで描かれた。

どうせなら、「私立極道高校」を再開させて終結を迎えて欲しかったものだ。

私からすると、一見正論を掲げた善意溢れる抗議という奴は胡散臭いものが少なくない。対応する側は、よくよく腹を決めて覚悟をもって対応しないと、間抜けな結果となる。

表題の作は、その典型になってしまった。クダラナイが面白い漫画であっただけに残念だ。
コメント
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